シンガポールのライドシェアGrabが複合ビジネスモデルを志向しスーパーアプリへと変貌中!

Grabが長年の野望としてきたスーパーアプリへの道を歩みはじめた。UberEats買収によるデリバリー進出やGrabPayによる決済事業進出は以前より展開していたが、今年に入りZhongAn(衆安保険)、オンデマンドビデオを提供するHOOQと提携を発表し、他分野での事業展開を加速し大変興味深い。

 

GrabがNetflixのようなビデオオンデマンドサービスを開始へ!HOOQと提携

Grabと言えば「ライドシェアサービス東南アジアNo1」と言うイメージの企業であったが、今後はライドシェア単独のイメージは大きく変わりそうな予感である。

1/28、Grabは同じくシンガポールを拠点とするHOOQ (NetFlixのようなオンデマンドによるビデオ配信事業)と提携し、ハリウッド映画、スポーツ番組、人気のローカル番組、HOOQの無料チャンネルなど1万時間以上のコンテンツ配信を行うと発表した。まずは、シンガポールとインドネシアのGrabユーザー向けに、3月末から3ヶ月トライアルサービスを利用できるようにするという。

HOOQは、シンガポールの通信会社であるSingtelやソニーピクチャーズエンターテイメント、Warner Brothersなどを株主として2015年にシンガポールに設立された会社であり、東南アジア市場でNetFlixのようなオンデマンド形式の動画配信サービスを展開している企業である。今後、Grabのアプリ経由でオンデマンド動画配信が見られ、ユーザーはGrabのアプリ滞在時間が増加することになるだろう。

 

シンガポールを拠点とする東南アジア市場でのライドシェア最大手Grabとは?

既にご存知の方も多いと思うが、Grabはもともと2012年にマレーシアで設立された企業である。その後、順調にビジネスを拡大し2014年に本社をシンガポールに移転し、現在ではマレーシア、シンガポール以外に、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、カンボジアの8カ国でビジネス展開を行っており、東南アジアで圧倒的な存在感を示すライドシェアサービスとなっている。ソフトバンクや中国のライドシェア企業であるDidiChuxing(滴滴出行)などが株主として投資してることでも有名である。

 

1/16 Grabは、保険事業にも進出!パートナーには、中国の小口フィンテック保険ZhongAn Insurance(衆安保険)!

実は、Grabがライドシェア事業から多角化を目指す動きは、HOOQとの提携が初めてではない。1/16にも、Grabは保険事業に関するデジタルマーケットプレイスの構築を目指し、中国のZhongAn Insurance(衆安保険)との提携を発表しているのである。2019年になり、急速に他分野への進出を加速しているのである。

ZhongAn Insurance(衆安保険)と言えば、フィンテック技術を活用した、小口保険で有名な企業で、スマホから簡単に旅行保険やEコマース注文時の返品に伴う送料の保険などで有名な会社である。中国で、アントフィナンシャルが展開するスーパーアプリ「アリペイ」を活用して、大成功した企業としても有名である。今後、東南アジアでもGrabアプリを活用して、中国で成功したユニークな小口保険商品の販売戦略を展開していく可能性が高い。

参考記事:

フィンテック企業IPOラッシュ時代へ、注目度No1のインシュアテック企業、3円掛金で300円補償、セコすぎる保険が熱い!

損保ジャパン日本興亜と中国フィンテックの雄「衆安保険」子会社が日本のインシュアテックで提携!

 

Grabが中国のアリペイやWeChatのような総合(コンプレヘンシブ)スーパーアプリを目指す?

現在のGrabのアプリ画面を少し確認しておきたい。アプリのトップページには、ライドシェアの他にフード(フードデリバリー)、Delivery(近距離配達)などの機能が組み込まれているが、まだ中国のアリペイやWeChatといったスーパーアプリと比較すれば、機能面はそれほど充実しているとは言えない。

しかし、Grabは、2018/3/26に東南アジアで同じくライドシェア事業を展開していたUberを買収したことで、Uber社が展開していたUberのライドシェアサービス、UberEatsのデリバリーサービス事業を抱えることとなった。東南アジアの道路には、Grabタクシーの他に、Grabのロゴをつけたオートバイがフードデリバリーをしている光景をよく見かける。

加えて、最近勢いを増しているのがGrabPayである。東南アジアの喫茶店やレストランで、GrabPayを活用して決済ができる場所が、加速度的に増加している。食品デリバリーや決済に加えて、2019年に入り、オンデマンド配信、保険販売機能など分野で、業務提携を加速しているのである。

おそらくGrabが目指しているものは、単なるライドシェアアプリとしてのNo1のポジショニングではなく、アントフィナンシャルが展開するアリペイのような複合スーパーアプリであろう。

現在、東南アジアにはアリペイやWeChatのように一つのアプリから複合型ビジネスモデルを展開するスーパーアプリはまだ存在していない。Facebookなどのアメリカ企業が市場シェアを獲得しているが、複合スーパーアプリとしては発展していない。そういう意味では、Grabは、東南アジアで初めて、スーパーアプリを通じて複合ビジネスにチャレンジする最初の企業と言えるだろう。果たして、Grabはスーパーアプリとして東南アジアの覇者になれるのだろうか?

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