中国で盛り上がる人工知能教育!STEAM(スティーム)教育を中心にEdTech市場が爆発的に拡大中!

中国メディアによれば、昨年度人工知能関連分野に就職した博士課程修了者の平均年俸は80万元程度(日本円1280万円程度)との報道が流れた。一昨年の水準が博士課程修了者50万元(800万円)、修士課程修了者30万元(480万円程度)と比較しても上昇幅は大きい。こうした背景に合わせ爆発的ブームとなっているのが子供世代に対するSTEAM (スティーム) 教育である。中国の人工知能教育について少しまとめてみたい。

 

AI覇権を巡り米中が激突する中でSTEAM教育に目覚める親世代たち!

米中貿易戦争は、形を変えたテクノロジー覇権をめぐる米中激突だとは言われることである。実は、こうした世相に最も敏感に反応しているのが、子供を持つ中国の親世代である。米中貿易戦争の激化を見守りながら、親世代たちは人工知能教育の重要性を感じとり、自分たちの子供に対しSTEAM教育を積極的に受けさせようとしているのである。

STEAM教育(スティーム)とは、日本でも話題となっているが、従来提唱されていた理数系分野やテクノロジー関連分野に特化したSTEM教育(= Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学))をベースとして、さらに Art(芸術)のAを加えて提唱された教育手法である。STEAM教育では、数学的、科学的な基礎学力を基礎として、さらにアート的な要素を合わせ持つことを訓練され、数学や技術的な思考能力や論理力に加えて、想像的・創造的なアプローチからも、現実社会に存在する難問を解決できるように教育されるという世界で注目を集める教育手法である。

 

2018年4月中国の教育省が小中学校に人工知能教育導入計画を発表!

中国の人工知能教育関連の出来事を少し確認しておきたい。まずは、2017年7月に、国務院が「新世代人工知能開発計画」を発表し、特に「人工知能の革新的応用の加速」を重視する姿勢を示している。インテリジェント学習とインターアクティブな学習を含む新しい教育システムを構築するとして、プログラミング教育導入および小中学校に人工知能関連コースを設置することをほのめかした。

2018年4月には、上記公表を受け今度は教育省が、大学における人工知能教育の改革計画を公表した。行動計画によれば、小中学校に人工知能に関連した教育を導入することも含まれており、同時に人工知能を各産業に融合するために必要となる総合的教育プログラム構築も発表されている。

 

続々と出版される人工知能教育のテキストは幼稚園児までも対象!

こうした教育指針を受けてSTEAM教育に対する取り組みは、幼稚園児を含む若い世代をも対象として展開されており、現在では多数の人工知能関連テキストが出版されているのである。

例えば、河南人民出版社が出版した「人工知能実験教材」は、全セット33冊ものボリュームであり、幼稚園児から高校生までをカバーする本格的な長編のテキストである。しかも、アップデートの激しい人工知能業界に対応すべく内容も頻繁に書き換えられる予定だという。

その他にも、2018年4月に人工知能分野で有名なスタートアップ「センスタイム(Sensetime)」と華東師範大学が共同出版した全10冊の「人工智能基礎」シリーズや、2018年6月に蘇州大学出版社が発行した全8冊の「中小学人工智能系列丛本」なども有名であり人気がある。

参考記事:

センスタイム(Sensetime)がアリババなどから6億UDS調達! AI画像認証分野で最大ユニコーンへ!

既に、著名な教育現場ではこうしたテキストが採用され、幼児を含む青少年を対象とした人工知能教育が開始されている。EdTech業界の推定によれば、子供向けプログラミング業界だけでも、市場規模は約30〜40億元(日本円で480億円〜640億円)と推計されており、ユーザー規模も約1550万人に達すると見込まれている。

 

白熱する中国STEAM教育!EdTech分野に200社のスタートアップが集結!

それだけ市場規模が存在すれば、多くのスタートアップ企業がビジネスチャンスとして参入してくるのも当然である。今年3月、テンセントは子供向けのオンラインプログラミングプラットフォームであるScratchとの合意を発表し、中国の子供たちのオンラインプログラミング体験を向上させるための事業提携を行なっている。Scratchは、MIT メディアラボが開発したプログラミング言語学習環境であり、初心者が楽しみながらインタラクティブアニメーションやゲーム製作など学習が行えるとしてPythonと共にSTEAM教育分野で重視されている言語である。アメリカで注目されているScratchが中国市場でも拡大するのも時間の問題となりそうである。

昨年9月には、Neteaseがレゴとの事業提携を発表し共同でSTEAM教育分野でのソリューションを行うことを発表している。その他にも、ロボット、ドローン、ARなどの分野で様々なスタートアップ企業が設立されており、各社それぞれSTEAM教育をターゲットとしたユニークな事業戦略を展開している。

中国国内で、STEAM教育に関連するスタートアップは現在200社ほど存在するとされ、中国のEdTech分野(エデュテック)が今後大きな盛り上がりを見せると同時に、人工知能教育を理解した若者たちが続々と育成されることとなりそうである。

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