騰訊(テンセント)WeChatpayに金利がつく「零銭通」、信用スコアサービス「騰訊信用」巨大Fintech企業化が鮮明に|テンセント

Eコマース分野で創業したアリババは、アントフィナンシャルをグループに抱え既に巨大Fintech企業となった。一方、テンセントはSNSやゲーム分野で創業した巨大企業だが急速に金融色を強めている。両社は、FIntech企業として世界への影響力を強めている。

 

  • テンセントはWeChatPay残高に金利がつく「零銭通」を9月4日からスタート

アリババが、グループ企業であるアントフィナンシャルを擁し、Fintechの分野で存在感を示している話はGlotechtrends(グローバルテクノロジートレンド)でも何度も取り上げている。ここに来て中国2大IT企業のもう一方の巨人、騰訊(テンセント)もFintech分野への進出を急速に加速している。

Eコマースから大企業になったアリババ、SNSやゲームから大企業となった騰訊(テンセント)。奇しくも、両社の思惑がFintechという分野で交わろうとしている。Fintech分野での世界制覇、それが現在の2社の共通の最終目標なのかもしれない。いずれにせよ今後、両社を分析する上で、金融分野がキーになるのは間違いない。

2017年9月4日から、WeChatpayに残高に金利をつけるサービス「零銭通」が開始された。これは、アリペイの余額(Yu'EBAO)を模倣したものであり流動性の高いMRFのような金融商品である。直近の1週間の金利平均は4.135%となり、アリペイの余額宝よりやや高い金利実績が出ている。

wechat financial mutual fund  lingqiantong

実は、アリペイの余額宝は2017年5月27日より従来の100万元(1650万円程度)までの上限枠が、25万元までという制限が設けられ、8月に再び10万元を上限とする規制が入り上限枠が制限された。テンセントは、絶好のタイミングで流動性預金商品を提供することとなり、相当な資金がアリペイからテンセントの「零銭通」へ流れるものと推測されテンセントは金融機関としての色合いを強めることになる。

 

  • 芝麻信用と類似した騰訊(テンセント)信用のスタート2017年8月

 

アントフィナンシャルが提供する芝麻信用が、アリババグループが提供するありとあらゆるサービスに根深く入り込んでいるのは、過去の記事で何度も取り上げている。

参考記事:【キャッシュレス社会】芝麻信用(読み方はジーマ信用)とは?杭州では信用を使ってお金を節約できる!

【アリババニューリテール戦略の全貌】第4回:アリババが10月に車の自動販売機業務を開始、芝麻信用750スコアのユーザー対しその場で即日車を引き渡し|アリペイ

 

テンセントも2017年8月から騰訊(テンセント)信用という名前で、類似のサービスをスタートした。アントフィナンシャの芝麻信用は、アリババが提供するEコマースでの取引履歴やアントフィナンシャルでの金融資産の状況にスコア算出に関して重きを置いているが、テンセントの騰訊信用はスコア算出に関して、ソーシャルメディアからのデータ解析に重きを置いているという。ビッグデータを分析することにより信用を300-850までのレンジで数値化するという意味では類似のサービスと言って良い。

評価項目としては、重要となる項目は以下の5つ。

1、ソーシャルメディア

2、安全性

3、財務状況

4、契約などの履行状況

5、消費状況

wechat credit system

この中でも、とりわけソーシャルメディアからの情報がカギとなり、誰と繋がっているのか、どう行った情報を発信しているのか。他人を落とし込むようなコメントや所作はないか、約束を履行しているかなど、ソーシャルメディアから、ユーザーの習慣を分析し、スコアリングするという。

信用スコアサービスを開始したことで、今後は与信機能を考慮した新しい金融サービスを提供できるようになる。

 

  • 両社がFintechに注力する理由。データがあればなんでも出来る!

wechat bank vs alibaba bank

両社はどうしてFintechの分野に注力しているのだろうか。

FIntechという言葉の定義はなかなか難しいものがあるが、Gltoechtrendsとしては、「お金に関するビッグデータを扱っているIT企業」という定義づけをしたい。

そう考えると、Fintechの分野でビジネスを成功したいならば、まずお金に関するデータ、とりわけキャッシュフローのデータを取得しなければ何も始めることはできない。

アリババが、ニューリテール戦略に代表されるような斬新的なビジネスをどうして次々と提供できるのか。それは、ひとえにアリペイという決済手段を通じて人々の全てのキャッシュフローを把握しているからである。

騰訊もFintech時代を迎え、いかにキャッシュフローを把握することがビジネス戦略上大事なことが重々理解しており、それが昨今のフィナンス分野の強化戦略につながっていると推測される。

WeChatpayから得られる決済データに加えて、さらに「零銭通」を活用してWeChatpayを経由するキャッシュフローをさらに増大させ、そのデータを騰訊(騰訊)信用で分析しスコアリングする。結果として膨大なフィナンス分野に関するビッグデータを蓄積することが可能となるのである。アリペイもWechatpayも屋台決済やシェア自転車といった決済分野だけで考えれば採算性の低い少額決済にまで、全てモバイル決済を促進するのは、人々の生きたキャッシュフローデータを把握したいからに他ならないのである。

Fintech企業として、必要なのはまずは人々の生活に根付いた生きたキャッシュフローデータであり、全てのFintechサービスがそこから始まるといっても過言ではない。

誰かの言葉をもじるわけではないが、まさに「データがあればなんでも出来る!」そう叫びたくなる時代に我々は生きているのである。

 

  • アリババとテンセントと、日本のIT企業との時価総額比較

最後に中国の巨大IT企業2社と、日本を代表するIT企業の時価総額比較をしてみたい。アリババ、テンセントは、時価総額規模で43兆円規模。世界の証券市場で既に7位、8位にランキングされている企業である。

テンセントチャート 時価総額約43兆円

tencent stock value騰訊

alibaba stock valueアリババ

対する日本の大手インターネット企業の時価総額を以下に参考として記載する。lekutan stock value

楽天の時価総額は、2017年9月13日現在、1.92兆円。これは実に、アリババの4.4%にしか満たない数字なのである。

ソフトバンクでさえも9月13日現在時価総額は9.7兆円。アリババの22%程度である。softbank stock value

日本を代表するインターネット企業と比較し、これほど大きな時価総額の差をつけられている事は、謙虚に現実として受け止める必要がありそうだ。

Glotechtrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今後も海外のテクノロジーのトレンドをお届けするつもりである。