KPMGが「世界を牽引するフィンテックTOP100」を発表(2017年度版) トップ3を中国勢が独占!日本勢の名前なし

11月15日KPMGがフィンテック企業の2017年世界ランキングを発表した。1位はアントフィナンシャル。2位は香港市場に上場したZhongAn。 3位もNYSEへ上場したQudian (Qufenqi)となった。 中国勢が1-2-3位を独占!

 世界のフィンテックを牽引するのが中国勢。日本勢はMoneyTreeが87位に唯一ランクイン

KPMGが発表した「The Fintech100 – Announcing the world’s leading fintech innovators for 2017」、今年のトップ10は以下のようなランキングとなった

  • Ant Financial – China
  • ZhongAn – China
  • Qudian (Qufenqi) – China
  • Oscar – US
  • Avant – US
  • Lufax – China
  • Kreditech – Germany
  • Atom Bank – UK
  • JD Finance – China
  • Kabbage – US
  • (87位) マネーツリー株式会社

日本勢で健闘しているマネーツリー株式会社については、個人資産の管理ツールサービスとして日本のメディアに取り上げられることが多いのでご存知の方も多いだろう。

参照ーKPMG website

大方の予想通り中国フィンテック勢が1-2-3を独占する2017年度のフィンテックランキングとなった。中国フィンテック勢が世界を席巻していることを改めて確認するランキングである。

1-3位に加えて、中国平安グループである6位のLufax()と、京東グループである9位のJD Finance を含めるとトップ10のうち半分を中国勢が占める。

fintech top 100 in the world h2 KPMGPhoto from:H2&KPMG

ちなみに首位のアントフィナンシャルの時価総額は非上場のため推計レベルであるが2017年9月のクレディ·リヨネ証券(仏)アナリストElinor Leung氏は750億USD(日本円で8兆4000億円)を超える時価総額と試算している。2位のZhongAnは、香港市場での時価総額が1088億HKD(日本円1兆5000億円規模)となっている。

日本の伝統的金融機関の代表格である三菱UFJフィナンシャル·グループの時価総額が約10兆円。三井住友フィナンシャルグループが約6兆円規模、野村ホールディングスで2兆4000億円程度と比較しても、いかに中国のフィンテック勢が大きな規模でビジネスを拡大しているのかご理解いただけるだろう。

参照:フィンテック企業IPOラッシュ時代へ、注目度No1のインシュアテック企業、3円掛金で300円補償、セコすぎる保険が熱い!

「フィンテック総合金融機関」– このビジネスモデルは中国だけの特徴である

ランキングの中で、1位を独走するアントフィナンシャルと6位の平安グループのLufaxや9位の京東のJD Financeに共通する特徴がある。それは、総合フィンテック企業としての広範なビジネス領域を保有している点である。

このビジネスモデルは、現在日本には存在しないので読者の皆様にご理解いただけるのは困難かもしれない。

簡単にいうと、彼らが提供するスマホのアプリを通じたプラットホームに全ての金融サービスがてんこ盛りに組み込まれている。

預金、決済、与信、金融商品の販売、保険、クレジットなどの金融サービスが何でもかんでもスマホアプリでボタン一つで完結し、ユーザーの観点からすると極めて便利なのである。預金として遊んでいる資金には、銀行よりも高い金利がつく。その有利な金利を享受しながらボタン一つで金融商品、保険、クレジット、ローンなどの金融サービスは、もちろんのこと、小売店での支払い、タクシーでの支払いなどありとあらゆる金融サービスを享受できる。

さらに、そのプラットホームは一般事業が続々と相乗りし、フィンテックがプラットホーム上で一般ビジネスとリンクして、ますます拡大するように設計されている。総合金融サービス+テクノロジー+一般事業と言う形の総合フィンテック企業体なのである。

このビジネスモデルは日本ではまず有りえない。このビジネスモデルは、実はアメリカにも存在していない。

 中国のバンドリングとは正反対の日本のアンバンドルの動き!なぜ日本にフィンテック企業が育たないのか? 

今年のフィンテックリポートでも上位100位に日本勢の姿はなく、かつての金融立国の面影はなく残念な結果となった。

大きな理由の一つとしては、日本では伝統的な金融機関が高度に発展しているため、より高いサービスを求めるニーズが少ないのかもしれない。法整備の不備もよく指摘されるところである。

当サイトは、日本でフィンテックが発展しない理由として、日本のフィンテック企業がアンバンドルの発想だという点を指摘しておきたい。

日本のフィンテック企業の発想は、現在アンバンドルの方向に進んでいる。一つのサービスを金融機関から切り離し、それをテクノロジーを活用してより快適にするための取り組みが主流である。

例えば、APIを活用した家計簿アプリの試みや会計アプリに対する取り組みなどが代表である。キャッシュレス決済にも数多くの企業が参戦し群雄割拠の様相で覇権争いが激化しているが、決済をより便利、快適にと言う言葉は聞くが、本当は中国のように決済データを活用してそのあとのビジネス展開を総合的同時にプランしてこそ本当のフィンテックの醍醐味である。

総じて、日本にはアントフィナンシャルのような総合的なフィンテック金融機関を目指す企業の存在はない。

世界のフィンテックをリードする中国勢の動きを見ていると、数年前のアンバンドルの動きから、完全にバンドリングの動きへシフトしている。全てのフィンテックサービスを一つのプラットホームで提供できてこそ、本物のフィンテック企業としての付加価値が生まれるのである。

アントフィナンシャルの経営者のような発想を持った起業家が日本に誕生すれば、メガバンクを中心に多くの金融機関が協力し、フィンテックの普及が加速するのではないだろうか。

GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今後も世界のフィンテック企業の動向及び日本勢の躍進に注目していく予定である。

*なお、当初の記事に一部情報の誤りがあったため加筆修正を加えている。ご容赦いただければ幸いである。