もう交通警察はいらない?杭州スマートシティプロジェクト(ETシティブレイン)が最終テスト段階!?

アリババと杭州市が協力し進められている杭州ETシティブレイン計画(天曜=テンヤオ)の進捗が発表された。市中に設置された1700台の監視カメラからのデータ解析を通じて信号変換調整、交通事故、交通渋滞、交通違反などを20秒で把握、しかも無人体制運用。実用化に向け着々と準備が進む。

 

杭州のスマートシティ化計画、その名もETシティブレイン(天曜=テンヤオ)計画!

アリババは、昨年11月に中国科学技術部が発表した第一次次世代人工知能4大プラットフォーム発展計画において、中国のスマートシティ分野のプラットフォーム構築を担当することとなっている。ちなみに、ほかの3分野は医療分野のテンセント、自動運転の百度(Baidu)音声認識分野ではアイフライテック(iFlyTek)となっている。

参考記事:中国科学技術部が次世代4大人工知能プラットホーム発展計画を策定、その一翼を担うアイフライテック(科大訊飛/iFLYTEK)とは!

さて、アリババ社内でシティブレイン計画を担当するのは研究部門の中枢であり、アリババ最高の頭脳が集結するiDST(Institute of Data Science and Technologies)である。iDSTは、画像認識技術をベースとしながら、人工知能によるディープラーニング、クラウドコンピューティングなどを駆使しこの大プロジェクトを進めている。さて、iDSTと杭州市が協力して進められているETシティブレイン計画(天曜=テンヤオ)であるが、このほどその進捗度合いが公開された。

  

249台もの監視カメラを配備し、瞬時に信号調整、交通渋滞、交通違反、交通事故を把握!

従前から杭州の街には監視カメラが多く設置されていたが、2018年に入り監視カメラの性能が格段にアップグレードされたという。その結果、交通状況を把握しながらの信号ライトの調整を以前よりも効率的に実行できるようになったという。また、駐車違反、信号無視、左折禁止などの交通違反や、交通渋滞、交通事故の発生などを、発生からわずか20秒程度の時間で把握し、システム上にアラームを発信することができるという。しかも、昨年までのシステムではカメラの映像をモニタリングするスタッフを24時間体制で配備していたが、現在では画像データのディープライニングが進み人工知能による自動解析で無人化かつ年中無休での体制が構築できているという。

2018年3月時点で杭州市中心部をメインに249台ものETブレインに接続されたカメラが設置され中心部を中心に市の43%をカバーしているという。2018年末までには合計で1700台の監視カメラが設置される予定だという。モニター対象は、自動車やオートバイだけでなく、中国で頻繁に見かける電気自転車や歩行者なども対象となっている。

現在は、まだテスト段階であるため交通違反に対して反則金が発生することはない。しかし、このシステムが本当に稼働することになれば、駐車違反や信号無視などは一発で検挙することが可能となる。キョロキョロと警察官が付近にいないことを確認して、隙を見て路上駐車して一瞬だけ買い物をするなどという人間らしい行動は、もう許されない世界に突入するのかもしれない。

杭州が世界初の人工知能により交通監視される都市へ!

このシステムが実現すれば、杭州は世界で初めて人工知能によって都市交通をモニタリング可能な都市になる。交通違反に対して、どの程度まで厳格に処罰を行うかは別問題となるが、確実に交通状況を把握するシステムが人工知能によって誕生しようといている。

現在のテストでは、平均で毎日およそ2500回に及ぶイベント警告が発せられるという。イベントの中には、交通違反、交通事故、交通渋滞などが含まれるというが、そのイベント発見に対する警告正確率は95%に及ぶという。

例えば、本当に交通渋滞が発生して車が動かないのか、あるいは局所的な道路工事で一時的にだけ車が停車しているだけなのかといった微妙な判定も含めて、ディープラーニングを駆使した人工知能の判断で、ほぼ正確に認定できるというレベルに達しているということである。

このデータは、夜間帯など画像判定しにくいであろうと思われる時間帯も含まれており、夜間でも昼間とほぼ同じだけのデータ解析の正確さが保たれているという。

物事が発生してからわずか20秒で警告を発し、その正確さが95%だというのだから交通警察も人工知能に置き換えられてしまう時代に突入したと言えよう。

ETブレインは、中国の他の都市だけでなく海外へも輸出!

公表されたテスト結果では、ETブレイン導入後では、導入前と比べて自動車を活用した移動時間が15.3%短縮されているという。これは信号の効率化により渋滞の緩和が大きな要因だという。また15.3%という数字は今後のカメラ増加やシステム増強によりさらに短縮できる見込みであるという。

このETブレイン計画は、杭州で導入された後は、国策に沿って中国都市のスマートシティプラットフォームとして他の都市にも拡充される予定である。すでに、蘇州、衢州、天津、マカオなど中国の7つの都市でも導入予定である。

さらに、海外への展開もすでに決定しておりジャック・マーがデジタル経済担当として政府顧問を担当するマレーシアにおいて、首都クアラルンプールの交通渋滞解消の切り札として導入が決定している。ただ、マレーシアは今月中にも首相選挙に突入すると言われており、中国寄りの経済政策を掲げる現首相のナジブと前首相のマハティールが争うことになりそうだ。マハティールは、反中の政策を掲げているので、もしマハティールが勝つようなことがあれば、このプランも頓挫する可能性はなくもない。都市のスマートシティ化は、国民の移動に関するデータが中国へ流出することを意味するため、出来れば技術を輸入するのではなく、国家として独自に取り組みたい課題であろう。

参考記事:クアラルンプールがスマートシティ実現で渋滞緩和へ!アリババクラウドがマレーシア政府とシティブレイン計画を調印

ETブレインが実際に運用開始されれば、人々の移動に関するデータも全て把握されることを意味する。プライバシーを尊重する立場からすれば、恐ろしい世の中になったと感じる人も多いだろう。人工知能の進化が、我々に多くの新しい問題点を投げかけてくれる時代である。GloTechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としてもこうした問題についての回答を用意してみたい。