中国シェアエコノミー異変あり、突然死が続くスタートアップ、シェアエコノミーの真の成功とは!? 

UberやAirbnbから始まったシェアエコノミーブーム。シェア自転車でさらに加速し、現在は投資家から大量資金が舞い込む状況になっている。しかし、シェアエコノミースタートアップ突然死のニュースが急増している。シェアエコノミーの成功とは?

 

⌈ 2017年、中国で多くのスタートアップがトラブルを抱え消滅。中国シェアエコノミーブームの終焉か?⌋

2012年からあたりからUberやAirbnbに代表されるシェアエコノミービジネスが始まった。当初はユーザーが持て余している有休資産を有効活用しようと言うコンセプトであったが、直ぐによりビジネス的な側面が強くなる。現在では、OfoやMobikeなどに代表されるように、巨大資本を背景に大量の自転車を自らが所有してシェアするビジネスモデルへと変化していった。

2016年当時は多くの投資家は自転車をシェアするだけでは収益的に限界があると投資に尻込みをしていた。ところが、現在はシェア自転車は中国内を超え世界中でブームを呼び起こし、現在では、欧米や日本を含めて世界へ展開するほどの勢いである。成功している典型的なシェアエコノミービジネスモデルの事例と言えるだろう。

シェア自転車への投資機会を逃した投資家たちが、この1-2年で次なるシェア自転車の発掘を目指し、多くのシェアビジネスモデルへ投資を行っている。シェアカー、シェア携帯充電器、シェアカラオケ、シェアスポーツジム、シェア車椅子、シェア傘、シェアクローゼットなど、多くのシェアビジネスに資本が集まっている。シェア自転車

シェアスポーツジム4 パークボックスシェアスポーツジム

中国国家情報センターの「中国共有経済発展報告2017」の統計によると、2016年の中国のシェアエコノミー経済市場取引額は、前年比103%増の3.45兆元で、経済参加者数は6億人を超え、昨年から1億人以上増加したと、明らかにされている。現在、全GDPのうちシェアエコノミーが占める割合は4.6%であるが2025年には20%を超えるとの予測もある。

こうした、シェアビジネスに対する追い風もあり、スタートアップ企業はシェアビジネスのモデルを語るだけで、投資家は興味を示し、結果として資金獲得が容易になっている状況となっているのである。

 

⌈中国のシェアエコノミーバブルは崩壊するのか!?⌋

実は、現在では多くのスタートアップのシェアエコノミー企業が問題を抱えていることが明らかになりつつにある。

例えば、昨年から巨大なブームを呼び起こしたシェア自転車であるが、今では競争の明暗が鮮明となりアリババ資本の「Ofo」とテンセント資本の「Mobike」といった巨大資本に支えられたシェア自転車企業が結局市場を独占する結果となった。当然、競争に負けた中小のシェア自転車企業「悟空自転车」「酷騎」「3 vbik」「町町」などは既に不渡りを出し倒産している。

倒産が目につくのはシェア自転車業界だけではない。

この10月にシェア高級車を売りにしていたシェアカー企業である「EZZY」も倒産した。この企業は、2016年3月に北京でオープンし会員数は10万人に及ぶとされる。ベンツやBMWといった高級車をシェアすることを売りにしていたが、車の維持費や運営費が高く、収益化を達成する目処が立たなかったと推測される。収益源として車に広告を掲載していたが、それが裏目に出たとも言われている。高級車でガールフレンドを迎えに行くときに、それがシェアカーだと分かったら体裁を気にする中国ではドン引きされてしまう。ユーザーのニーズとマッチしていなかったということになる。

シェア携帯充電器も街のいたるところで見かけるようになったものの、まだ収益化には程遠いという。既に競争に負けた負け組企業は倒産トレンドに突入したという。10月11日には、杭州のシェア携帯充電器会社、「楽電」は、ビジネスを終了するとアナウンスした。結果的に7ヵ月しか企業として存続していなかったことになる。「Hi電」も内部職員が『人事移動通知書」をネット上に掲載しリストラに直面していることをインターネットで明らかにしている。

