【2019雲栖大会(The Apsara Computing Conference)】探訪記② アリババはデータ駆動型(データ・ドリブン)のビジネスモデルを加速!

アリババのお膝元杭州で開催されたアリババテクノロジー祭典「雲栖大会(The Apsara Computing Conference)」が9/27に閉幕した。ジャック・マー不在もあってか例年に比べると派手な演出は少なくなった印象だが、アリババの目指すデータ駆動型(データ・ドリブン)ビジネスモデルをテクノロジーの観点から丁寧に説明するビジネス面重視のカンファレンスとなった。アリババがEコマースを中心とする企業からアリババクラウド・インテリジェンスを中心としたテクノロジー企業に移行しようとする強いメッセージが発せられた。

 

デジタルエコノミーの2大要素!ビッグデータは燃料、コンピューティングはエンジン!

雲栖大会(The Apsara Computing Conference)初日の重要セッションに最初に登壇したのは、アリババグループCEOダニエル・チャン(張勇)である。ダニエル・チャン(張勇)は、アリババグループのカリスマであるジャック・マー退任後、雲栖大会(The Apsara Computing Conference)において毎年ジャック・マーが担当していたアリババグループ長期ビジョンの提示という重責を引き継ぐこととなった。

  

ダニエル・チャン(張勇)は、講演においてジャック・マーが注力しているデータ・ドリブン(データ駆動型)のビジネスモデルの推進を加速させていくことを約束した。ビッグデータを原油とコンピューティングをエンジンと見立て、この両輪をうまくバランスよく稼働させることで、デジタルエコノミーを進化させ、伝統的産業をテクノロジーによりアップグレードさせ、よりスマートな社会を目指そうと言うのである。

アリババグループは、昨年11月グループ内においてクラウドビジネスや人工知能ソリューションを開発するアリババクラウドをアリババクラウド・インテリジェンスビジネスグループ(Alibaba Cloud Intelligence business group=阿里云智能)に社名変更し、グループ内の立ち位置を大きく格上げしたが、今回のダニエル・チャン(張勇)の講演によりそれを再確認する内容となった。

今後はアリババクラウド・インテリジェンスがアリババグループの展開するアリババ経済圏のバックボーン的な中核企業となる。今年から雲栖大会の英文名は「The Apsara Computing Conference」と表記されるようになり、アリババクラウドが提供するスーパーコンピューティングエンジンである「Apsara」名前が冠されている点からも、アリババクラウド・インテリジェンスが今後のアリババグループの鍵を握ることがわかる。

なお、雲栖大会(The Apsara Computing Conference)の初日午前の重要セッションの登壇者としてはダニエル・チャン(張勇)の他に、アリババグループCTO兼アリババクラウド・インテリジェンスCEOである張建峰、昨年までアリババクラウドのCEOを務め現在はアントフィナンシャル総裁を務めるサイモン・フー(胡暁明)と続いた。この3名がジャック・マー退任後のアリババグループの運営の鍵を握る人物となるのは間違いなく、彼らの今後の発言に注目していく必要がありそうだ。

参考記事:

11/26アリババが大規模なグループ組織再編を発表!テクノロジー企業へのシフトを鮮明化!

 

Five New(ファイブニュー)からHUNDRED NEW(ハンドレッドニュー)へ

ダニエル・チャン(張勇)は、同時にHUNDRED NEW(ハンドレッドニュー)という新コンセプトを発表し、100程度の広範な事業領域においてテクノロジーアップグレードを試みることを公表した。

思い起こせば、ジャック・マーが2016年の雲栖大会において、当時Five New(ファイブニュー)というコンセプトを発表し、アリババとして5つの重要産業を人工知能やIoTなどのテクノロジーを応用したアップグレード戦略を公表したばかりだが、あれから3年が経過し100もの事業領域に拡大されることとなる。

Five New(ファイブニュー)とは、「ニュー・リテール」()、「ニュー・マニュファクチュア」(新しい製業)、「ニュー・ファイナンス」(新しい金融)、「ニュー・テクノロジー」(新しい技術)、「ニュー・リソーシス」(新しいエネルギー)の5つの産業であるが、アントフィナンシャルが提供する「ニュー・ファイナンス」(新しい金融)などを中心に、この5つの分野は既に相当程度成熟しており、今後はFive New(ファイブニュー)から対象を拡大し100程度の事業領域に対してHUNDRED NEW(ハンドレッドニュー)として広範囲にテクノロジーアップグレードを推進していこうというのである。

「The Fuel(Big Data) and Engine(Computing) of Digital Economy」というキーフレーズに示されるように、ビッグデータとコンピューティング技術の両輪がうまく機能すれば、あらゆる産業においてデータ駆動型(データ・ドリブン)のビジネスモデルの展開が実現することとなるのかもしれない。

近年、アメリカやヨーロッパなどの先進国がビッグデータやプライバシーに関連し保守的な対応が進んでいるのとは対照的に、中国ではビッグデータを活用したデータ駆動型(データ・ドリブン)のビジネスモデルの推進の加速度が増している。中国では、政府や企業が中心となりデータ駆動型(データ・ドリブン)のビジネスモデルを推進し、ユーザーである国民もデジタライゼーションがもたらす快適で便利な生活と引き換えに、喜んで自身の個人データを提供しているようにも見える。

国を挙げてビッグデータ活用を推進し、データ駆動型(データ・ドリブン)の国家を目指す中国デジタライゼーションの動向は、全世界でテクノロジーに関わる全ての人々にとって興味の対象となっている。今回の雲栖大会(The Apsara Computing Conference)は、データ駆動型(データ・ドリブン)のビジネスモデルの意味合いを考えさせられる味わい深いカンファレンスとなった。

なお、今回の雲栖大会(The Apsara Computing Conference)では、アリババクラウドから第3世代のX-Dragonアーキテクチャなどを筆頭に、アリババクラウド環境で人工知能などのテクノロジーを活用できるソリューションを中心に合計85もの新製品や機能がリリースされておりこちらも興味深いところである。

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