大規模な「都市封鎖」の中で中国デジタライゼーションが人々の暮らしを支える!

新型コロナウィルス(武漢肺炎)の拡大が依然として続いている。中国の大都市を中心に多くの都市が封鎖され、対象となる人々はおよそ4億人に上ると言われる。さて、都市封鎖が長期間する中で人々はどうやって暮らしているのだろうか?在宅勤務のあり方、食料調達、子供の教育、在宅での余暇の過ごし方、実はその全てに深くデジタライゼーションが活用されていた!

 

近年の中国デジタライゼーション進化が都市封鎖環境下の人々の生活を支える!

1/23には、新型コロナウィルス(武漢肺炎)の中心となっている武漢の街が封鎖され都市機能がストップした。数日後には他の都市も追随し、現在では多くの都市が封鎖された状態にある。これほど静かな旧正月期間は、おそらく歴史上初めてで、中国政府は新型コロナウィルス(武漢肺炎)の蔓延防止と経済損失の間で難しい舵取りを迫られている。

さて、都市封鎖が開始された後の半月余りの生活を見てみると、意外なほど、人々の生活が成立していることに気がつく。会社に出勤できない人々は、クラウドオフィスアプリを活用し在宅で仕事をしている。食品デリバリーアプリを活用し食料を調達し、学校に登校できない生徒のためにオンライン教育が充実してきている。オンラインによるエンターテイメントも選り取り見取りで不自由なく生活しているようにも見えてしまう。

写真:杭州市のあるマンションの入り口に書かれた規制:GloTechTrends撮影

実は、この数年間で急速に進化した中国デジタライゼーションの基盤が、都市封鎖という特殊な環境下で活用され人々のライフラインをサポートしているのである。それどころか、新型コロナウィルス(武漢肺炎)の影響によって従来はデジタライゼーションを活用していなかった人々も、強制的にオンラインの世界に取り込まれ、中国のデジタル化がむしろ加速しているようにも見える。実は、新型コロナウィルス(武漢肺炎)の蔓延が、中国のさらなるデジタライゼーションを加速させているという奇妙な現象が起こりつつある。以下に、大規模都市封鎖の中で人々がどのように生活しているのか紹介しておきたい。

买菜(マイツァイ)アプリの大爆発!夜中に食料をオンラン注文!

中国では、ここ数年「买菜(買菜:マイツァイ)アプリ(新鮮食品のデリバリー注文アプリ)」が人気を誇っており、買い物にいく時間のない若い世代を中心に新鮮食料を迅速デリバリー注文するスタイルが人気となっていた。

参考記事:

朝市店舗がフードデリバリー「Ele.me(ウアラマ)」を活用し売上急拡大に成功!

こうしたサービスは、以前はデジタライゼーションに慣れ親しんだ使いたい人を中心に普及していたサービスであったが、都市封鎖の環境下では高齢者なども含めデジタライゼーションと無縁であったグループも巻き込み、买菜(買菜:マイツァイ)アプリがライフラインとして活用されるようになっている。

买菜(買菜:マイツァイ)アプリは、既に中国では多数存在しているが、都市封鎖の環境下で売上を加速度的に伸ばしている。例えば、叮咚买菜(ディンドンマイツァイ)は、都市閉鎖前と比較して3倍の売上を記録し客単価も70%増、毎日優鲜では、大晦日から約1週間において前年比3.5倍の売上を記録し、客単価も前年の30元から120元と4倍、京東到家(ジンドンダオジャー)では、大晦日からの約1週間で、前年比4.7倍増の売上を記録し、中でも長期保存が可能な冷凍食品は、8倍近い売上を記録しているのだという。

アプリごとに新規に仕入れられる食材が更新される時間が異なるため、主婦を中心にどうやったら効率よく食料が入手できるのかの攻略ネタもSNSで話題となっている。买菜(買菜:マイツァイ)アプリの中には、午前0時に食料更新が行われるアプリもあり、人々が更新時間を待機し肉や野菜の争奪のために买菜(買菜:マイツァイ)アプリに殺到する現象が展開されている。

2016年末よりアリババが推進してきたOMO(オンラインとオフラインの統合)によって、中国ではオンラインを活用し生鮮食品を購入することが人々の習慣となりつつあった。こうしたニュー・リテール戦略の土台が都市封鎖の環境下で、さらに加速し、生鮮食品をオンラインによってデリバリーしてもらう新しい消費習慣が国民の隅々に根付いていく可能性は十分にある。

在宅勤務環境をサポートするクラウドオフィスアプリ「釘釘(DingTalk)」の爆発的普及!

