余额宝(ユアバオ)がMMFの商品名から「プラットフォーム」名へ?起死回生の規制強化からの回避策!?

世界最大の運用額を誇るMMFである「余額宝(ユアバオ)」が単一商品名からプラットフォーム名へと移行!背後には中国金融当局により厳格化される流動性資産管理規制に対する回避策との狙いがあるようだ。余額宝をめぐる金融当局の規制の歴史とプラットフォーム化を整理したい。

 

中国金融当局の余額宝(ユアバオ)への規制強化!

マネーリザーブファンドである余額宝(ユアバオ)に対してこのところ中国当局の監視が強化されている。2017年だけでも3回の規制強化が行われており、従来は預入額100万元まで自由に出し入れ可能であったが2017年5月27日から上限額が100万元から25万元へと大幅に引き下げられ、2017年8月14日には10万元へ、2017年12月8日には1日の預入可能額も2万元に制限された。

今年の2月1日からは1日の販売枠が設けられユーザーはその枠が朝9時に解放されると先着順で買付する形となり、予定通り購入できないユーザーからの不満が蓄積されている。

参考記事:余額宝(ユアバオ)、規制について

【総合フィンテック企業とは】第4回 :機能と機能の重要なつなぎ役「余額宝」(ユアバオ)の秘密に迫る!? 

さらに、最近になって中国金融当局が余額宝に代表されるマネーリザーブファンドに対して、T+0での引出制限を検討しているとの報道がなされている。「T+0」というのは聞き慣れない言葉かもしれないが、TはTrade dateを表し約定してから何日後に資金化されるかを意味する。日本の株式は通常「T+3」であり売買してから3日後に資金化される。今回中国当局が規制対象とするのは「T+0」すなわち当日での即時引出しに対する規制を意味している。

中国メディアの報道によれば、まだ決定事項ではないが余額宝(ユアバオ)の「T+0」での制限枠1万元にする意向で、1日1万元までしか即日引き出しや、即日送金が認められなくなってしまうのである。金融不安の時などに銀行の預金を取り戻そうと銀行に殺到する行為を取り付け騒ぎ(BankRun)と呼ぶが、今回の規制が導入されれば、取り付け騒ぎが起きても一日一万元しか当日には戻らないことを意味する。ユーザーの利便性は低下することになってしまうであろう。

念のために記載しておくが、今回中国政府が検討している規制はT+0に限定されたもので、店舗決済で余額宝を使用したり、当日以降に引き出すものは対象外である。

 

余額宝(ユアバオ)は単一商品の名称からプラットフォームの名称へ!

この一年、中国政府の規制強化に苦しんだ余額宝であるが、ついに起死回生とも言える新しい打開策を打ち出したのである。

5月になって、アントフィナンシャルが運営する余額宝(ユアバオ)の画面にある変化が起きた。5月4日には従来「余額宝」(ユアバオ)の独断場であったマネーリザーブファンドのコーナーに、類似商品である「引入中欧」「博時两家公司」という2社のMMFが登場したのである。続いて5月28日にも「華安」「国泰基金」という2社のMMFが登場し、従来からの余額宝(ユアバオ)を含めて5つの類似のマネーリザーブファンドから購入する商品を選択できるようになったのである。中には、元祖である余額宝(ユアバオ)よりも金利が高いMMFも含まれているため、余額宝(ユアバオ)を解約して新しい金融商品を買う動きも見られているという。

アントフィナンシャルの公式アナウンスでは、この一連の動きを製品アップグレードとリリースしているが、これらの動きが中国政府の規制とは無関係とは考えにくい。おそらく、中国政府の規制強化への回避策というのが本音であると思われる。

中国当局の締め付けに対して、アントフィナンシャルが選んだ方法は、マネーリザーブファンドのプラットフォームとして余額宝(ユアバオ)としてリブランディングし、他社の製品をプラットフォーム上に招き入れるというものであった。従来のMMFである余額宝(ユアバオ)からの収益と、プラットフォームである余額宝に参加した企業から得るという新しい収益の一挙両得を狙ったのである。

 肥大化した余額宝(ユエバオ)から資金流出が起きたとしても、同じプラットフォーム上で運営している他社が運営するマネーリザーブファンドに資金が流れるだけなら、アリババ経済圏の内部行為であり何らかの収益は確保でできるのである。ある程度の金額が余額宝から意図的に外部流出し、元祖余額宝のスリム化も想定されているであろう。スリム化されれば、中国政府の規制強化の流れも緩和されるであろうというのが、本音なのではないだろうか。

余額宝(ユアバオ)という金の卵を離したくないアントフィナンシャルにとって、この金の卵を維持しながら中国当局の規制強化の流れを緩和させるという、起死回生の策がこの新しく登場したプラットフォームである余額宝(ユアバオ)なのかもしれない。

いずれにせよ、今後は余額宝(ユアバオ)は単一商品としてのマネーリザーブファンドでなく、プラットフォームである余額宝(ユアバオ)という位置付けが色濃くなっていくと思われる。

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