小米16.5HKDで初値は公募価格割れ!中国企業の株式公開環境が急速に悪化?!

小米(シャオミー/Xiaomi)が7月9日に香港市場に株式公開を果たした。初値は16.5HKDとなり公募価格の17HKDを2.9%下回る門出となった。公募割れは小米の個別の問題ではなく、中国のマクロ環境に起因する可能性が高い。中国マクロ経済環境に黄色ランプが点灯しつつある。

 

半年前なら時価総額は倍だった?小米でさえ逆境に勝てず公募割れ! 

7/9 小米(シャオミ〜)の香港市場への上場が実現し初値16.5HKDをつけた。これは公募価格である17HKDを約2.9%下回る水準である。半年前とは中国のユニコーン企業を取り巻く環境が急速に変わってきたようだ。小米のIPOは、今後の中国スタートアップ企業の株式公開戦略を占う上で注目を集めていたが、やや厳しいスタートとなった印象である。

実は、数ヶ月前までは推定時価総額10兆円規模を上回ると噂されていた小米(シャオミー)であるが、いざ、株式公開スケジュールが公になった後は、順調に進んでいなかった。公募前の投資家の需給調査段階でも、思うように注文が集まらず17-22HKDのレンジに仮価格が決定された。最終的にレンジ下限となる17HKDで発行価格が決定され、募集時点での推定時価総額は約6兆3000億円と当初の計画の半分程度の水準にまで下方修正されていた。下限で値決めし過熱感を払拭した上での株式公開であったが、初値はレンジの下限すら下回る門出となったのである。

参考記事:7/9株式公開予定の小米(Xiaomi)募集価格は想定レンジ下限17HKDで確定!

 

システマチックリスク(市場リスク)を意識する時期に突入か?

小米のIPOが大成功に至らなかった理由はいくつも考えられる。既に多くの人が指摘しているように、小米の収益性に問題があり当初のバリュエーションが高すぎたという指摘も多い。当サイトとしては、小米の個別銘柄リスク(firm specific risk)の説明は専門家に譲ることにする。

当サイトとしては、ここ半年間で急速に悪化した中国マクロ要因について指摘しておきたい。株式公開に関する統計は、証券市場の中でも最も市場トレンドに敏感に左右され、今後のマクロ経済動向を占う上でも極めて重要な指標である。

個別銘柄リスクと対比して使用される言葉が、システマティック・リスク(市場リスク)という言葉であり、一般には市場リスクとも呼ばれる。システマティック・リスク(市場リスク)は、簡単な話で市場自体が暴落すれば、どんな良い個別銘柄に投資をしていても損失を被むるという避けられない全体リスクのことである。

中国の証券市場を語るには、楽観視せず、既にシステマティック・リスク(市場リスク)を意識しなければならないタイミングに突入していると見た方が懸命なのかもしれない。

 

悪化する中国マクロ要因「デレバレッジ」がキーワードとして浮上?!

楽観一色だった中国経済メディアは、ここ数ヶ月で激変し暗い雰囲気に包まれている。キーワードとして、デレバレッジ、債務不履行(デフォルト)など、中国の負債問題を取り上げたものが多い。2018年上期だけで中国企業の債務不履行残高は4000億円を超える水準になり、国有企業の債務を削減するために債務17兆円分を株式に転換した(デッドエクイティスワップ)したという報道もある。実は日本のバブル期のように多くの中国上場企業は資産に不動産を保有しており、不動産価格の負のスパイラルが生じるとバランスシートの悪化が加速する構造となっている。中国の経済ニュースでは、負債を削減する「デレバレッジ」の話題が溢れており、負債のレバレッジを減少する動きは当然実体経済にはネガティブな影響を与える。負債を減らす資金を確保するために、どこも慢性的な資金不足状態となりつつあるのである。

 

ユニコーンファンドも満額募集できず!1100億元/3000億元満額

慢性的な資金不足を表す良い事例がある。以前、当サイトで話題としたユニコーンファンドを覚えておられるだろうか?6月11日から中国の一般投資家及び機関投資家向けに同時に6本、総額3000億円(日本円で5兆円規模)を募集し、ユニコーン企業や中国で今度上場されるCDR株式に対して投資する巨大ファンドである。

参考記事:6/11 中国で一般投資家向けの総額5兆円超のユニコーンファンドが登場! CDRの買い支え?

実は、先日このファンドの募集完了額が明らかとなった。募集総額は、目標額の4割の1100億元程度にとどまり鳴り物入りで登場したユニコーンファンドとしては、寂しい結果である。一般投資家に対する募集の後、機関投資家むけにも募集が行われたが、全く計画通り資金調達が進まなかったようである。

中国マクロ経済を包み込むデレバレッジの環境下では、どこも自由な資金を確保できていないというのが実情ではないだろうか。小米の株式公開にも、中国経済をめぐる慢性的な資金ショートが影響しているものと思われる。

 

2018年1月から6月末の間の中国企業の香港上場は19社中13社が公募割れ

中国のリサーチ機関であるWind Investment Terminal(Wind 資訊)が公表している株式公開に関する統計によると、2018年上期(1/1-6/30)において、中国資本の企業が合計19社香港上場を果たしたという。これらのうちなんと13社(68%)もの初値価格が公募価格を下回っているのである。株式公開は、マクロ経済動向の先行指標となりうる部分があり、こうした株式公開の現状は、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターからスタートアップ企業へ投資される金額にもネガティブな影響を与え、スタートアップの資金循環サイクルに悪影響を与える可能性も否定できない。

短期的に中国スタートアップ企業を取り巻く環境は、注意を要する時期に突入したと言えるのかも知れない。今後は、さらに美団点評(Meituan Dianping)などの大型ユニコーンが続々と香港市場への株式公開を予定している。引き続き、株式公開の動向に注目して行きたい。

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