【総合フィンテック企業とは】第5回:12/11銀嶺が雲閃付(ユンシャンフー)をアップグレードし総合フィンテック化を鮮明に!

アリペイとWeChatPayの圧倒的な存在感の前ですっかり影が薄くなった「銀嶺」であるが12/11日に雲閃付(QUICK PASS,ユンシャンフー)をバーションアップし総合フィンテック企業化を加速。決済に加えアプリ上で多くの機能を一度に実現するアプリはアリペイを意識していることは間違いない!?

 

銀嶺の新アプリ「雲閃付」(ユンシャンフー)は、QRコード+非接触型ペイメント(NFC)

まずは、発表されたアプリの画面をご覧いただきたい。画面のデザインはアリペイのデザインを参考にしている印象である。

従来銀嶺が研究に固執していた非接触型ペイメント分野(NFC)に加えて、QRコードによる支払いも画面のトップに登場している。非接触型ペイメント分野ではApple Payやサムソンペイ、ファウェイペイなどに対応するという。

しかもアプリを見ると生活のあらゆるシーンで活用できるように、買い物、交通、公共料金の支払いなど多くのファンクションが搭載されている。

このアプリには40以上の商業銀行が提携し統一インターフェースよると同一企画上に銀行同士が競合する関係でなく相互にメリットがある形で連携するという。例えば、A銀行のデビットカードを保有しているユーザーがこのプラットホームに参加することにより、B銀行のデビットカード保有者のみを対象としたプロモーションにも参加できるようになるという。ユーザーの利便性の向上を第一に設計しているという。

こうした機能を見ると、銀嶺も一つのアプリで決済機能に加えて生活に関連するあらゆるアプリを混載する形式の「総合フィンテック企業」化への移行を目指していることがこの十分に伝わってくる。

 銀嶺(ユニオンペイ)のモバイル決済に関する歴史

この機会に、銀聯がモバイル決済分野での歴史を振り返っておきたい。

銀嶺(ユニオンペイ)とは、2002年に中国人民銀行が中心となる形で設立された比較的新しい金融機関である。発行するクレジットカードやデビットカードは、ユニオンペイ/ユニオンカードと言われ、Visaカードやマスターカードなどが含まれる世界7大クレジットカードの一つとして海外でも広い認知度が高い。数年前までは、日本に来る中国人観光客には必須のアイテムとして銀嶺カードがあげられていた。

実は、あまり知られていないがこの銀嶺(ユニオンペイ)こそが、中国で最も初めにQRコードでの決済システム構築の研究に力を注いでいた企業なのである。2005年からQRコード決済に関するプロジェクトがスタートしその活用の可能性が模索された。プロジェクト失敗しチームは解散したが、そのチームの主要メンバーの多くが、現在の中国QRコード決済分野で主要な地位を占めているという。

銀嶺は、2005年からモバイル決済が秘める可能性を強く信じ、QRコードによる決済と合わせて非接触型の決済(NFC)分野の双方で研究を進めていた。結果として、銀嶺は二者択一の選択から非接触型決済システムを会社としての方針と定め中国移動などと提携して非接触型決済の普及に力を入れることなる。

銀嶺は、中国最大の通信企業である中国移動と協力関係を構築し9億元を活用して、1人/30元の補助金を交付することで非接触型決済対応スマホの普及を促進した。

しかし、対抗するアリペイのQRコードペイメントが想像を絶するスピードで普及し、中国モバイル決済戦争に完全に負けてしまったのである。QRコードに対して曖昧なスタンスを維持していた中央政府が、QRコードの促進を後押しするスタンスに切り替えたこともQRコードの普及を加速し銀嶺には不利に働いてしまった。

今、振り返るとこの時の選択こそが銀嶺の社命を大きく変えることとなったといって良いだろう。QRコードを選択したアリペイとWeChatPayの普及スピードは凄まじいものがあり銀嶺の決済市場での影が薄れていくこととなったのである。

非接触型決済ペイメント(NFC)の問題点と中国人の特性

端的にいうと、非接触型決済ペイメント(NFC)の問題点は、以下の3点にまとめられるだろう。

1、全てのスマホ端末で対応できるわけでなく、ユーザーはNFC対応機種を保有する必要がある。

2、店舗側が、非接触型決済ペイメントサポート端末を用意する必要がある。これは、店舗側に初期コストとして強いる負担が大きくなる。

3、非接触型決済ペイメント(NFC)を普及するための、統一規格の設定が必要となる。

また、効率性を高度に気にする中国人にとっては、便利、簡便、廉価という3要素は物事を峻別する際の基軸となる。初期コストがかかる非接触型決済ペイメント(NFC)に対して、QRコードは中国人の効率性を求める性格とマッチして急速に普及することとなったのである。

 雲閃付(ユンシャンフー)は、銀嶺がねらう挽回のラストチャンス!

一昔前なら、日本に来る中国人観光客の全員が銀嶺カードを使用していたように思う。

ただ、銀嶺は完全に市場から消えたわけではなく、挽回のチャンスを伺っていた。

まず、昨年2016年12月に銀聯は、こだわっていた非接触型決済にこだわらず、QRコードを活用した支払いもスタートさせている。さらに、2017年5月27日から40の商業銀行と提携して雲閃付という今回グレードアップされたアプリの第一弾をリリースしている。この時点では、すべての銀行が連携する機能はなく、それぞれの銀行がアプリ上で単独でプロモーションを行うという設計であり効率の低いアプリ設計であった。ユーザーは、プロモが終了するとすぐに従来のアリペイを活用した決済へ回帰していったという。

今回アップグレードされた、雲閃付は40以上の銀行が協力してアプリを盛り上げる設計になっている。合わせてアプリにはアリペイを模倣した多くの機能が搭載され、総合フィンテック企業として一つのエコシステムを構築しようとする銀嶺側の意図も十分に伝わって来る設計となっている。5月に発表されたアプリから随分進化した印象であり、発表後のユーザーの反応もまずまずだという。

Gltoechterends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今回の銀嶺のアリペイに対するモバイル決済分野での挑戦は、おそらく最後の戦いになると考えている。もはや巨大化したアリペイに対抗するのは、相当至難な戦いとなるのは目に見えているが、銀嶺が40以上の銀行を一つにまとめあげ、アリペイとWeChatPayに対峙する戦争は大いに見応えがあるものとなるだろう。果たしてどのような結果となるのか今から楽しみである。

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