中国フィンテックの雄「P2Pレンディング」の悲劇的な結末?「金かえせ!」デモ続出!

中国P2Pレンディング業界の雲行きが怪しい。6月以降毎週20-30社の業者が業務停止となる由々しき事態だ。「金返せ」デモが各地で繰り広げられ一夜にして無一文となる被害者も多い。被害は今後も増大しマクロ経済に影響を与えかねない状況である。

 

P2Pレンディングユーザー5000万人!各地で投資家の不満が爆発!

全てのP2Pレンディング業者に問題があるわけではない。だが、昨年末において2500ほどの事業者がライセンスを取得しP2Pレンディング事業を行なっていたが、関係者の話では今年末には1000社まで減少すると言われている。

この数字が確かなら、この一年間で1500社ものP2Pレンディング業者が事業運営を停止し、そこに投資した人々のお金は帰らぬものとなるだろう。

フィンテックによるテクノロジー進化の賜物ともてはやされ、ビッグデータから得られた信用スコアによって俊逸なリスクコントロールを実現し、貸し手と借り手をプラットフォーム上でマッチングさせるP2Pレンディングのビジネスモデルは、敢え無く撃沈することになってしまうのだろうか?

参考記事:IPOブームが継続する中国のFINTECH関連企業。11月4日にはP2P型消費者金融である和信貸(HEXINDAI) がNASDAQへ上場。

アメリカ上場の消費者金融系中国フィンテック企業に激震! 中国政府による新たな規制が導入。株価は全面的に大暴落!

 

北京や杭州に殺到する中国全土からのP2P被害者たちの悲鳴!

6月以降、P2Pレンディング業者の本社が数多く存在する北京や杭州には投資資金を取り戻すべく中国全土から被害者が殺到している。P2P業者の本社ビル所在地や大型集会施設で「金返せ!」と言う悲鳴のデモ活動が行われている。公安が出動し、泣き叫ぶ被害者を連行するシーンが多数目撃されている。こうした状況は6月末から継続的に続いておりWeChatなどのSNS上で、悲劇的な動画がシェアされるのであるが、直ちに動画が何者かに削除されると言う形で、情報管理されている状態が続いている。

photo from: EPOCH TIMES

最近は台湾メディアなどが特集で大々的に報じるようになり、その危機的状況が中国本土以外でも知れ渡るようになってきている。もはや、中国国内だけで情報管理できないほど深刻な状況になりつつあるのである。

高金利を享受できると持てはやされたP2Pレンディングには、およそ5000万人の中国人投資家が投資し、1950億元(日本円で3兆3000億円規模)にも及ぶ資金が舞い込んでいている。6月にP2Pレンディングに対する当局の監視が強化されたことをきっかけに、6月には300を超える業者が業務運営を停止し、7月にも165のプラットフォームに問題が指摘され53のプラットフォームが運営停止している。突如として行方不明になる経営者も続出し、計画的に従業員ごとまとめて夜逃げするP2P業者も存在する。当局は、如何なる場合も常に連絡できるスタッフを配備するよう通達を出しているが、この状況下では全く意味のない行政指導である。投資家に対して、分割形式で返還すると約束してその場を切り抜ける業者も多いが、数日後には行方不明となる悲劇的な状況なのである。

P2Pレンディングのスキーム崩壊の理由

P2Pレンディング事業は、どうしてこれほどまでに脆く崩壊しているのだろうか?マクロ的な背景としては、中国政府のデレバレッジ政策により債務削減の影響が考えられる。

だが、最も大きな要因はP2Pレンディングを語った悪徳業者の存在である。P2Pレンディングの名前を語り、多くのポンジ・スキーム業者が混在しており、フィンテックを活用したリスクコントロールなど存在せず、高金利を提示し金を吸い上げるだけの詐欺的スキームが混在していたのである。

6/14 には中国金融監督当局のトップである郭樹清氏は、利回りが8%以上なら危険、10%以上なら全額失う事実を受け入れる準備をしなさいと語っている。郭氏は、その時点で多くのポンジ・スキーム業者がP2Pレンディング業界に混在していることを把握しており、その後犯罪者の検挙に取り組んだが、時既に遅しで、投資家の資金が帰ってくるはずはない。

参考記事:中国の高利回り金融商品に続々と問題発生!強制捜査が入るケースも発生!

こうして数多くの逮捕者が出たP2Pレンディングの評判は地に落ち、投資家は逃げ出すように我先にと資金を引き上げようとしている。投資家の間にはパニックが広がり、一刻も早くP2Pから資金を引き出そうと取り付け騒ぎ(バンクラン)が発生し、負のスパイラルを呼んでいるのが今の状況である。急な資金返還要求の前に健全に運営していたはずのP2P企業も苦しい運営を迫られている。どこかで見たいつもの金融危機の歴史が繰り返されているのである。

”金融難民”は、実体経済にも悪影響を及ぼすのか?  

P2Pレンディングの被害は、現在進行形で拡大している最中である。最終的にどれほどの被害になるのかまだ把握しきれていない。今後、多くの投資家がP2Pレンディングからの資金の退避を行う中で、大手のP2Pレンディングでさえも、経営危機に直面する可能性もあるだろう。

この問題は、現時点においては、全体経済にそれほど大きな影響を与えるとは考えられていないが、他の事象と複合的に絡み合い、今後実体経済へと波及してくるかもしれない。

実際のところ、中国人にとって最大の財産の拠り所である不動産価格は、7月以降下落幅が著しいものとなっている。不動産価格の低迷だけでなく、取引量が大幅に減少している点は、実体経済の悪化を示唆している。

たかが、P2Pレンディング事業に騙された金融リテラシーの低い人たちの悲劇的なストーリーだと甘く見ていると、実体経済への影響を見落とすことになるかもしれない。当サイトが注目するスタートアップ関連に関する資金供給にも悪影響があるのだろうか、注意が必要となりそうだ。

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