【中国ブロックチェーン活用事例】鶏肉のサプライチェーンにブロックチェーンを活用。鶏肉の食品偽装を防ぐことができるのか?

中国では日常的に食品偽装が蔓延している。众安科技(上場)は、ブロックチェーンを活用し、鶏肉のサプライチェーンを構築し、流通の透明性を高めようと取り組んでいる。金融分野でのブロックチェーン事例が多い中で、農業や養殖業など一次産業分野にブロックチェーンがマッチするという。その理由とは?

 

  • 中国は、最近仮想通貨を否定しつつあるが、ブロックチェーンの仕組みそのものには肯定的。続々と広がりを見せる中国のブロックチェーン導入事例

今年9月初旬中国政府がIOC(イニシャルパブリックオファリング)の禁止を突如として発表したのは記憶に新しい。その後、仮想通貨価格は急落し、追い討ちをかけるように中国はビットコイン取引所の閉鎖も決定した。

しかし、中国政府はブロックチェーンの仕組みそのものを否定した訳ではないようである。それどころか、ブロックチェーンを活用した取り組み事例は、様々な業種で拡大している。

今回ご紹介する众安科技も、鶏肉のサプライチェーンをブロックチェーンを活用して、中国では根深い大問題である食の安全性に関する透明性を高めようと試みる企業である。

 

  • 中国の食品偽装は根深い。産地偽装は当たり前。ブロックチェーンの技術が活用されれば、消費者にとって有益。

誰もが中国の食品には安全性の問題が潜んでいることを知っている。食品偽装に関するニュースは日常的に溢れ、消費者は不安を抱きながらも他に絶対的な選択肢がないが為に、従来の選択肢の中から食品を選択するしかない。

そんな悲劇的な状況をブロックチェーンが打破してくれるかもしれない。众安科技はブロックチェーンによる分散データベースと合意形成の仕組みで、情報のトレースできる仕組みを構築し、鶏肉に関する流通経路の透明性を高めるというものである。これが実現すれば消費者にとっての信頼は抜群に高まることになる。

blockchain chicken farm1

  • 鶏肉の消費量は、71億羽(年間)。最適なブロックチェーン対象食材

众安科技は、上海の復旦大学と協力して研究所を作り鶏肉のブロックチェーン活用を進めている。共同研究所のブロックチェーンの呉小川副主任は、中国では鶏肉がもっともポピュラーな肉食材であり、中国国内で年間71億羽を消費する巨大マーケットだという。とりわけ、鶏肉は中国ではエンドユーザーに到るまで丸ごと一羽単位で取引されることが多く、ブロックチェーンでトレースする商材としても好都合だという。豚肉などのように流通する過陳で細分化する加工が加わると、偽装が加えられる余地が高まり、より高度なブロックチェーン技術が必要になる。個体ごと取引される鶏肉が、ブロックチェーンを活用する事例としては、現段階では最適だという。また、鴨と違って鶏は水辺を必要としない点も、トレースの為に使用するIOT機器の充電もれなどのリスクを軽減する為に好都合だという。

众安科技のテクノロジーで、全ての鶏が卵の時から成鳥になる全行程を詳細に記録されることになる。鶏の餌に抗生物質などの有害な物質が含有されていないかの確認、運動の状況、体温などの体調管理、ウィルスに感染していないかなどをIOT製品とGPSトラッカーなどを活用して、記録していくと言う。

blockchain chicken farm monitor1 blockchain chicken farm monitor2養鶏所のモニター 常時追跡監視

現在、中国国内で市販されている主流の鶏は45日程度で成鳥になるが、この養殖場では180日かけて成鳥にすることにより、より品質の高い鶏を養殖していくという。众安科技は養鶏とブロックチェーンに関する分野を合わせて、70件あまりの国内特許と16カ国で国際特許を既に申請していると言う。

 

  • なぜ、众安科技は、鶏の養殖をブロックチェーン導入先として選んだのか?

日本でブロックチェーンというと、仮想通貨などフィンテック関係の分野での研究事例が圧倒的に多い。

しかし、众安科技の技術責任者は、こう言う。「ブロックチェーンは、金融分野で圧倒的に知名度を高めているが、実は金融の世界は既存の仕組みが高度に構築されていて、それをブロックチェーンが置き換えるというのは、壮大な試みであり間違いなく膨大な労力と時間が必要となる。それならば、まずは既存の仕組み、インフラが出来上がっていない分野に、新規の仕組みとしてブロックチェーンを活用した仕組みを構築して入り混んでしまうのが早いと思われる。」と語る。

確かに、鶏の養殖場などのように既存のコンピューターシステムがさほど充実して完成していない分野に対して、ブロックチェーンをベースとした新規システムを導入してしまう方が、導入スピードや労力は効率が良いと言うのは頷ける。ある一定の分野で、成功実績を積めばその先が見えてくると言う言葉には納得感がある。そう言う意味で、この众安科技の取り組みは大変興味深い。

 

GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今度もブロックチェーンの導入に向けた具体的な取り組みをご紹介していきたいと思う。