中国旧正月(春節)アリババの「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)最新探訪記(杭州店)

中国は2月16日春節を迎え大型連休に突入した。この期間ほぼ全ての業務がストップする。果たして春節期間中、中国人はどんな買い物をするのだろうか?杭州「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)を探訪し中国消費動向を体感することにした。

 

杭州でも認知度が広まりつつある「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)

アリババが展開するO2O型リテールスーパーマーケット「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)が杭州でも認知度が広まりつつある。そこで今回は、2017年9月に開業した「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)杭州店を訪問し、最新探訪レポートを記載してみたい。

2月16日に春節を迎えた中国であるが、春節前後は人民の大移動が始まり主要駅や空港は、まさに地獄絵図のような光景を繰り広げられることとなる。中国への観光旅行は人々が移動する春節前後の時期には絶対に行ってはいけない。

さて、旧正月である2月16日杭州「運河上街ショッピングモール」にある「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)を訪問してみた。春節の時期はショッピングモールのレストランも閉店する店が多いが「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)は通常通り運営しており、多くの人で賑わっていた。

「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)をご存知ない方に簡単に説明すると、アリババが2016年末から重要戦略として展開する「ニューリテール戦略」(新しい小売)の中核的な店舗である。お客さんは事前に会員登録しアプリをダウンロードすることによって、購入した商品をオンライン購入して自宅に配送することが出来る。それも店舗から3キロ圏内であれば宅配無料でサービスしてくれるのである。

また、店内は生きた海産物など新鮮食材が数多く配置され、同時に調理するスタッフも配置されており、購入と同時に調理してもらい、食事スペースで出来立ての料理を楽しむことも可能なのである。

詳しいコンセプトは、過去記事において詳細にお伝えしているので、関心ある方はご確認いただけると幸いである。

【アリババニューリテール戦略の全貌】第3回:盒馬鲜生(ファーマーションシェン)は4つの複合体O2Oスーパーマーケット|アリババ

【アリババニューリテール戦略の全貌】第6回:盒馬鲜生(ファーマーションシェン)5都市10店舗新規同時オープン、予想以上のスピードで急成長

盒馬鲜生(ファーマーションシェン)のロゴであるカバがお出迎え

この店舗もやはり3キロ圏内は無料配送をうたっている

 

天井を走るベルトコンベアー、オンラインオーダーに対応する青いトレーナースタッフ

店内には、各エリアに盒馬鲜生(ファーマーションシェン)の青いトレーナーを着たスタッフが配置され、端末から担当注文を瞬時に確認できる。スタッフは、お客さんからのオンラインオーダーを受け取れば、商品をタグ付きのカバンに詰め込み、上に流れるベストコンベアーに商品を流していく。慣れた手つきで時にはスタッフ同士で相談し極めて迅速である。ベルトコンベアーに流された商品は、バックヤードにいるデリバリースタッフが受け取りユーザーの自宅まで迅速に届けるという仕組みである。もちろん、お客さんは普通のスーパー同様に、買い物カゴに入れてその場でキャッシュレス会計することも出来る。

ベルトコンベアー、青いトレーナースタッフ

ちなみ、ユーザーは商品に添付されたEタグをアプリでスキャンすると、近隣のスーパーマーケットでの値段まで表示され、盒馬鲜生(ファーマーションシェン)の値段が割安なのか割高なのか瞬時に理解できる。

Eタグと キャッシュレス支払機

商品アイテムとしては、かなり充実しており、日本製品のコーナーなども展示している、中国人の定番アイテムとなった「熱さまシート」「蒸気でアイマスク」「岡本のコンドーム」などの人気商品が置かれている。

余談ではあるが明治ブランドの牛乳は21元で販売されている。1リットルのミルクが360円程度するのだからこの数年で中国の物価上昇は凄まじいものがある。

 

中国人に人気の新鮮な生きた海産物コーナー、なかなか他店では購入できない

中国人は、冷凍状態でなく生きた状態の海産物を好む傾向にある。盒馬鲜生(ファーマーションシェン)には、生きたカニ、エビ、魚などがたくさん揃えられ、中国人にとって人気コーナーとなっている。

海産物コーナー

我々が訪問した時期は、ちょうど春節ということもあってか、生きた海産物が飛ぶように売れており活況を呈していた。タラバガニは500g239元(中国500g/一斤単位の値段表示が多い)で、日本円でキロ8400円程度となるが4杯一気に大人買いしていくおばあちゃんに遭遇した。驚いていると、周りのロブスターや大型の魚にも注文が頻繁に入り、その後もタラバガニが飛ぶように販売されて行った。

中国春節の購入意欲は、日本人からすると見ているだけで、十分にエンターテイメント性がある。春節時期の特殊要因も重なったせいか、改めて中国の個人消費が依然として活況であることを感じざるを得ない店舗訪問となった。

 

調理人やレストランスペース

さて、購入した海産物は、依頼すれば調理人がその場で好きなように調理してくれる仕組みになっている。調理された料理は、温かい出来立てとしてレストランスペースに運ばれ、テーブルについてゆっくりと食事を楽しむことが可能である。周辺には、鍋料理、お寿司、ローストチキンなどの店舗も配置され一種のフードコート的なスペースとして人気がある。

ただ、この日は春節ということもあってか調理を依頼するお客さんの数は少なく、購入者の2割程度であったであろうか。大半の人が食材を購入してすぐに家族の待つ自宅へと戻って行った。

料理人                                       レストランスペース

 

試行錯誤の中で進化していく盒馬鲜生(ファーマーションシェン)

盒馬鲜生(ファーマーションシェン)は、アリババのジャックマーが2016年末に初めてコンセプトを口にしたニューリテール戦略の中核を担っている。考えてみれば、コンセプトが発表されてからわずか一年足らずしか経過していないのである。

今回の店舗訪問でも、キャッシュレスペイメントの自動機械がいくつか故障していたり、水産物コーナー近くの水回りに問題があり水が溢れかえっていたり、日本では考えられない問題点も多い。こうした問題点は、日本人からすると見切り発車的すぎると批判の対象になるのかもしれない。

しかし、盒馬鲜生(ファーマーションシェン)が将来的に目指しているO2O店舗のあり方は、従来の小売業のあり方を根本的に変えるパワーを秘めている。多少のトラブルには目をつむり今後も大きなトレンド変化に注目する必要があるだろう。

現在、日本からも盒馬鲜生(ファーマーションシェン)に対する興味が高まりを見せている。実は、同様にアメリカ人のリテール関係者を中心に、盒馬鲜生(ファーマーションシェン)に対する関心が高まっている。盒馬鲜生(ファーマーションシェン)店舗見学ツアーの人気が高まりを見せているのである。

Glotechtrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今後もアリババのニューリテール戦略の動向に高い関心を持って注目し、皆様に情報をお届けしていくつもりである。