フィンテック企業IPOラッシュ時代へ、注目度No1のインシュアテック企業、3円掛金で300円補償、セコすぎる保険が熱い!

中国フィンテック企業が続々と上場へ動き出している。KPMG発表の世界フィンテック企業ランキング1位「衆案保険(ZhongAn)」は9/28日香港市場、同ランキング4位の「Qudian」は10/18日NYSEへの上場を果たした。フィンテック企業の存在感が増している。

 

「衆案保険(ZhongAn)の株主は、テンセント、アントフィナンシャル、中国平安保険集団の3人の馬。

「衆案保険(ZhongAn)」について簡単にご紹介しておきたい。2013年11月に設立された中国政府から初めてインターネットによる保険販売ライセンスを獲得した会社である。昨年発表されたKPMGによる世界有力フィンテック企業ランキングで堂々の1位を獲得した企業である。9月28日に上場、当日終値65.2HKDをつけたあと現在では81.7HKDと2割以上上昇し快調な滑り出しを見せている。

zhongan stock chart株価チャート 日足

インターネットで保険を販売するわけであるが、前提としてビッグデータを活用して顧客の属性や個人情報を分析し同一商品でも顧客により異なった価格での販売を可能としている。

株主には、アリババグループのアントフィナンシャル(16.2%)、テンセント(12.09%)、中国平安保険(12.09)が大株主で名前を連ね、これらの創業者の姓が全て「馬」であることから「中国で最も優秀な三頭の馬」が支援するフィンテック企業として輝かしい注目を集め次なるテンセントとも噂されている。ちなみに、ソフトバンクもビジョン・ファンド(ソフトバンクビジョン基金)の名前で約4.293億HKDを投資しており4.99%の株主となっている。

販売チャネルとしては、アントフィナンシャルの他に、旅行サイト最大手の Ctrip、10/18日にNYSEへ上場を果たしたネット決済プラットホームであるフィンテック企業Qudian 、携帯電話の小米などと提携して独自性の強い保険をインターネットで販売している。

 

「衆案保険(ZhongAn)が手がける保険商品の実例

この企業の保険商品を見ているとまさにインシュアテックの真髄が理解できる。昨年末のデータによると、顧客数は4.92億人、保険商品の販売数は72億契約。旅行保険、医療保険、配送保険、自動車保険など広範な範囲に及ぶ。驚愕すべきは、顧客の保険購入単価である。2014年は3.9元(65円程度)2015年は7.9元(122円程度)2016年は9.3元(155円程度)と激安なのである。

具体的にどのような保険商品を販売しているかというと、例えばアントフィナンシャルと提携しアリババのタオバオやT-Mallで購入した際に、商品に問題があった場合の返品送料の負担保険を販売している。製品が気に入らなかった場合や何らかの理由での返品をする際に備えて、商品購入する際に0.2元から0.7元(3円から12円程度)の返品保険を購入しておけば、ユーザーは返品送料を負担することなく保険会社が返品に関する送料をカバーしてくれるという。その最大保証される保険金は18元(300円)が上限という。日本でこんな小さな掛け金や少額の補償金を、どこの保険会社が販売できるだろうか?顧客の方も数百円の話でそんな面倒なことを行うメンタルも日本人にはない。店舗側が保険に加入するケースがあるが、そうでない場合は、中国人はほぼ当たり前のようにEコマースでこの保険商品を購入する。

sale return delivery insurance

その他、Ctrip(中国最大の旅行サイト)と提携している保険商品では、Ctripを通じて航空券を購入する際に、合わせて飛行機遅延保険を20-30元(340円から500円)を負担して購入すると搭乗する飛行機が遅延した場合にその遅延時間に応じて金銭的な補償金が保険会社から支払われる仕組みがある。空港で飛行機待ちをしている中国人がたまに飛行機の遅延で喜んでいる理由にはこうした事情があるのである。

flight delay insurance

日本人にとって興味深いのは、アリペイでの預入額に関する保険かもしれない。わずか1元(17円)を支払うことによって、当該アリペイ口座から支払われた誤送金やハッカーによる金銭の盗難被害を100万元(1700万円程度)までカバーしてくれるという。オレオレ詐欺に対する保護として有効活用できるかもしれない。スマホメーカーの小米(シャオミー)と提携して販売している商品が、画面が破損した場合に、新携帯購入保険などもある。

 

 ⌈来年は、満を辞してアントフィナンシャルの上場が控える!⌋

ちなみに「衆案保険(ZhongAn)」は、前期決算で特損を計上したこともあり、現段階の財務数値ではPER9314倍と超割高の水準となっている。

果たして数年後には、どんな企業として成長しているのか大変興味深い。

ちなみに、10月18日にNYSEで上場されたQudian は先のKPMGの注目フィンテック企業のランキングで4位に登場した企業であり興味ふ深い。フィンテック企業は、VCから投資を獲得するステージから既に上場しエグジットを果たすステージへと移行している。時の流れは本当に早い。

qudian stock chart株価チャート 日足

さて、来年にはいよいよアントフィナンシャルの上場が控えているとされる。今後もフィンテック企業を巡ってIPOが過熱していくのが間違いなさそうだ。