シェアアンブレラの「共享e傘」も東莞で3万のシェア傘を投入したが、1週間で全ての傘が消滅したと窮状を訴えている。

sharing umbrella

また、中国政府から指導される形でビジネスを終了させるケースもある。睡眠するための場所をシェアするスリーピングボックスシェアビジネスは、安全性の理由にビジネスを停止されることになり、彼女をシェアすると言う少し邪なガールフレンドシェアビジネスも、中国政府が差し止める形で企業活動を停止している。

 

⌈ シェアエコノミーへ大量の資本が流入、どうして利益が出せないのか?⌋

滴滴出行(ディディチューシン)は、中国では圧倒的にサービスが悪かったタクシー産業で、サービスを向上させユーザーの満足度を高めた。中国で悪名高いなかなか捕まらないタクシーはもはや過去のものとなった。

シェア自転車も、ちょっとした移動距離を自転車で快適に動くというユーザーの機動力を確実に高め、顧客に満足を与えている。

忘れてならないのが、同時期に発生したアリペイとWeChatPayといったモバイル決済の拡大である。アリババやテンセントがモバイル決済を拡大したいという背景が巨大資本を投入して力技でこの2つの事例を成功に導いたといっても良い。

実は、ここ数ヶ月で倒産しているシェアビジネスには、実はそれほどのユーザーのニーズがそもそもなかったのかもしれない。

携帯の充電器や傘などは、自分で買ったとしてもたかが知れている。個々人が、携帯充電器や傘を買うのは容易い、マーケットの規模も小さく低い効率性となってしまうのは、今思えば当然の帰結かも知れない。シェアビジネスブームに便乗した数多くのユーザーのニーズを満たしていないシェアビジネスがこれからも倒産して行くのかも知れない。

 

⌈シェアビジネスの真の成功とは?⌋

実は、一見成功しているように見える、滴滴出行(ディディチューシン)やOfoなどのシェア自転車も、ビジネス単体で収益化に成功していないのかも知れない。シェア自転車の「Ofo」は、最近になってニュースを発表し、収益の目処が立ったという。

詳細な財務諸表は公表されていないが、1時間1元の収益源でどうやって巨額の投資を回収し、黒字化しているのだろうか?

ある投資家の面白いコメントがある。

アメリカ、ニューヨークに拠点を構える世界最大の資産運用会社であるブラックロックのMark Wisemanは、トロントで開催されたグローバルフォーラムで、シェア自転車業界に対してこうコメントしている。

「この産業の価値は、自転車から来るのではない。人々が自転車を使っていかに移動するかをビッグデータ分析することに価値がある。投資家としては、自転車に対して投資しているのではなくビッグデータに対して投資をしたい。」

こうした言葉にあるように、真のシェアリングエコノミーの成功モデルは、物をシェアして収益を稼ぐというビジネスモデルにあるのではなく、同時にモバイル決済させることによって、人々の行動を把握してしまうというビッグデータからの収益になるのかも知れない。

自転車のような伝統的な産業でも、同時にモバイル決済を強制させることによって、ビッグデータを取得し分析し、新しい産業を作り出して行くという事例なのかもしれない。

多くのシェアエコノミーのスタートアップが、まだ収益を確保できていないのは事実である。この記事に記載したように、多くの倒産事例も出ている。しかし、その一方で、投資家はまだ継続して、シェアエコノミービジネスに投資し、新しいシェアビジネスのチャンスを模索している。

どういった産業が次のシェアエコノミーのトレンドとなるのだろうか?真のシェアエコノミーの成功ビジネスモデルとはなんなのあろうか。Glotechtrends(グローバルテクノロジートレンド)としても、今後もシェアリングエコノミーの動向に注目していきたい。