テンセント株価が急騰中、アリババを抜き世界第6位の時価総額へ、テンセントのWeChatをベースとした錬金術ビジネスモデルが成長を加速させる

世界の証券市場の好調を反映してか、巨大IT企業の株価上昇が止まらない。その中でもテンセントの株価上昇が際立つ。時価総額はアリババを抜き去り59兆円規模に達し、5位のFacebookに肉薄。アメリカIT大手を抜き去る日は目前となった。

 

世界の企業時価総額ランキング、11月21日時点

GltoechTrends(グローバルテクノロジートレンド)では、定期的に世界の時価総額ランキングを整理しているが改めて最新の順位をお届けしておきたい。

1、Apple   8889.55USD 

2、Alphabet (google)  7239.75USD 

3、MicroSoft  6458.65USD

4、Amazon 5490.88 USD 

5、Facebook  5284.50 USD

6、Tencent 5224.40USD 

7、Alibaba 4889.24 USD

8、Berkshire Hathway 4525.8 USD

(単位は億ドル、参考2017年7月末時点の時価総額ランキング)

アリババとテンセントの証券市場における位置づけ、時価総額ランキング 

本サイトでは以前にも2017年7月末時点の世界時価総額ランキングを公表している。直近の4ヶ月弱でほぼ全ての巨大IT企業が時価総額を増大させたのがわかる。その中でもひときわ時価総額の上昇が目立つのがテンセントである。

7月末時点の41兆円規模から59兆円規模の時価総額へと急上昇し、アリババを抜き去り5位のFacebookにも僅差で迫りすぐにでも抜き去りそうな勢いである。

 

テンセントの新作ゲーム「光栄使命」をリリース、100人同時対戦可能

11月8日より予約が開始となったテンセントの新作ゲームにはすでに3000万人以上のユーザーから予約が集まり、11月21日から23日にはゲームのテスト販売が開始されている。

このゲームはテンセントが開発したモバイルゲームとしては過去最高の呼び声が高く、前作のヒット作「王者の栄光」を凌ぐとの前評判である。プレーヤー100人が同時に対戦することができるシューティングゲームに中国市場ではかなりの盛り上がりを見せている。このニュースを受けテンセント株価は上昇傾向を強めており、とうとうアジア初の時価総額の5000億ドルを超える企業となったのである。

今後は世界で最も稼ぐゲームとして注目された「王者の栄光」と合わせてテンセントの新たなる強力な収益源となりそうだ。

Tencent stock history chart

 

テンセントの決算数値とセグメント別の売上

時価総額でアリババを上回りアジアNo1の企業となったテンセントの収益構造を少し確認しておきたい。

テンセントの2017年第3四半期決算では、売上高652億1000万元と対前年比で61%の増収を記録し好調を維持している。最終利益も180億470万元(日本円で3000億円程度)を記録しこれも対前年比で67%増益である。

テンセントの収益構造は大きく4つのセグメントに分類されている。主要なセグメントは1ゲーム、2SNS、3広告の3セグメントである。

1、ゲーム事業 (約41.1%)

もともとのテンセントの本業であり、現在での収益の大半をこの部門が稼ぎだす、テンセントの中核ビジネスである。2017年第3四半期決算においても、268億4400万元(日本円で4550億円)規模の売上を叩き出し、対前年比で48%増を記録する主力事業である。

2、SNS 事業 (約23.5%) 

ゲーム事業についで、近年急速な伸びをしているのはSNSビジネスである。WeChat(中国に微信)は、すでにユーザー数9億人を超え中国人にとってなくてはならないインターネットインフラとなっている。これに付随するのがWeChatPayである。

2017年第3四半期決算においても、152億8000万元(日本円で約2600億円)の売上を計上し、対前年比で56%の驚異の成長を遂げている。

3、広告収入(16.9%) 

このセグメントの売上は110億4200万元(日本円で約1870億円程度)この分野も前年比48%増収を示している。

以上の3つのセグメントがメインであるが、いずれも増収増益となりテンセントの成長を支えている。

 