都市封鎖という環境下で人々の働き方も急速に変化している。アリババ、美団(Meituan)、小米(Xiaomi)などのインターネット企業は、当初会社へ出社時期を2/14と通達していたが、2/17に延期されさらに現段階では2月末まで延期されている。

出社できない社員はクラウドオフィスアプリを活用して在宅勤務を既に開始している。2/4の時点では、会社員の42%の人々がSaaSによるクラウドオフィスアプリを活用して「在宅勤務」を実演していると回答しており、人々の働き方にも大きな変化が生じている。中国アップルストアの最近のダウンロードランキングを見ると、第1位となっているのがアリババの提供するクラウドオフィスアプリ「釘釘(DingTalk)」である。テンセントが提供する会議アプリ「騰訊会議(テンセントミーティング)」が2位、同じくテンセントが提供するクラウドオフィスアプリ「企業微信(チーイエウェイシン)」が5位となっており、いずれも在宅勤務をサポートするクラウドオフィスアプリである。

         Top Apps on iOS Store, China, Overall, Feb 12, 2020, from: appannie.com

少し前までは、ビジネスシーンでもWeChatやQQといったC向けのSNSツールが活用されていたが、こうしたC向けアプリではビジネス環境にふさわしくない点も多く、ビジネス環境向けに専用に開発された複合的なファンクションを有するクラウドオフィスアプリとして「釘釘(DingTalk)」やテンセントが提供する「企業微信(チーイエウェイシン)」がビジネスシーンを中心に拡大しているのである。

「釘釘(DingTalk)」では、都市封鎖後の急にユーザーが増大しサーバーへの負荷が増大したため2万台のサーバー増強する事態となった。いずれにせよ、都市封鎖という特殊な環境下で「中国版働き方改革」が急速なテンポで半ば強制的に進行していると言えるだろう。

通学できない生徒たちにオンライン教育が爆発的に普及!

もう一つ、都市封鎖された環境下において、再開の見通しが立たないのが学校教育である。教育熱心な中国では、子供達の教育の遅れに対する心配は高く、学校、先生、保護者などが中心となって、すぐにインターネットを通じてのオンラインでの授業が提供されるようになっている。

写真:釘釘(DingTalk)のオンラインエディケーションツール 撮影GloTechTrends

カリキュラムの遅れを生じさせないようオンラインでの授業、宿題、質疑応答などが行われている。実は、杭州のある学校におけるオンライン教育の状況を問い合わせたところ、公立学校が活用しているツールも前述した「釘釘(DingTalk)」であった。「釘釘(DingTalk)」の中にあるライブ機能を通じて、先生がライブ授業を行い、生徒とインターラクティブにやり取りをおこなっていたのは衝撃であった。

義務教育のシーン以外にも、オンライン教育、無料ライブ授業などが活発に提供されている。2/10からオンライン教育を提供する「学而思网校」は、月曜日から金曜日まで無料でのライブ中継授業を提供し、小学校1年生から高校3年生までの全学年の全学科の授業を提供している。封鎖都市という特殊な環境下で、オフラインを中心とした従来の教育のあり方も変わっていくのかもしれない。

日本で都市封鎖が起きたら人々は生活できるのだろか?

現在、中国で発生している現象は、歴史上初めてとも言える「大規模な都市封鎖」である。都市機能は制限され、人々は強制的に自宅待機を余儀なくされている。

果たして、このような現象が日本で発生したとしたら、我々は食料を調達し、子供に教育を与え、通常通りの業務を行い、余暇をストレスなく楽しむことが出来るのであろうか?現在、中国で起きている都市封鎖の経験から学ぶべき点は多いように思う。ここ数年、中国において展開したデジタライゼーションの基盤があったからこそ、都市封鎖環境下においてそれほど中国の都市は混乱せずにいられる点は間違いないであろう。当サイト(GloTechTrends)では「都市封鎖環境下におけるデジタライゼーション活用」に注目していく予定である。

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