【GloTechTrendsシルクロード探訪記】アリペイ決済だけでシルクロードを旅できるのか?

キャッシュレス大国と言われる中国で、実際にどれくらいキャッシュレスが普及しているのか質問される機会は非常に多い。既に上海や北京などの大都市では財布を持ち歩かずスマホでのQRコード決済だけで日常生活が完結するのは当たり前である。しかし、実際のところ広大な中国でどれほどキャッシュレス決済が普及しているのだろうか?そこでGloTechTreds取材班は、シルクロードに沿って中国内陸部を新疆ウイグル地区ウルムチ(烏魯木斉)まで列車移動しながらキャッシュレスの普及度を実際に体験してみることにした。

 

中国内陸部でもキャッシュレス決済だけで余裕で旅行が可能!

GloTechTrendsでは、夏季休暇を利用し甘粛省の省都「蘭州」をスタート地点とし、河西回廊に沿り、ゆっくりとシルクロードを列車で移動し、途中駅の「西寧」、「張掖(ジャンイエ)」、「敦煌」、「吐魯蕃(トルファン)」などに立ち寄りながら、ゆっくりと観光なども交えつつ新疆ウイグル自治区の自治区首府「ウルムチ(烏魯木斉)」まで、アリペイ決済によるキャッシュレス決済だけで、旅行が可能なのか検証してみることにした。

結論から先に言っておきたい。万が一のために財布の中に100元札を2枚忍ばせていたが、最後まで全く現金を使用することなく、全旅行プロセスがキャッシュレス決済だけで簡単に完結した。

旅の途中で現金を要求されることもなく、決済に関するトラブルもなく簡単にスマホでのキャッシュレス決済だけで、旅行が完結し、改めて中国の地方都市も含めて、中国全土でキャッシュレス決済が普及していることを痛切に実感した検証結果となった。

ただ、当初の旅行目的はアリペイ決済だけでシルクロード旅行を完結させることが可能なのかがテーマだったが、張掖でのタクシーや吐魯蕃(トルファン)の小売店、移動中の列車内など、ところどころでアリペイ決済を拒否され、その代わりにWeChatPayに限定した支払いを要求された。内陸部(田舎)ではアリペイよりもWeChatPayが普及しているとよく言われるがそれは本当であった。

例えば、張掖(ジャンイエ)で乗車した流しのタクシーでは、アリペイ決済が可能か聞いたところ、運転手に「この街では誰もアリペイを使っていない。みんなWeChatPayだ。」と強い口調で返され、仕方なくWeChatPayで決済を行い、今回の旅の目的であるアリペイだけでシルクロードを旅できるのかという目的は、3つ目の訪問地である張掖(ジャンイエ)で敢え無く失敗に終わった。改めて、WeChatが中国全土で幅広く活用されているのを実感した良い経験であった。

正直なところ、中国内陸部では、まだ現金決済に依存している商売人も存在すると想定していたが、途中下車した全ての決済ポイントで、アリペイかWeChatPayのどちらかが活用でき、QRコード決済だけで問題なくシルクロードを旅することができた。しかも、敢えてキャッシュレス決済が可能な場所を探すという手間も必要なく、自然に行動する場所の決済ポイントの全てでキャッシュレス決済が可能なのであった。改めて、中国全土にキャッシュレスが普及していることを実感させられた。

 

キャッシュレス普及度を確認するためウルムチから更に19時間北上しカザフフタン国境へ!

ウルムチ(烏魯木斉)まであっさりとキャッシュレス決済の旅が完結しやや拍子抜け感があったので、GloTechTrendsは計画を変更し、ウルムチ(烏魯木斉)からさらに北上し、カザフスタンとロシアとモンゴルと中国の国境が交差する中国の最も西北の町「喀纳斯(カナス)」を目指すことにした。

ウルムチ(烏魯木斉)から列車で12時間揺られ、人口7万人程度の小さな都市「北屯市(ベイトゥン)」を経由し、ここからさらに乗合バスで7時間ほど揺られ目的地である「喀纳斯(カナス)」に到着した。

この辺りは、中国と三ヶ国の国境が交錯する地帯ということもあり、モンゴルを彷彿とさせる大草原の中に馬や羊が放牧され、遊牧民族のためのゲルが設営してあり、土産物屋にはロシア人形「マトリョーシカ」が販売され、そして漢民族とは全く容姿の異なるカザフスタン系民族が中心に居住する中央アジアの面影を色濃く反映された文化が融合する地域である。国境隣接という地域性もあって、検問所(公安)も多数配置されており、外国人の私には滞在期間中は、毎日最寄りの交番に出頭し行動計画を申告し登録することが義務付けられた。

こうした場所においても、アリペイとWeChatPayはインフラのように当たり前のように普及しており、ほぼ全ての決済ポイントでスマホでのQRコード決済が使用可能であった。唯一、喀纳斯(カナス)湖近くで発見した荷物預けのコインロッカーに「現金以外お断り」の張り紙がされていたのが、今回の全旅行プロセスで初めて発見した「現金以外お断り」の張り紙となり、逆にそれが新鮮な驚きとなった。

 

OMO型スマートトラベルは次なる中国デジタライゼーションのトレンドか?

さて、今回シルクロードを移動する中でキャッシュレスとは異なった新しい中国デジタライゼーションの新しいトレンドを発見したので最後に簡単にご紹介しておきたい。

それは、スマートトラベルと呼ばれる旅行業をデジタライゼーションでアップグレードする試みであり、実はこれもジャック・マーが2017年に述べた旅行業のスマート化に端を発する新しいコンセプトでもある。

中国の観光地では、現在OMO(OnLine to OffLine)型のスマートトラベルの看板を見かけることが増加しており、オンラインとオフラインを融合した新しい旅行(スマートトラベル)のあり方を模索する動きが進展しているのである。オンラインとオフラインの統合(OMO)といえばニューリテール(新しい小売)が有名であるが、それを応用する形で、スマートトラベルという新しい旅行のあり方を模索する動きが中国の旅行業界で拡大しているのである。

オンラインとオフラインを統合するOMO型のスマートトラベルに関するお話については、注目すべき新しいデジタルトレンドとしてGloTechTrendsのサイト内でもゆっくりとご紹介していくことにしたい。

写真:中国とロシア、カザフスタン、モンゴル国境が交錯する場所にある喀纳斯(カナス)湖」の風景
写真:移動途中のローカルの売店でもQRコード決済が普及している

 

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