アリババニューリテール戦略の中核「盒馬鲜生」がコンビニ進出、温かい料理を提供するコンビニ誕生へ!

アリババ「」の中核「」()11月末にも新型コンビニ「F2」をオープン予定。オフィス密集地帯でスマホから予約、温かいお弁当や焼きたてパンなど出来立ての飲食を提供する店舗。無人コンビニではない新しいアップグレードコンビニが拡大する気配。

 

  • 盒馬鲜生が展開する新しいコンビニ「F2」とは?

「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)は、アリババの「ニューリテール戦略」の中核的スーパーマーケットである。O2O(オンラインtoオフライン)を実現しながら3キロ以内のユーザーへ30分以内のデリバリーを実現し店内での飲食も可能とする新型の店舗である。

hemaxiansheng convenient store

昨年のオープン以降ユーザーの評判もよく、順調にビジネスを拡大し現在では20店舗を運営するまでになっている。

参考記事:【アリババニューリテール戦略の全貌】第3回:盒馬鲜生(ファーマーションシェン)は4つの複合体O2Oスーパーマーケット|アリババ

【アリババニューリテール戦略の全貌】第6回:盒馬鲜生(ファーマーションシェン)5都市10店舗新規同時オープン、予想以上のスピードで急成長

この「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)が、コンビニ事業「F2」に進出することとなった。一号店となる店舗は、上海の観光地である外灘の北部に予定しており、実験店という位置付けもあって約800平米規模の大型店舗となる予定である。スターバックスコーヒーやフードコート、中国の人気カフェWagasなどを併設し、調理仕立ての食べ物とドリンクを中心に、テイクアウトだけでなく飲食スペースを完備するコンビニ店舗となるようだ。

正式な開業までにまだ1ヶ月ほどあり、現段階では細かなコンセプトまでは発表されていないが、この実験店での営業結果を踏まえながら1,2ヶ月で詳細な店舗コンセプトを決定し、最終的には200平米規模の中型店舗に落ち着きどころを探していく方針だという。「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)のようなO2Oを導入するのか、3Km以内をデリバリーするのか大変興味深いところではあるが、従来のコンビニでは提供できなかった出来立ての温かい料理や飲み物に注力するのは確実のようである。

 

  • F2は、調理スタッフを数多く配置するも、それ以外は無人化。

F2という名称には、FastとFreshという意味合いが込められているようだ。オフィスが集中するエリアに店舗を出店しその一帯で働くオフィスワーカーたちの朝ごはんから、昼ごはん、簡単なおやつから夜食までがメインターゲットである。しかも、新鮮で出来立てを提供するという新しいコンセプトを試みる店舗である。そのコンセプトからは24時間営業する伝統的なコンビニのボジネスモデルとは一線を画すようである。

無人コンビニ化の流れを踏襲し、レジは無人化で対応するようであるが、大きな調理場を配置しそこに数多くの調理スタッフが配置されるという。

F2は、新鮮な材料を活用した出来立ての弁当や、焼きたてのパン、注文を受けてからカットするフルーツや、搾りたてジュースなどを目に見える形で提供することを最大の特徴とする。店内の半分以上の商品をパッケージされていない鮮度の高い商品で揃えるという。

中国人は、冷たい食べ物を極端に嫌う。日本では当たり前となっている弁当を電子レンジでチンして食べるという習慣もどちらかと言えば好まない民族である。中華料理は油を多く使用するため冷めると極端に味が落ちてしまう。出来立てをその場で食べられる選択肢があるなら、そちらが人気となるのは当然の話かもしれない。

 

  • 「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)CEO候毅のコメント

「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)CEO候毅は、伝統的なコンビニの2つの致命的な欠点を指摘している。

一つ目は、とりわけオフィス街の中心にあるコンビニでの、昼休み時間におけるレジでの行列。どこのオフィスも昼休の時間帯は重なることが多く、ピークタイムはレジが非効率になっている。

二つ目は、食品の質が低い点。伝統的なコンビニの大半がパックされた料理であり、添加物や保存料などの心配を抱えながら食べることになる。冷たいものが多く、ユーザーは選択肢がないために、敢えてそれを食べなければならない状態である点。

これらの問題点を解決するための方策としてF2では3つのテクノロジーのアップグレードを試みるという。

トランザクションの効率化、レジで会計を待つ人をゼロにするため、キャッシュレス決済による無人化を導入する。合わせて注文する食事の事前予約アプリを提供し、予約の時点で調理時間の指定及び商品受取とをリンクさせ効率の良い決済システムを構築する。

事前予約された食事やドリンクに関して、ユーザーがピックアップするまで適温に保つための保温システムを完備。予約時間を多少経過した場合にも、満足のいく食品を提供できるようシステム対応。

店内で飲食したい人には、テーブルと座席を用意してその場所での飲食も可能。ただし、セルフサービス形式で食べ終わった際の後片付けをユーザーに義務つける。

 

  • コンビニ業界へ殺到する投資マネー、コンビニアップグレードへの期待度は高い

このほど、中国のチェーン店経営協会とアメリカの戦略コンサルティング会社ボストンコンサルティングが共同で発表したリサーチ「2017年中国コンビニ発展報告」によると、中国のコンビニ業界の伸び率は13%、市場規模は1300億元(2兆2000億円超)であり、売上高及び出店数とも順調に推移しているという。

今年になって、伝統的なコンビニをアップグレードさせるようなビジネスプランに投資家から大量の資金が舞い込んでいるという。代表的なものが、無人コンビニでありこの2ヶ月だけで10社以上が資金調達に成功し、調達額の合計は数億元に達するという。

ある投資家のコメントによれば、コンビニ市場が注目を集める理由は、多くの業態がEコマース革命で影響を受けたにもかかわらず、コンビニ業界は伝統的なビジネススタイルを最近まで継続することが出来た数少ない業界であった。しかし、2017年からコンビニ業界もAI革命に巻き込まれ、無人コンビニやそのほかのタイプのアップグレードコンビニへの転換の動きが活発化しているという。コンビニ業界の勢力図を大きく書き換える可能性のある動向に投資家たちの熱い視線が注がれているわけである。

先日の記事でご紹介した上海巨昂投资有限公司もそんな企業の一つと言える。68億円を調達し、温かい食事を提供する自動販売機を活用して無人コンビニへ進出する注目の企業である。

参考記事:搾りたてオレンジジュース自動販売機が密かにブーム、毎月400万カップ、年間5万トンのオレンジを消費する巨大マーケットに成長 

中国では、コンビニで新鮮な食材を活用し出来立ての食べ物を食するというニーズが急速に高まっている。この要望は無人コンビニとは異なったベクトルではあるが、コンビニ業界の進化という意味では共通である。日本のコンビニ業界を見ても、美味しいお弁当のコンビニにユーザーが集まり、結果としてコンビニブランドが確立されるという経験則がある。さて、中国のコンビニ業界は、温かい食事を求めるユーザーの声をどうテクノロジーを活用して実現していくのだろうか。また興味深いコンビニの進化が見られそうな予感である。