アメリカ上場の消費者金融系中国フィンテック企業に激震! 中国政府による新たな規制が導入。株価は全面的に大暴落!

趣店(Qudian)に代表される消費者金融フィンテック企業の株価の動きが芳しくない。どうやら上場に水を刺すかのようなタイミングで中国政府が消費者金融フィンテック企業に新規制を導入したようだ。恐ろしいほどに中国の規制は突然やって来る!?

 新規制導入のきっかけは、趣店(Qudian)投資家の上場成功インタビューだ

趣店(Qudian)は10月18日にNYSEに上場された中国の消費者金融を専門とするフィンテック企業である。数日前に発表された2017年度KPMGのフィンテックワールドトップ100のランキングにも3位で登場する注目の企業である。

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公募売出し価格は24USD、人気が集まり初値は公募売出し価格を43%上回る34.35 USDを形成した。翌日には35.45USDをつけ誰もが順調なIPOの成功を祝った。だが、その後に突如の事件が起こる。

趣店(Qudian)の株式を公開前から投資しIPOで莫大な利益を得た投資家があるインタビューで、満面の笑みで投資成功談を語ったのである。

数日後には、消費者金融業界そのものに批判的だったあるメディアがインタビュー記事を掲載し、趣店(Qudian)は高金利の小口ローンを金融知識のない若い学生や社会的弱者相手に提供し暴利を貪っているという趣旨のレポートを掲載したのである。

趣店(Qudian)は懸命に否定するも、メディアと世論のインターネット上での消費者金融業への批判は止まらず、ついに中国の中央政府が重い腰をあげて、インターネットでの消費者金融の新規ライセンスの発給停止、および既存に発給しているライセンスに対しても厳格に対応すると発表したのである。地方政府単位で発給されている消費者金融業のライセンスに関しては、その地域を超えてビジネス展開することにも規制が入るようである。

まだ情報が錯綜している段階ではあるが、この報道を受け趣店(Qudian)の株価は低迷し、現在(11/22日NYSE引け値)16.15USDと公募価格を3割近く下回って推移している。

qudian stock historyphoto from :yahoo finance

 

最近アメリカに上場した中国フィンテック企業は、こぞって大暴落。

趣店(Qudian)の株価下落および、中国政府の規制強化のために消費者金融に特化した中国フィンテック企業は全面安の展開となっている。

同じく10月26日にNYSEに上場した中国のP2P型の消費者金融を展開するPPDAI Groupも同様である。IPO価格は13USD、上場初日の売買では25.25USDまで上昇したものの、この問題のあおりを受けて現在はIPO価格を下回る8.18USD(11/22日NYSE引け値)と公募価格を3割以上下回っている。

ppdai stock historyphoto from :yahoo finance

11月に上場したばかりの中国の金融商品を販売するプラットホームを手がけるJIANPU TECHNOLOGY も同様である。IPO価格8USDに対して、現在は5.75USDと公募価格をやはり3割近く下回って推移しており、中国のフィンテック企業はまさに全面安の様相を呈している。

jianpu stock historyphoto from:yahoo finance 

IPOブームが継続する中国のFINTECH関連企業。11月4日にはP2P型消費者金融である和信貸(HEXINDAI) がNASDAQへ上場。

消費者金融に特化した中国フィンテック企業

読者の方に誤解を与えるといけないので、もう少し中国のフィンテック業界について説明しておきたい。

中国のフィンテック業界は、アントフィナンシャルに代表される総合的なフィンテック企業が主流である。スマホのプラットホームに預金、金融商品、与信、保険などてんこ盛りのビジネスモデルである。これが中国のメインであるが、そのビジネスモデルとは別のグループとして消費者金融(コンシューマーファイナンス)に特化したフィンテック企業群が中国には存在する。これも日本にはないビジネスモデルなので、中国独特かもしれない。

中国の金融リサーチのデータによると、そうした消費者金融に特化したフィンテック企業が現在2693社存在し、うち592社がP2P型のインターネットプラットホームを提供しているという。

こうしたビジネスは、主に広東、北京、上海の3つの領域でビジネスを展開しており、この3つの地域は消費者金融のライセンスが取得しやすかったと推察される。

今後は、中国政府の規制によりこうしたビジネスに新規参入が困難になり既存の企業に対しても締め付けが厳しくなる。

以前、日本の消費者金融でも高金利のため首が回らなくなった借り手の事例や、暴力的な採りたてで社会問題となった経緯があるが、中国でもこれらの業種に対して法律で定めらた上限金利(36%)よりの実質高い金利で提供したり、暴力的な取り立てを行う悪質業者が多く存在していた。今回のIPOの件で、そうした問題が一気に世論からの批判の的となり中国で規制強化されたというのが本件である。

もともと中国では、伝統的な金融機関が個人に対して貸付を行うというのは非常に遅れていた。中国人は、住宅を購入するときに両親や親族から資金を融通して資金調達するという話は日本でもよく聞くが、それは個人相手に金融機関がお金を貸してくれない歴史があったからである。

そこに目をつけたのがビッグデータを保有する企業である。データを解析することによって、貸付のリスクをマネージメントしながら個人に対する資金ニーズを解決して、一気に消費者金融特化型のフィンテック企業がブームとなったのである。

最近では、アントフィナンシャルなどの外部機関の信用スコアを利用する消費者金融も増え、リスクコントロールしながらコンシューマーファイナンスを行うプラットホームがたくさん立ち上がっていたのである。

今回の報道を受けて、アントフィナンシャルも信用データを消費者金融企業へ提供することの規制強化を進めるようだ。

果たして、消費者金融フィンテック企業を襲った規制強化の激震を乗り切れるのだろうか?

中国の規制強化は突然にやって来る。自由に競争させて、社会に害悪が及んで初めて規制導入

さて、本件は中国のスタートアップ企業に対する政策を検討するには最高の事例となった。

もともと、中国では法規制が緩くスタートアップは好きなように活動でき、成長のスピードが早いと一般的に言われる。

ほぼ、自由奔放に好きなようにスタートアップ企業に経済活動を行わせて、社会的な害悪があると当局が判断した段階で、強引に規制強化を行い、後から現場に即した法規制を整備する。

よく一般的に中国のスタートアップを語る上で、言われることではあるが、こうして改めて事例を目の当たりにすると恐ろしいものがある。

日本は、当初から発生するであろうリスクを徹底的に議論し、法整備を充実させてから企業活動を行う。

まさに真逆の事例が、フィンテックの最先端分野で見ることができる。現在進行形のこの問題は、今後の中国のスタートアップを考える上で格好の材料となるだろう。

GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、この問題に関して続編をお届けする予定である。

* なお、本記事は一般的な情報提供を行うものであり、投資勧誘、投資判断への影響を目的としたものではありません。