ARを活用したショッピング時代到来の予感 ARとオフライン店舗は抜群のコンビネーション、AR爆発的拡大前夜?

 iOS11に「ARKit」が搭載されARが一気に身近になりつつある。Nikeのパリ店舗では、仏AR企業「SmartPixels」社のAR技術を活用しAR展示を開始。中国でもアリババ、京東などが積極的にAR技術を導入している。プロモビデオを見ているとARのポテンシャルで溢れている。

 

  • Apple「ARKit」などでAR普及のためのインフラ環境が整いつつある。

IPhone8は既に「ARKit」を搭載しAR対応機種として発売された。さらにAppleは「ARKit」を搭載したiOS11へのアップグレードを発表し、従来の機種でもiOS11をダウンロードすることによってAR技術に対応できるようアップグレードも完了した。(対応機種制限あり)GoogleのARプラットホームの「ARCore」も8月末に発表され、まさにAR技術を活用するための共通インフラが整いつつある。既に先駆的な企業がAR技術を活用した新しいショッピングへの挑戦をスタートしているので、活用事例を交えご紹介したい。どれもが興味深いアイデアで、2017年がARの普及の元年となりそうな気配が漂ってきている。

 

  • NIKEはパリ店舗でARによるシューズ展示をスタート

Nike社は、古くから最先端の技術を販売促進に活用することで知られる企業である。AR技術に関しても、他社より早く2016年末の時点でフランスのパリの実店舗で導入をスタートさせている。フランスのテクノロジー企業である「SmartPixels」と提携しシューズのAR展示を行っている。このARシステムは、拡張現実とホログラムの技術を使用し、ベースとなる無地のシューズにAR技術を加味することができる。タプレット端末を通じて、異なるカラーやデザインのシューズをARの世界で鑑賞することが可能となる。もちろん消費者が商品を気に入れば購入することができる。

  • アリババの戦略は、昨年は「VR+」だったが、今年は完全に「AR+」へシフト

アリババは2016年にVRを活用したショッピングサービス「VR BUY+」を展開し11日間に及ぶテストマーケティングを行うなどVR普及に力を注いでいた。しかし、この「VR BUY+」は、アリババが想定したようは普及しなかった。現段階では、VRはメガネなどの特殊デバイスを通じて活用する必要があり、技術的にも成熟段階に至っていないというのが想定通りに普及しなかった理由のようである。

実は、アリババは今年になってから「VR BUY+」を取り込んでしまう形でARを活用したショッピングサービス「AR BUY+」にシフトし、AR技術に注力している。ARは3つの点でVRよりも魅力的だという。1つ目は、世界的にARを活用する機運が高まり「ARKit」などのARインフラ環境が整いつつあること。2つ目には、特殊デバイスが不要であることから普及のハードルがVRよりも低いこと。3つ目に、ARはベースとなる現実(商品など)があり、それを拡張するというコンセプトであるため、アリババが現在進めている「ニューリテール戦略」(オフライン店舗とオンライン店舗を融合する新しい小売業を構築する戦略)にもマッチすること。

こうした理由から、今年のアリババは「AR BUY+」戦略に力を注いでいる。

オンラインショッピングの分野では、古くから指摘されている問題がある。単一的な写真だけでは、ユーザーが商品を手に取ったり体験したりするというプロセスが希薄であり、購入した後に商品を手に取った段階で一定数のミスマッチが必ず出現する。

しかしながら、AR技術を活用することによって、より実体験に近い体験をユーザーに事前にさせることが可能となり、ミスマッチの問題点が改善させる可能性が高い。

 

  • アリババが展開するAR活用事例 

以下にアリババが展開するARを活用した買い物事例を挙げてみたい。

1、衣服や化粧品などのファッション関連製品の使用後のイメージをAR技術でビジュアル化  

口紅、アイラインやカラーコンタクトレンズなどの使用時のイメージを、AR技術を活用することによって、自分の映像とAR技術を総合し、ユーザーが商品を使用した際のビジュアル的なイメージを鮮明に呼び起こす。ユーザーが商品を使用した際のイメージ映像をサポートする。

