4月30日香港証券取引所が株式公開基準を緩和!「種類株」を活用した株式公開容認で柔軟化!

もはや種類株を活用したIPOが世界のトレンドの中心となりつつある。香港証券取引所も4月30日から議決権制限種類株上場が可能となる。アリババや京東などが規制の強い香港を回避してアメリカ上場を実現しているが、今度はこうした動きに歯止めをかける。

 

香港市場は伝統的に株主平等原則を重視していた経緯

4月30日から香港証券取引所は上場に関する規制を緩和し、議決権制限種類株を活用した株式上場を促すようだ。議決権制限種類株とはいわゆる普通株とは異なった種類の株式であり、議決権の無い議決権制限株式や、逆にその種類株一株だけで複数の投票権や拒否権を発動できる株式である。

柔軟に条件を決定できるために、スタートアップ企業にとって資金調達を有利にするのであるがその一方で株主平等の原則に反する部分があるのも事実である。コーポレート・ガバナンスがおろそかになる、あるいはエージェンシー問題が発生するという指摘があり、香港市場では株主平等原則を徹底し、過去には議決権制限種類株の上場を認めていなかったのである。また、こうした株式は株価算定作業も困難を極め一流の投資銀行員でさえも、なかなか合理的な数式を提示することが困難な領域である。

 

種類株を活用したスタートアップの資金調達、IPO事例がアメリカで急増

しかし、時代のトレンドとして種類株を活用した資金調達事例が激増しており、種類株を保有したままの株式上場事例も同時に激増している。Googleの親会社であるアルファベッド、Facebook、アクセンチュア、バークシャーハザウェイ、ビザカード、マスターカードなどアメリカを代表する企業群も実は種類株を発行したままの状態で上場が維持されているのである。

また、アリババがNYSEに上場する際も一部に種類株が存続していたため香港市場との合意が得られずアリババはNYSEへの上場を目指した経緯がある。京東がNADSAQに上場した理由の一つも種類株発行が香港市場での上場審査を困難にしたとも言われており、種類株式を発行していたことが中国の有力企業がアメリカ市場での上場を目指す大きな動機となってしまっていたのである。

今回の香港市場の規制緩和は、これ以上中国企業がアメリカ市場上場という形で外部流出してしまうのを避ける狙いがある。既に規制緩和となった香港市場の株式公開1号銘柄には、小米(シャオミー)が有力視されており、今週中にも上場申請すると言われている。小米の上場は香港市場最大の株式公開規模になり少なくとも100億USD規模の資金調達が実行されると言われている。

今後も、規制緩和された香港市場へアントフィナンシャルやサウジアラビアの国営石油会社のサウジアラムコなど、大型企業の上場申請が噂されている。

なお、この香港の規制緩和のニュースを受け、シンガポールも同様の規制を排除する検討に入ったようだ。シンガポール証券取引所(SGX)も中国企業の上場受入に躍起になっているのである。

日本の種類株上場の状況とは?

良い機会なので、日本の種類株上場の状況を少しだけ確認しておきたい。実は、日本の証券市場は、香港よりも先に種類株上場を認めており2014年のサイバーダイン(マザーズ)のように黄金株(株主総会決議事項について拒否権を行使できる株式)を発行した状態で上場しているケースもある。しかし、種類株を維持したままの状態は決して一般的ではなく、通常のケースでは上場を目指すスタートアップ企業が種類株を保有している場合、株式公開を指導する主幹事証券会社や監査法人から上場前段階で普通株への転換を促されるケースが一般的である。

東京証券取引所としても、種類株上場に積極的なスタンスを見せているわけではなく、株主平等の原則を鑑み上場時には普通株で一般投資家に理解しやすいような形に落とし込むような指導が一般的なのである。

香港市場の上場規制緩和は、従来アメリカ市場を目指していた中国企業の市場選択に大きなインパクトを与えることになるだろう。今後、香港上場を目指す企業がどのように種類株の価値評価をしていくのかも大変面白いテーマとなる。中国本土の証券取引所が目指すCDR活用とともに注目しておきたいテーマとなる。

参考記事:深セン証券取引所がニューエコノミー企業の主戦場へ!?中国預託証券(CDR)の導入