【アリババニューリテール戦略の全貌】第8回 スイス「INTERSPORT」が北京でニューリテール「夢幻の店」を開業!

5月29日、スイスのスポーツ用品販売最大手企業であるINTERSPORTがアリババの天猫と共同でニューリテール分野に参入。いよいよ外資系企業が中国のニューリテールに進出する新しい時代に突入した。ニューリテール戦略が伝統的リテールを塗り替える動きが加速中である。

 

外資系企業も中国国内で大規模ニューリテール店舗に参入!

5月29日スイスを拠点とする外資系スポーツ用品販売企業「INTERSPORT」が、アリババの天猫と共同で北京にニューリテール戦略を取り入れた新店舗「夢幻の店」=梦幻之店をオープンさせた。店舗の広さは1300平米と広く、北京で最も人通りが多い地区である前門近くに開業し人々の注目を集めている。

「INTERSPORT」社は、1968年にフランスのパリで創業された企業であり、現在はスイスのベルンに本拠地を構える企業である。日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、ヨーロッパを中心に66カ国で5800店舗以上を展開するスポーツ用品販売の巨大グローバル企業である。アディダス、ナイキ、ニューバランスなど有名スポーツブランドのほぼ全てを扱っている企業と言って良いであろう。

ニューリテール戦略と言えば、アリババが当初のアイデアを発案し、その後にテンセント、京東などが参入し、現在進行形で中国企業同士が激しく激突している分野である。今回の外資系企業の参入によりグローバル企業をも巻き込み、ますますニューリテール戦略の展開が加速する時代に突入したと言えるであろう。今後、中国に進出する日本企業にもニューリテール戦略のコンセプトが大きく影響を及ぼすことはほぼ間違いないと言えるだろう。

 

アルゴリズムが、あなたのお気に入りシューズを知っている!?

「夢幻の店」では、6億人のアクティブユーザーを誇るアリババ「天猫」から得られた各ユーザーのビッグデータを活用し、そのデータを人工知能アルゴリズムで解析することで、各ユーザーの消費性向やお気に入りの商品アイテムを把握することが試みられている。

「夢幻の店」店内に配置されたスマートスクリーンを、ユーザーがタッチして、自分に対するオススメシューズを選択すれば、人工知能によるおすすめシューズの映像が映し出される仕組みなのである。

そのおすすめシューズをスクリーンでタッチすれば、そのシューズの説明、開発コンセプトなどが表示され、ユーザーはそのシューズをより深く理解することができるのである。また、他の色を試して見たいと思えば、スマートミラーを活用してカラーを変更するなどして、オンライン上で試着して自分のイメージ映像をスクリーンに映し出すことも可能である。

こうしたコンセプトは、シューズに限ったことではなく、スポーツウェアや店内に展示されたスポーツ用品全体に活用できる仕組みとなっており、店内はそうした仕組みであふれているのである。

 このコンセプトをプライバシー侵害であると捉えるか、近未来的だと捉えるかは議論がある部分ではあるが、現在は近未来的な仕組みに対して一度体験して見たいという若者たちで店舗は賑わっているという。中国の若者たちが、店員に色々と質問されながら商品を購入することを急速に敬遠しているという背景も手伝い、こうしたニューリテール戦略が中国で急速に受け入れられているのである。

 

3キロ以内は3時間以内にデリバリー可能!

「夢幻の店」においては、他のニューリテール店舗同様にOMO(オンラインとオフラインの統合=Online Merger Offline)の実現を果たしている。店内で気に入った商品があれば、その場で決済しすぐに使用することも出来るし、オンラインから購入しデリバリーを選択し、自宅に商品を届けることもできる。店舗から3キロ以内の範囲であれば、購入後わずか3時間でデリバリーしてくれるサービスも行っており重いものを運びたくないユーザーには大変便利である。

 

商品について質問したい場合はどうするのか?

「夢幻の店」においては、従来のリテール店舗と比較して、際立って店員の数が少ない。では、ユーザーが商品について質問したい時は、一体どうするのであろうか?これも人工知能を活用した天猫のAIガイダンスを活用する仕組みが構築されているのである。スマホから商品に添付されたEタグをスキャンして、インクエリーボタンを押せば、天猫のオンラインスタッフに接続され、そこで商品に関する質問をすることが出来るのある。この仕組みは、天猫が提供するスマートディンディン(智能钉钉)と呼ばれるものであり、ユーザーと店舗側との一種のSNSツールである。ユーザーから店員への質問に関してもオンラインとオフラインが統合されていると言えるであろう。

 

体験スペース 店舗に長く滞在してもらう仕組み作り、店舗はエンタメ空間?

「夢幻の店」の店舗においても、他のニューリテール店舗に見られるようにARゲームや、3Dを活用したゲームなどが配置されている。中でもユニークな試みはロボットバーテンダーと呼ばれる機械のバーテンダーであり、ユーザーは店内でお酒の提供を楽しむ事が出来るのである。ユーザーが購入したシューズや商品イメージに合わせて、ロボットがカクテルを作りユーザーに振る舞うというのだ。シューズのイメージにあったカクテルと言われても、正直意味がわからない部分もあるが、買い物をより楽しくエンタメ化し、ユーザーに店舗により長く滞在してもらおうといういう取り組みは理解できる。ニューリテール戦略とは、買い物を単なる買い物として捉えるのではなく、買い物をより楽しいものにするという狙いがベースにあるようだ。

さて、GloTechTrendsとしては、シリーズ【アリババニューリテール戦略の全貌】と題して一年ほどの期間に渡りニューリテール関連の記事を執筆してきた。ニューリテール戦略の全貌は奥深く、まだその全部の狙いを捉え切れていない。だが、一旦この辺りで中間的な要約を試みてみたい。ニューリテール戦略とは一体何者なのだろうか?次回第9回目としてニューリテール戦略の中間的なまとめとして【アリババニューリテール戦略の全貌】のシリーズを一旦終了することにしたい。

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