WeChat(微信)は中国の生活インフラ基盤の地位を確立

多くの日本人はWeChatに触れたことがないため単なるSNSツールという言葉で片付けてしまう傾向がある。

だが、WeChatは既に9億8000万人のユーザーを保有しSNSを超越した存在となっている。中国へ行き中国人の動向を観察していると、微信が中国人にとって最も重要なネットインフラとなっていることはすぐにわかる。

中国ではWeChatを利用して知人友人間での小さな商売が盛んに行われ、WeChatで商品の写真や動画を送り、WeChatPayで決済が完了する。

WeChatには、SNSツールを軸としてWeChatPayという決済ツールや一般事業のコンテンツが相乗りしている。

レストランやデリバリーなどの飲食情報、京東と中心としたEコマース、交通関係、旅行、エンタメ、政府関係の事務手続きなど生活に密着する全てのサービスをカバーしている。それが、WeChatPayという決済ツールとリンクしてユーザーはこのアプリだけで生活の大半が完了してしまう大変便利なツールとして機能する。

 

WeChatのフィンテック化が加速

最近では、WeChatのフィンテック化が鮮明になっている。これはアリババグループのアントフィナンシャルのビジネスモデルをコピーしているとも言えるが、WeChatには決済機能の他に預金に金利が付く「零銭通」や信用スコアサービス「騰訊信用」などのサービスを開始している。今後は、「騰訊信用」の信用スコアをベースとしたフィンテックサービスの拡充が予定されており、これがまたテンセントの成長を加速させる予感である。

参考記事:騰訊(テンセント)WeChatpayに金利がつく「零銭通」、信用スコアサービス「騰訊信用」巨大Fintech企業化が鮮明に|テンセント

アリババ同様に、今後はWeChatアプリを基盤とした総合フィンテック金融サービスがテンセントの大きな柱になっていくものと考えられる。

 

スタートアップに積極的に投資、WeChatを活用して錬金術とも言える驚異的な投資リターンを実現!

最後にテンセントの事業投資について少し言及したい。アリババと同様にテンセントも有力なスタートアップには投資を積極的に行なっている。テンセントの投資手法の特徴は、投資先をWeCahtアプリと連動させることで、投資先の売上を驚異的に伸ばしてしまう点に特徴がある。

スタートアップ企業としては、WeChatが保有する9億8000万人のユーザーは大変魅力的である。もしWeChatアプリと連動できれば一気にビジネスを拡大することが出来るからである。テンセントは、有力なスタートアップをWeChatのプラットホームを活用させることを条件に有利な投資条件を引き出すことが出来る。テンセントからすると有利な投資条件を引き出し、WeChatを活用することでビジネスの拡大をサポートし企業価値を高めることが出来る。双方にとってWIN-WINのビジネスモデルであり大変価値のあることなのである。

テンセントの投資事例の一例を見てみよう。2014年テンセントは2億USDを京東へ投資している。現在はその投資額は100億USD以上の価値となり十分なリターンを得ている。ユーザーがWeChatのEコマースのページを見れば、常に京東が見つかりやすい場所に掲載されていることがわかる。京東はテンセントのプラットホームを使うことによって事業を拡大し、テンセントはその見返りとして有利な条件での投資をするのである。

それ以外にも、2014年に50億人民元を盛大文学へ投資をし、同様にWeChatでアピールすることで成長させ、現在は組建閲文集団として香港市場へ上場を果たし400億HKDの企業価値となっている。2013年に4.48億USD をSOUGO (搜狗)へ投資をして20億USDの価値となっている事例など多数の成功事例が存在する。現在、ほぼ毎月と言って良いくらいテンセントの投資先のIPOが続いている。これは、まさに現代の錬金術とも言える驚愕の投資のビジネスモデルなのである。

テンセントは、高いリスクをとることなく、よい企業へ良い条件で投資が可能となるインフラを持っているということなのである。あまり例を見たことなないビジネスモデルの形が出来上がっている。今後もテンセントのビジネスに注目していきたい。

参考記事:アリババとテンセントで加速する多角化戦略「選択と集中」を無視した企業戦略は暴走なのか?それとも新しいビジネスモデルの誕生なのか?

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