スターバックスとアリババの業務提携は、デリバリーだけが本質ではない!ニューリテール戦略の深遠なる世界!

8/2、スターバックスはアリババと提携しデリバリー企業「Ele.me(ウアラマ)を活用したデリバリー対応を実現するという。9月末までに150店舗のスタバでサービスを開始するという。単なるコーヒーデリバリー開始の話に聞こえるが、実はニューリテール戦略の本質に関わる重大ニュースである。今後の展開が非常に楽しみである。

 

8/2 アリババとスターバックスがニューリテール分野で独占的業務提携!

8/2、スターバックスコーヒーはアリババと独占的パートナー契約を締結し、アリババのグループ企業である「Ele.me(ウアラマ)」を活用し、スターバックス店舗からの迅速なデリバリーの仕組みを構築する。発表された構想では、9月を目処に北京や上海など大都市150店舗でデリバリーをスタートし、年末までに中国全土で2000店舗まで拡大する方針だという。

Photo from: Alibaba

表面的な話を理解すれば、スターバックスのコーヒーや軽食をEle.me(ウアラマ)のプラットフォームからオーダーすることで、迅速なデリバリーが楽しめるようになると利便性向上だけのニュースに聞こえるが、実は両者はもっと先にあるニューリテール分野におけるビジネスモデルの再構築を見据えているようだ。ひょっとすると、アリババのニューリテール戦略の本質が凝縮されたビジネス事例になるかもしれず、今後の動向は注目に値する。早速このニュースの本質を考察してみたい。

スターバックスがアリババと共同で取り組む近代的小売業の再構築!

8/2、上海においてスターバックスとアリババとの提携が発表されたわけであるが、その席でスターバックスのCEO兼社長であるケビン・ジョンソンは、「アリババとスターバックスのパートナーシップは、近代的な小売業を再構築し、中国の消費者の期待を超える重要なマイルストーンを目指す。」と語っている。同時にアリババCEOであるダニエル・チャン氏も「両社が革新と技術を通じて中国の新しいコーヒー文化とライフスタイルを開拓するという同じビジョンを共有した。」と語っている。双方のコメントは、自信に満ち溢れており、9月の本サービス稼働でどんな新しいサービスが登場するか待ち遠しい。

「リテール+デリバリー+モバイル決済」を超越するビジネスモデルへ?

コーヒー業界にニューリテール戦略を導入すると、どのような化学変化が起こるのだろうか?

今回のアリババとスターバックスとの提携はデリバリーモデルの構築に本質があるのではなく、アリババ経済圏にある6億人のビッグデータと中国スターバックスメンバーシップ900万人を融合することで、どんな化学反応が起きるのかを見守る壮大な実験なのである。

スターバックスが提供するメンバーシップ会員は、アリババの会員システムと融合し、アリババ経済圏にあるタオバオ、天猫、Ele.me(ウアラマ)、「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)といった全てのアリババ経済圏へのエントランスからスターバックスの注文が可能となる。ユーザーのコーヒーに関する注文データは完全にビッグデータとして蓄積され解析されることになる。

Photo from: Alibaba

この仕組みが構築されれば、アリババクラウドに蓄積されたユーザーのビッグデータによって、個人の嗜好に合わせたカスタマイズコーヒーを提供することも容易い。また、スターバックスのメンバーシップ会員に蓄積されたポイントと、アリババ経済圏に蓄積されたポイントも相互交換可能となり、当然相乗効果狙ったプロモーションなども実行されユーザーはより快適で便利なショッピングシーンを楽しむことができるようになるだろう。

 Ele.me(ウアラマ)驚異のデリバリー!「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)にはセントラルキッチン?

アリババの関係者によると、今回のコーヒーデリバリーは従来の外食デリバリーシステムと異なったものとなる可能性を秘めているという。従来のスキームであれば、ユーザーはオーダーする時にどのブランチからデリバリーされるのが最も近いか自ら指定するのこととなる。だが、今回の計画中のデリバリーシステムは、ユーザーはスターバックスにオーダーするだけで、アルゴリズムがどのスターバックスが近いかだけでなく、どのスターバックスに人員余剰があり最も迅速に対応できるかを把握し、製造とデリバリーの指示を出すのだという。

また、既に3KM圏内30分以内の生鮮食品デリバリーを実現している盒馬鲜生(ファーマーションシェン)を活用し、店内のバックヤードの一角に専用のスターバックスキッチンを確保し、そこでコーヒーを製造することで迅速なデリバリーを実現するというアイデアも計画されているようだ。

コーヒーのデリバリーは温度との勝負であり、冷めたコーヒー、溶けたフラペチーノはユーザーエクスペリエンスを冷え切ったものにしてしまう。スターバックスは、従前はドリンクのデリバリーに対して否定的なスタンスを継続しており、Ele.me(ウアラマ)やMeituan(美団)の代行デリバリーサービスを受け付けていなかった。

しかし、今回アリババの強力なパートナーシップ体制を構築し、新分野に挑戦するのである。今回のアリババとスターバックスの取り組みが成功すれば、一つのニューリテール成功事例として海外へのビジネスモデルの輸出までも見据えているのだという。

スターバックスとアリババの提携で影響を受けるもの

現在、中国では勢いある新興勢力としてLuckin Coffee(瑞幸咖啡)が注目を集めている。昨年11月に2億USDを調達し、今年1月からテスト店舗販売をスタートし、5月8日に正式にサービスを開始している。この店舗はカウンターでコーヒーを注文しようとしても、アプリから注文するよう促されるという新しいタイプの店舗である。こうした店舗が人気を博している点も、スターバックスがニューリテール戦略を導入する動機となっていると考えられる。スターバックスが、O2Oの分野に入り込んだことで、勢いを増していたLuckin Coffee(瑞幸咖啡)は今後どうなるであろうか。

さて、新しいサービスが登場するのを契機に、また一つ以前のサービスが消えようとしている。以前ご紹介した、杭州にある未来科技城のドローンデリバリーサービスである。杭州でスターバックスのドローンデリバリーをしていたAntwork社は、アリババとスターバックス社がコーヒーデリバリーに関して独占的パートナー契約を結んだことで、事業継続を困難な状況となっている。数ヶ月前からサービスが停止していた理由は、今回の発表で明らかとなったのであるが、こうした事例を見ても中国の熾烈なビジネス競争で生き残るのは大変だと感じてしまう。

参考記事:杭州「未来科技城」ではスターバックスコーヒーのドローンデリバリーが開始!

スターバックスは、今後もアリババと戦略的パートナー契約を前提としたユニークな戦略を継続し、さらなる展開が期待される。9月にスターバックスでどのようなサービスが開始するのだろうか、レポート記事でまたご報告したい。

参考記事:スターバックスとアリババのコラボで「Reserve Roastery」を上海にオープン、AR技術やO2Oを活用

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