搾りたてオレンジジュース自動販売機が密かにブーム、毎月400万カップ、年間5万トンのオレンジを消費する巨大マーケットに成長 

中国で5年の歳月をかけて搾りたてオレンジジュース自動販売機のマーケットを作りあげた企業がある。上海を拠点とする上海巨昴投资有限公司。毎月400万杯のオレンジジュースを販売する企業である。今回、新規調達した4億元(68億円)で暖かい軽食自動販売市場にも進出する。

 

オレンジジュース搾りたて自動販売機「天使のオレンジ」の仕組みとは?

2012年、筆者が杭州に居住していた頃、突如としてショッピングモールやオフィスビルのスペースに急速な勢いでオレンジジュースの搾りたて自動販売機が導入されたのを思い出す。当時は10元(当時のレートで130円程度)を入れると、大粒のオレンジがゴロゴロと機械の中を転がり順番に絞られて6個ほどのオレンジで一杯のジュースが完成した。果汁100%ジュースがたった10元で目の前で作られるのだから濃縮還元ジュースでないという驚きも相まってよく購入したことを思い出す。

vingoo orange juice1生搾りオレンジジュース自動販売機

無人化が加速する中で、ふとその企業を思い出し調べてみるとちょうど最近4億元(68億円)の資金調達に成功しとんでもない企業に大化けしていた。

オレンジジュースだけでなく、焼き立てパン、フレッシュココナツジュース、アイスクリームなどの自動販売機分野にも進出し、注目を集める無人化推進企業となっていた。焼きたてパンの自動販売機に至っては、スマホアプリと連動させ、事前に焼きあがり時間を指定して予約することも出来る。

coco studio coconut machinevingoo生ココナッツジュース自動販売機

vingoo icecream machineアイスクリーム自動販売機

さて、上海巨昴が調達した資金を元に次に狙うマーケットが温かい軽食を提供する自動販売機を活用した無人コンビニ事業のようだ。なんと、この企業も無人コンビニ分野に興味を示している。

 

どうしてオレンジジュース自動販売機市場へ参入したのか?

上海巨昂投资有限公司のCEOである周琪(zhouqi)は、学生時代にフランス留学を経験する中で、フランス人が新鮮なフルーツジュースを好んで飲む習慣に注目し、やがて中国も豊かになるとフルーツジュースを日常的に飲む習慣が広がるのではないかと考えた。そして帰国してすぐに、フルーツジュース市場で起業し、リンゴ、スイカ、マンゴなどいろいろな種類のフルーツジュースを展開し一応の成功をしたが、注文の70%以上がオレンジジュースであるという事実に驚愕し、オレンジジュース一本にその生涯をかけることとなる。

今では、南アフリカで巨大オレンジ農園を抱え、生産からエンドユーザーへの販売まで一本のサプライチェーンを完全に一社が手掛ける企業にまで成長したのである。毎月400万カップ、オレンジの年間消費量4万−5万トンという。5年前一杯10元だった値段は、現在15元(255円)となり、計算するとオレンジジュースだけで売上を毎月1億円以上記録する企業に上り詰めている。

ご存知のように、中国には根深い食料品不信がある。市販のパックオレンジジュースであれば、100%オレンジジュースと記載してあっても、濃縮還元飲料が大半であり新鮮フルーツジュースだと信じない。そういうマーケットで、目の前で搾りたてのオレンジジュースを廉価に作ってくれるのだから、人気が出ないわけがない。自動販売機の機械の左側には、新鮮なオレンジがガラス張りの展示してあり、購入するとそれがゴロゴロと転がり中心部で、絞られ、右側の商品口から完成品が出てくる。機械の中の温度は5-8度に保たれ、氷を使わなくとも適温のオレンジジュースが提供される。

しかも、一連のプロセスはすべて可視化されブラックボックスがない。消費者の信頼を勝ち取ることに成功している。

スタッフが毎日、機械を点検して周りオレンジを補充し、腐ったオレンジがないかといった確認を行う。点検日には機械の点検から洗浄も行い、一人のスタッフが一日で5-8台の機械を点検して回り、メンテナンスを行っている。

ちなみに、この搾りたてオレンジジュースの自動販売機、グローバル展開も狙っている。日本には搾りたて新鮮オレンジジュース市場はないのだろうか?

 

軽食の自動販売機を活用して、無人コンビニビジネスに参入

上海巨昂投资有限公司のCEOである周琪(zhouqi)は、「現時点の無人コンビニは、どこも、どこにでも販売しているような商品ばかりを販売しており、差別化を達成出来ていない。差別化をはかり競争力をつけるツールとして暖かい軽食の自動販売機に活用した無人コンビニ市場は魅力的である。商品の多くを新鮮で出来たばかりの商品ラインアップにし、それを可視化することで消費者の食への信頼を獲得できれば強力な差別化戦略となりえる。」という。

単体の自動販売機をオフィスなどの小さなスペースに設置する場合もあれば、同時に複数の自動販売機を設置し、自動販売機の集合体として無人コンビニ的な店舗を展開する場合も考えられるという。

vingoo unmanned convenient store

中国のコンビニでも、日本のセブンイレブン、ファミリーマートで当たり前のように販売されている「おでん(関東煮)」や「肉まん」の人気を高まっている。もともと温かい料理を好む中国人の特性からしても、消費者が出来立ての軽食を求めるのはトレンドのようである。

上海巨昂投资有限公司の挑戦は、果たして成功するのだろうか?無人コンビニ化、ロボット化、消費者のニーズの多様化など、様々な要素が時代の要請にマッチしているように思える。

数年後には唐揚げを自動販売機が目の前でフライにしてくれて出来立てを味わうことが出来る。そんな時代が到来しているのかもしれない。