【雲栖大会(The Computing Conference)】探訪記② アリババグループ内で存在感を高めるアリババクラウド(阿里云)

雲栖大会の初日午前セッションでジャック・マーよりも存在感を示した人物がいる。アリババクラウド(阿里云)CEOサイモン・フー(胡暁明)だ。アリババの事業戦略がデータ依存を高める中で必然的にクラウド事業者であるアリババクラウドの重要性が高まっている。サイモン・フー只者ではなさそうだ。

 

アリババクラウドは、急成長でIaaS(Infrastructure as a service)世界3位!

雲栖大会(The Computing Conference/中国語読みユンシーダーフイ)は、4日間に渡って開催される巨大イベントであるが、最も人々が注目するのは開会初日の午前に行われるアリババグループ主要メンバーのスピーチである。アリババグループCEOダニエル・チャン(張勇)に続いて登壇したアリババクラウド(阿里云)CEOサイモン・フー(胡暁明)のスピーチは、今回の雲栖大会で最も聞き応えがある内容の濃いものとなった。

9/19午後:メディア質問に対応するアリババクラウドCEOサイモン・フー(胡暁明)撮影GloTechTrends

ご存知の通り、アリババクラウド(阿里云)はIaaS(Infrastructure as a service)の分野で、Amazon(AWS)、MicroSoft (Azure)に次ぐ世界第3位のクラウドコンピューティングプラットフォームである。アリババグループ内では、アントフィナンシャル、菜鳥物流(Cainiao)と合わせて、スーパーユニコーンに数え上げられる企業でもある。アリババクラウド(阿里云)のCEOであるサイモン・フー(胡暁明)は、杭州の名門大学浙江大学卒業の48歳の若きCEOである。雲栖大会でのサイモン・フー(胡暁明)のスピーチから重要項目を簡単にまとめておきたい。

天猫アプリを活用した茶葉のAI品質認証 浮く茶葉を探知 撮影GloTechTrends

アリババクラウドは、杭州のスマートシティ化をアップグレード!シティブレイン(ETBrain) 2.0がリリース!

既にアリババクラウドは杭州市(杭州市は浙江省の省都)と協力し、ETシティブレイン計画を実行しているが、シティブレイン計画の成功で悪名高き杭州の渋滞は劇的に改善されている。渋滞の程度を示す渋滞指数ランキングは、中国全土で8位だったものが64位まで改善されている。

シティブレインCityBrain2.0(城市大脳)撮影GloTechTrends

今回の雲栖大会(The Computing Conference)では、杭州CityBrain2.0(城市大脳)へのアップグレードが発表され、交通警察と連携しさらなる都市交通の効率化を目指すという。スピーチ会場と交通警察をライブで結び、交通警察担当者とCityBrain2.0の管理画面を映し出し、現在の杭州市の渋滞状況、交通違反状況などをスクリーン提示した。ETシティブレインは、既に中国8都市やマレーシアのクアラルンプールでも導入が決まっており今後のさらなる海外展開にも注目が集まっている。

 

アリババクラウドが「雄安新区」を将来の中国デジタルシティーのモデルケースとして実験開始!

2017年4月に中国政府は、新しい経済特区「雄安新区」建設を発表している。「雄安新区」は、北京から約100kmに位置し上海浦東新区と並ぶ国家プロジェクトとされ、多くの企業が集積する地区として期待が高まっている。アリババクラウドは、ここで未来都市実験室(Urban-X lab)を立ち上げ、雄安新区を将来の中国デジタルシティーのモデルケースとして未来都市化実験を開始すると言う。

 

アリババクラウドがアブダブ政府とスマートエネルギー分野で協力!

さらに、アリババクラウドはスマートエネルギー分野でアブダビ政府との協力を発表した。共同でハリファ大学(KhalifaUniversity)を設立し、エネルギー分野のスマート化に関する技術共同研究を進めるのだという。スマートエネルギーの分野は、ジャック・マーも「ファイブニュー」として注目を集める分野だけあって、今度の展開が楽しみである。

 

OBS Cloud (Olympic Service Broadcasting Corporation)オリンピックの放映分野でIOCと提携

アリババクラウドはオリンピック(IOC:The International Olympic Committee)の公式スポンサーであるが、今後OBS Cloud (Olympic Service Broadcasting Corporation)を提供することで、オリンピック放送分野で新しいソリューションを提供するという。OBS Cloudに関しては、2020年に開催される東京オリンピックにも密接に関連し、日本に深く関係する部分なので改めて詳細をまとめてみたい。

OBS Cloud 発表会 撮影GloTechTrends

ドイツのERPソリューション企業 SAPとの提携! ニューマニュファクチュアへの布石!

アリババは、雲栖大会(The Computing Conference)の会場にドイツのERPソリューション企業であるSAPのCEO(Bill McDermott)を招き、クラウドソリューションを活用した企業スマート化の分野で重要戦略パートナー締結を発表した。

SAPは、ERP分野で圧倒的に実績のある企業であり、ジャック・マーが提唱したニューマニュファクチュア(新しい製造業)の実現のために不可欠なパートナーとなりそうだ。SAPが提供する最新ソリューションHanaとアリババクラウドとの相性も良さそうで、ニューマニュファクチュアの進展に抜群の威力を発揮しそうな予感が漂う。

参考記事:【雲栖大会(The Computing Conference)】探訪記①:2018年はニューマニュファクチュア(新しい製造業)元年になるか

 

アリババクラウドとケニア動物保護省が野生動物保護分野で提携!

アリババクラウドは、ケニア動物保護省との間で野生動物保護の共同プロジェクトを発表した。今後は、クラウドコンピューティングを活用し、野生動物の保護、密猟者のトレースなど、アリババクラウドがクラウドソリューションを提供していくという。

以上、簡単ではあるが、雲栖大会(The Computing Conference)でのアリババクラウド(阿里云)CEOサイモン・フー(胡暁明)のスピーチをまとめてみた。

ジャック・マーは、ここ数年「データの時代」と強調しているが、この「データの時代」の鍵を握るのが、クラウド事業者であるアリババクラウド(阿里云)なのである。初日、午後に開催されたサイモン・フー(胡暁明)のメディア向け質問セッションでも俊逸な回答を連発し、天才ぶりを遺憾なく発揮した。

益々重要性を高めるアリババクラウド(阿里云)の動向と共に、アリババクラウドを率い、次々と新しい事業戦略を展開する若き経営者サイモン・フー(胡暁明)の動向からも目が離せない。

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