2、家具を実態に自宅に配置した際のビジュアル化

家具などを自宅に配置する時に、自分の部屋と実際にマッチするのかを、AR技術を活用して具体的に映像として自分の部屋に購入しようとしている家具をはめ込んでみる。家具使用時の空間イメージをARが提供する。

3、AR技術を活用した紅包(ホンバオ)=お年玉探し

ポケモンGOのようなARと位置情報を組み合わせたゲーム。ポケモンGOのようにモンスターを探すのでなく、リアルの空間に配置された紅包(ホンバオ)=日本のお年玉を探し出すゲームで、中国人の紅包(ホンバオ)好きを刺激し、巨額の紅包(ホンバオ)を実際の仮想空間内に配置することによってARユーザーの増加を加速させる。実際に買い物で使用できる金銭を獲得できるとあって、一気にARユーザー数が増加した。

2017年の正月から開始され、アリペイもWeChatPayも巨額の予算を投入している。中国政府からの規制の話も度々登場するが、2018年度の旧正月もこの話題がARの普及を加速させることとなるだろう。

4、ドラえもんに登場する「どこでもドア」のようなイメージで、扉を境に現実の世界と拡張現実の世界を隔てるアプリ。

ドアをあけて扉の向こう側の世界へいくと、ARの世界が広がっているという仕様。例えば、扉を開けて拡張現実の世界へ入ると、車が展示してあり、車に関する詳細情報を、拡張現実の技術を活用して楽しむことができる。車の細部や内部に至るまで、ユーザーの要望に応じてビジュアル的に商品を案内してくれる。

このアプリは、住宅のモデルルームであったり、海外旅行の行き先のイメージであったり、ユーザーは拡張現実の世界を楽しむことができる。

5、「カーズ」(ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ配給のアニメ)が拡張現実の世界をスマホ操作で走行する 

もはや、人気アニメの「カーズ」のおもちゃのミニカーが、拡張現実の世界を走行する時代となっている。カーズのミニカーを購入する前に、アプリを操作すると、目の前にARを活用したサーキット場が立体に浮き出る形で展開する。

さらに、その拡張現実のサーキットに沿って、スマホでカーズの主人公マックイーンを操作すると、AR空間のサーキットをマックイーンが走り出してしまうのだ。もはやここまで拡張現実の世界が進んでいるとは、驚きを隠せない。

やはり、日本人としては、トミカやプラレールにも是非このARの仕組みを応用してほしいと願ってしまう。間違いなく子供達から絶大な支持を獲得し、ヒット商品になるだろう。

アリババは、現在オフラインとオンライン店舗を融合するという「ニューリテール戦略」を積極的に展開しているが、オフラインの店舗にAR技術を活用して、実際の注文をオンラインで取り込んでしまうという仕組みに、AR技術が重要な役割を担う可能性が高い。アリババのニューリテール戦略に、AR技術が加わりことによってまた新しいビジネスモデルが展開されるのかもしれない。

 

  • 京東が展開する、オンラインショッピングでの化粧アプリ

中国第2位のEコマース大手の京東もARを活用した化粧品の体験アプリに力を入れている。マックスファクター、ロレアル、セフォラ、メイベリンなどの化粧品メーカーと提携し、ユーザーが化粧品を購入する際に、AR技術を活用し化粧品を使用した際のイメージ映像を提供する仕組みを提供している。

使用方法はいたって簡単で、ユーザーは京東のオンラインショッピングサイトから、AR技術を呼び起こし、購入しようとしている化粧品の使用映像を自分の画像にはめ込む形で、ビジュアル的に確認することが可能となる。口紅などの色を変更しながら、どの色が自分にマッチするのか映像と重ね合わせることによって、確認することが出来る。

今後は、さらにARアプリでの取り扱い商品ラインアップを増加し、ネイルやアクセサリーといった分野でも活用できるようAR体験を拡大していくという。

オンラインショッピングの分野にも、AR技術が活用される日も間近に迫っているようである。

GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今後も新しいテクノロジーのトレンドを追いかけていくつもりである。