中国で大ヒットの「旅がえる」の快進撃!新しい分野を開拓したヒットポイント社の成功要因とは?

名古屋の企業「ヒットポイント」が制作したゲーム「旅がえる」の中国での勢いが止まらない。とりわけユーザーが放置するだけで自然体に飛び回るカエルの姿が「仏系」中国人ユーザーに受けているようだ。仏男子と旅カエルの融合で大ブーム!?

Appleストア無料ゲーム1位を獲得、中国で新鮮なゲームジャンルとして人気

「旅がえる」は、日本企業で名古屋に本社があるヒットポイント社が作成したゲームである。当初から中国のマーケット向けに作成されたゲームではない。日本語版のみにもかかわらず中国の若者世代の心をがっちり掴み、2月1日現在中国Apple Storeで既に2200万ダウンロードされ「Apple Store無料ゲームランキング」で1位を維持していている。

あまりの人気ぶりに、有志中国人がゲーム上で用いられる日本語を翻訳したり、さらにその攻略法を解説するサイトまで登場している。一時期は、アプリを模倣した海賊版も登場し1回30元の有料課金を行うなど混乱も生じたが、現在、模倣版は総じて駆逐されている。

ゲームの内容はシンプルである。ユーザーが世話するカエルが日本国内を旅行し、戻ってくるのをひたすら待つというものである。自由気ままに日本国内を旅行し、いつ旅から戻るかも分からないカエルをひたすら待つだけなので、ユーザーはゲームに集中する必要もなければ、エネルギーもお金も費やす必要もない。たまに、旅先から日本の観光地の美しい写真を送ってくれたり、突如お土産を持参して帰ってくる。

従来の中国ゲームとは全く異なるコンセプトで大成功

従来、中国で流行する多くのゲームは、ユーザーが多くの時間とエネルギーとお金を費やすことによって、プレーヤーが成長し最終ゴールに早くたどるつけるような仕組みになっている。その典型はテンセントが送り出しているヒット作『王者の栄光』である。

SNS上で仲間と協力して対戦するロールプレイングゲームであり、ゲーム内で多くの時間とエネルギーを費やし、さらに武器などを購入することでステージクリアを早めることが出来る。ゲーム会社としてはいかにユーザーに長い時間ゲーム内に滞在してもらい、課金させるかが成功の鍵となっているのである。

参考記事:最も稼ぐゲーム「王者の栄光」開発したテンセントのチームへの年度ボーナスは100ヶ月分の給料!?投資銀行さえも凌駕する勢いか?

しかし、この「旅がえる」は、基本的にカエルを放置するだけで、ユーザーは多くの時間、エネルギー、コストをかける必要がない。『王者の栄光』とは真逆の立ち位置に存在する。基本的な収益はゲーム上の広告収入となっている。

背景にある「仏系(Foxi)」や「仏系青年」の存在!2017年から中国の流行語

仏系といってもフランス系の中国人ではない。日本でも2014年ごろ「仏男子(ブッダンシ)」という言葉が雑誌などで頻繁に登場したことがある。草食系男子のもう1ランク上をいく言葉で、仏門に入り悟りを開いたかのように「恋愛苦手、面倒」「気を使いたくない」「自分のペースで行動する」「彼女いらない」そして何より「一人でいる時間が大好き」こうした意味を含んで使われる言葉である。

実は、中国でも昨年「仏系(Foxi)」とか「仏系青年」という若い人を指す言葉が同じように流行語となりブームとなっている。中国の場合はより意味が大きく男子だけを指すのでなく男女両方に使用され、日本語でいうところの「癒し」的な意味も含まれる。

中国人が、ユーモラスに自分を「仏系」とか「仏系青年」を言いながら、自虐的に自分をいじるのがトレンドをなっているのである。

そうした背景の中で、この「旅がえる」ゲームが登場したのである。このゲームに登場するカエルは、まさにこの仏系カエルのイメージとぴったりで、自由気ままに一人で過ごす時間を楽しんでいるのである。

当のユーザー自身は、毎日会社へ出勤し深夜まで遅く働き日々の忙しさに疲れているのかもしれない。しかし、自分が飼育しているゲーム上のカエルは、好き勝手に旅行し、自由を満喫し、一人で趣味の世界を満喫している。仏系の象徴として、人生を最大限楽しんでいるのである。

中国の若い世代が、自由な時間を確保できない自分との対比の中で、この仏系カエルが自由に旅行している写真や人生を楽しんでいる姿をWeChatや微信(weixin)にアップロードする。自虐的コメントをユーモアを交えながらアップロードする。

ある中国のゲーム関係者のコメントでは、やがて中国市場で「旅がえる」の熱気は沈静化するかもしれないが、「旅がえる」が提示した新しいゲームジャンルは、新しい形式のエンターテイメント分野として中国で今後も拡大していくだろうとして期待を寄せている。