中国版オフィス置き菓子「小e微店」、この分野にもキャシュレス決済とビックデータの活用が及ぶ|小e微店

2017年から中国では「オフィス置き菓子」の分野が新しいVCの投資先として熱気を帯びている。2017年1-7月の資金調達金額は、述べ25ラウンド28億中国元(日本円で450億円程度)に及ぶ。「小e微店」と「CITYBOX」のビジネスモデル事例をレポートする。

 

  • 日本で普及しているオフィス菓子との相違点

日本でも、2015年あたりから「オフィスグリコ」や「オフィスおかん」が普及したが、中国でも2017年に入りオフィス置き菓子を導入する企業が急激に増加している。

日本との共通項としては、企業負担なくオフィスの休憩室や自動販売機スペースにお菓子やジュースを設置でき、従業員がわざわざ近場のコンビニに外出することなく導入企業としては業務効率向上という恩恵を受けられるのが売りだ。

異なる点としては、日本ではお菓子の横に設置された支払いボックスに現金を入れて支払を完結することに対して、中国ではスマホでキャッシュレス決済で現金で支払い出来ない点である。

実は、決済におけるこの小さいな違いが、双方のビジネスモデルの可能性に大きな影響を及ぼすことになるのかもしれない。

 

  • 「小e微店」は、既に2000以上のオフィスにオフィス置き菓子を導入しさらに拡大中

小e微店 payment

「 小e微店」は、北京を拠点とする企業で、既に北京に1000店舗、 上海と広州にそれぞれ400店舗、深センに200店舗、合計で2000店舗の導入実績がある赤丸急上昇のスタートアップ企業である。

商品は100Sku(Stock keeping Unit) ほどのアイテム数を設置でき、菓子パン、お菓子、ジュース、カップラーメンの他要冷凍のアイスクリームなど冷凍品も完備されている。

ターゲット層は、25-40歳のホワイトワーカー、現在までの客単価は、8.5-9.5元程度(150円前後)と少額ではあるが、売上総利益は30%ほどと高い。今後は年内に1万店舗ほどまで拡大する方針だという。

「 小e微店」は契約企業に定期的に商品の販売実績データと在庫管理データを送り、在庫と販売数の不一致(盗難などが考えられる)を契約企業側に報告する仕組みとなっている。契約企業へ損失補償は求めないが、契約企業側は企業の評価と直結するため、従業員にルールを守って購入することを強くアナンスするなどして徹底を測り、それでも改善されな場合は、小e微店としても契約解除などの措置をとることとなる。

小e微店の創業者の分析によると、オフィス置き菓子業界は、無人コンビニと比較してもシステム的に大変簡易であり、低コストで新規出店ができるため参入障壁が低い。また、オフィスの中はいわゆるリテールビジネスの真空地帯であり、他の小売店が存在しない。そのため現在の中国では、美味しそうに見えるこの分野に一気に皆が参入し、競争が激化しているのだと言う。

一度面白いビジネスモデルを見つけると皆が一気に参入していくるのは中国特有の現象である。しかし、同時に興味深い2つの点を語っている。

1、良いオフィスにサービスを提供したければ、一番最初にスピードを持ってその企業と契約してしまわなければならない。企業側は複数の供給企業と契約はしないため、最初に大手の企業と契約をして、良いサービスを継続すれば、後発企業は参入できず最高の参入障壁になる。

2、在庫回転率を高め運営効率を極限に高める努力が必要であり、それを実現する手段が、スマホ決済から得られるビックデータ分析だと言う。

実はこの2つ目の項目がビジネスの肝になっているのである。

 

  • 小e微店 スマホのキャッシュレス決済から導き出されるビックデータ分析。2週間で全ての商品が1回転。

小e微店の現在の在庫回転率は、2週間で一回転するという。彼らの経験上、最初の100店舗までの開設は比較的、効率性など複雑に考慮せずとも容易にビジネスを展開できたという。しかし200店舗を超えたあたりからは、業務効率が複雑になり2000店舗の現在は、ほぼビッグデータに依存しないと効率的な運営は不可能という。各店舗ごとに売上データを分析し、店舗ごとに相応しい商品選択など、在庫回転数を高めるための努力を各店舗ごと行なうためには、人的判断を一切介在することなく、ビッグデータとの連携でAIで解析することが不可欠となってくる。

現在の、小e微店の商品補充担当者は、1人で25店舗を担当しているが、近い将来効率化をより高め35店舗まで担当できるようなシステムを構築中だという。

 

  • CITYBOXの事例。

「CITYBOX」という別の事例があるのでこれもご紹介したい。ここは、アリペイと連携し、最初にアリペイでドアをスキャンし鍵を解錠し、商品を選択する仕組みになっている。ユーザーは、商品を棚から取り出し、扉を締めれば自動的にアリペイから支払いが完結する仕組みとなっている。パンやスナックにジューズなどに加えて、新鮮なフルーツやサラダなども完備しているという。

アリペイで、認証し決済していると言う時点で、ユーザーは自動的に芝麻信用への信用スコアに影響を与えることを理解しているため、万引きなど、芝麻信用のスコアを劣化させるような行動の抑制につながっていると言うわけだ。

 

  • オフィス置き菓子業界の今後

現在、中国のオフィス置き菓子業界は、群雄割拠の情勢がある。しかし、やがて業界地図が少し鮮明になって来た段階で、アリババやテンセントといったキャッシュレス決済の両雄が業界大手を買収するという形で食指を伸ばして来ると思われる。

こうしたオフィスの置き菓子ビジネスと、アリババの持つオンラインのビッグデータと芝麻信用のデータを活用させれば、さらなる面白いビジネスモデルへ発展させられることは確実だからである。

小e微店の社長も、ビジネスを拡大したあとでアリババに提携あるいは売却することを選択しとして考えているはずである。現在の利益規模は小さいかもしれないが、この企業が保有するホワイトワーカーがオフィスで消費するスナックや飲料のデータには、それ以上の価値があることを知っているからである。将来の売却価値は、驚くような企業価値がつき世間をあっと驚かせる日はそう遠くはないのかもしれない。

そういう視点で日本企業のオフィス置き菓子サービスを再考してみると、大変興味深い部分があるように思う。

キャッシュレス社会が、人々の身近なところに入り込み、キャッシュレス決済が習慣となっていくと、そこに蓄積されたデータがまた新しい効率的なビジネスを生み出すと言う好循環が広がっていくのである。たかがオフィスの置き菓子と甘く見てはいけない面白い業界である。VCからの資金が集まるのも納得である。