【キャッシュレス社会の衝撃】 Paytmがインドのキャッシュレス社会の実現を加速!

2016年11月8日、インドのモディ首相は、高額紙幣廃止を突如発表。インド社会は大混乱となったが、この大混乱の陰で一気に大成長を遂げたPaytmという企業があった。インドを代表するキャッシュレス決済企業、ここにもなんとアリペイの影響が色濃くあったのである。

インドのキャッシュレス社会の実現で、強力な存在感を示している企業がPaytmである。実は、高額紙幣廃止が発表された2016年11月以降の数ヶ月だけで新規客登録数は1000万人を超え、アプリのダウンロード数は5倍以上に膨れ上がった。多くの人は、汚職撲滅のために導入された高額紙幣の廃止であったが、この社会変化を見ると実はモディ首相の本当の狙いは、インドのキャッシュレス社会の促進にあったのかもしれないと考えると、実に先の未来を見据えている首相である。

 

  • Paytmは、2010年に設立されたベンチャー新興企業。株主には、アリババ、アントフィナンシャル、そしてソフトバンク。

Paytmという会社は、Vijay Shekhar Sharma氏によって、設立された会社で、設立当初はインターネット広告や、イーコマースを中心に注力していた地味な企業で企業であった。しかし、2011年に社長のシャルマ氏が兼ねてから温めていたビジネスモデルであるデジタルペイメントの分野に新規投資することになり、Paytmというデジタルウォレットを中心としたビジネスモデルへとピボットを遂げてゆくことになる。

Paytmが大躍進を遂げる契機となるのが、2015年10月にアリババ、アントフィナンシャル連合から6億8000万ドルにおよぶ出資を受け入れ事実上中国のアリババの子会社となったことである。それを契機に、アリババ、アントフィナンシャルからビジネス助言を受け、QRコードを使って決済していくという中国で大成功しているアリペイの仕組みをベースに、インド版アリペイシステムの構築に力をいれる。わずか数年経過した現在では、ユーザー数はすでに2 億5000万人、インドの街の至る所でPaytmと記載されたQRコードを見ることができるまでに急拡大している。

あわせてアントフィナンシャルが行った戦略のように、金融機関としてのライセンス取得をめざし、2017年1月に、インド中央銀行から念願の銀行業ライセンスを取得し、決済事業をPaytmから分社化し、『Paytm Payments Bank」として独立した。

まさに、アリババからスタートし、アリペイにより電子決済を普及させ、決済機能だけの運営会社から金融機関へを大成長をとげたアントファイナンシャルと、とても類似した企業戦略、ビジネスモデルである。唯一異なるのが、アントフィナンチャルが2004年の設立から、免許取得まで10年をついたやした道のりを、Paytmは、わずか2年とちょっとで行ってしまった点であり、インドの経済成長スピードを感じざるを得ない。

参考記事:【キャッシュレス社会の衝撃】 第4回 小さな蟻が社会を変えた!アントフィナンシャル(Ant Financial)の大金融革命! |中国

Vijay Shekhar Sharm氏は、インドには多くの銀行を使えない人たちが存在する。こうした銀行から相手にされてこなかった人たちに金融サービスを提供することこそ、我々の使命だ」と。 まさに、アントフィナンシャルが企業理念として描いてきた理想郷を情熱的に語り、インドでもキャッシュレス社会が急速に実現されつつある。

 

  • Paytmへのソフトバンクの出資とPaytmのさらなる事業拡大、電子決済をより一般市民にとって身近な存在へ

今年5月になって、ソフトバンクがPaytmに新たに、14億米ドルの出資を行うとして話題になった。一社による単体の投資としては、インド史上最大の投資額というので、さすがソフトバンクの孫正義社長である。ソフトバンクとしても、長期的にインドのビジネス戦略を長期的にコミットして行く方針のようだ。

最近になって、Paytmの中国依存が高いことを心配するインド政府からの要求もあり、アリババの子会社的な資本構成となっていたpaytmからアリババ色を薄める狙いがあるという。ただ、アリババ色を薄めるといっても、ソフトバンク自体もアリババの株主であることから、アリババグループとしての位置付けは変わらない。

最近、Paytmは、今月2014年に設立されインドで最大のチケットプラットフォームを運営するInsider.inという会社を3.5 億ルピー(日本円で約6億円)で買収した。インド最大といっても、コンサートなどのエンターテイメントチケットなどは、まだ9割がオフラインで販売されているのが現状である。

Paytmは、このプラットフォームを買収することによって、オフラインの世界の人々をオンラインの世界へ導くためのきっかけとする狙いだ。インドは国民性としてエンターテイメント好きであり、将来的にコンサートやイベントチケットを人々がオンラインで購入する日が来ることは容易に想定できる。そういう人々の生活に密接した身近な分野でのオンライン決済にPaytmは入り込んで行くこととなり、インドのキャッシュレス 化が益々加速していくことになるのである。