熊猫星厨(パンダセレクティッド)などの中国「シェアキッチン」ビジネスモデルは成功するか?

最近、世界各地でシェアキッチンが流行している。2C向けと2B向けの双方があるが、中国ではO2Oフードデリバリーと融合した2B向けのビジネスモデルに注目が集っている。中でも熊猫星厨(パンダセレクティッド)は優良2B顧客を数多く有しユニコーン企業への期待がかかる。

 

「シェアキッチン」スタートアップ企業に投資家からの大量の資金流入!

多くのシェアエコノミーに関するビジネスモデルを輩出する中国であるが、最近「シェアキッチン」の運営企業が相次いで資金調達を拡大している。今年に入り黄小逓(ホアンシャオディー)がプレAラウンドとして数千万元を調達し小規模の資金調達ではあるがシェアキッチン分野にはアーリーステージでも資金が集まることを証明した。

2/22にもシェアキッチン業界では最大手とも言える熊猫星厨(パンダセレクティッド)もCラウンドとして5000万ドル(日本円で約55億円)の資金調達に成功し次なるユニコーンになるのではないかと業界では注目を集めている。

熊猫星厨(パンダセレクティッド)は、2016年に北京に設立されたスタートアップ企業で、シェアキッチンのビジネスモデル拡大に早い段階から取り組んでいるスタートアップ企業である。既に北京、上海、杭州、深圳などの大都市を中心に100以上の共用キッチンスペースを確保しており、主に2B領域で存在感を示し、顧客には火鍋で有名な「海底捞(ハイディーラオ)」、大型の鉄道駅構内ではかならず見かける中華料理定食チェーン「真功夫(チェンコンフー)」など中国では誰もが知るレストランを抱え、合計で500ほどの2B顧客を抱える有望企業である。その他の有名シェアキッチン企業としては、育膳房(ユーシャンファン)、食云集(シューユンジー)などが挙げられる。

 

日本でもシェアキッチンのビジネスモデルはブームになりつつある?

 日本でも最近シェアキッチン領域が注目を集めており、各地で様々なシェアキッチンオフィスが開業されている。日本のシェアキッチンは、基本的にはキッチンを曜日や月極めなどの時間貸しでユーザーの希望に応じて提供する施設である。ユーザーは、大規模な初期投資をすることなく、安価な利用料で調理したい料理を作れるとあって人気があり、また、運営企業が飲食店営業許可を取得しておりかつ、ユーザーが食品衛生責任者の資格を取得していれば、シェアキッチン内で調理したものを販売することも可能なのである。UberEATsなどと連携し日本でもこうしたビジネスモデルが拡大しつつあるのである。

 

中国シェアキッチンのビジネスモデルの主戦場は2B領域!フードデリバリー企業を活用!

中国シェアキッチン業界の有望企業である熊猫星厨(パンダセレクティッド)のビジネスモデルをもう少し詳しく見ておきたい。2016年に設立された企業であるが、自己資金を元手に自社物件形式のシェアキッチンを数多く保有している点が特徴的である。既に北京、上海、杭州、深圳などの都市で100拠点以上のシェアキッチンを開業しており、今後はそれほど時間をかけず倍増する計画だという。

経営戦略上、どうやってシェアキッチンの出店場所を選択するかが重要であるようだ。WeWorkなどのシェアオフィスでは、ユーザーにとって快適で便利な場所である点がビジネス成功の必須条件となる。しかし、エンドユーザーと直接対峙しない2B型のシェアキッチンでは、Weworkとは真逆の出店戦略となるようだ。例えば、上海の中心地、人民広場を中心とした商圏をカバーしようとしよう。人民広場の中心部で不動産を所有すれば、相当なコスト負担となるのは当然である。そこで、温かい料理を迅速にデリバリーできる3KM圏内で限定し、その中でも最もローケーションが悪い割安物件を探すのが彼らの特徴である。シェアキッチンは、エンドユーザーと対面する必要もないことから、人通りが少なく不動産価値が低いほどメリットがあるというわけだ。どこの商業地区にも必ずオープンしてはすぐに潰れていく区画が存在するが、そういうだれも寄り付かない格安物件は魅力的なのだという。

こうした不動産を活用して、大規模なシェアキッチンを構築し飲食店を中心にサービス展開するのである。こうした完成したシェアキッチンの店中に、彼らの優良顧客である大手レストラン「海底捞(ハイディーラオ)」や「真功夫(チェンコンフー)」などが混在し、中国で既に整備されているフードデリバリーサービスである美団(メイトゥアン)や餓了麼(ウアラマ)と連携しながら充実したサービスを展開するというものである。熊猫星厨(パンダセレクティッド)の顧客層は、ある程度知名度のある成熟したブランド(レストラン)が2B顧客の7割を占めており、企業運営の上で安定的な収益をもたらしてくれるのだという。

 

中国シェアキッチンモデルの問題点!

しかし、それでもまだ中国シェアキッチンのビジネスモデルは完全なる完成形を実現していない。実は、この1〜2年で、こうしたシェアキッチン店舗が突如として閉鎖される事態がいくつも発生している。理由は、防災上の問題、ライセンス問題、行政により食品安全検査をクリアできない、下水や煙の排出という観点からユーザーに満足できるサービスが提供できないなどが挙げられている。つまり、比較的家賃の安い不動産を取得し出店コストを抑えようとすれば、環境が劣悪な物件を入手するリスクも少なくないのである。時として食事を提供するための最低限の環境を満たしていないシェアキッチンとなっているという現実もあるようだ。新しいシェアリングエコノミー類型であるシェアキッチンのビジネスモデルは、果たして成功するのであろうか?中国では、既にフードデリバリーが広く国民に普及しており、他国に比べて優位な点があることは間違いなさそうだ。

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