データが示す百度(baidu)の苦難!スーパーアプリが検索エンジンをリプレース?

中国最大の検索エンジンである百度(baidu)が上場以来となる赤字を記録した。BATの一角として長らく中国IT業界を牽引してきた百度(baidu)であるが異変が生じているようだ。スマホに関連するデータを詳細にチェックしながら、中国で起こっているトレンド変化を分析してみたい。インターネットへのエントランスが検索エンジンからスーパーアプリへと変化している!

 

百度(baidu)の2019年第一四半期(1-3月)決算を再確認!

5/16に公表された百度(baidu)の2019年第1四半期(1-3月)決算では、純損失額3億2700万元(日本円で約52億円程度)が計上され市場ではネガティブに受け止められた。しかも、百度(baidu)の中核事業となるBaidu Coreと称される検索エンジン事業が振るわなかったことが事態をより深刻にしている。株価はネガティブに反応し、連日大幅安の展開となっている。

(百度Baiduの株価チャート:写真はYahoo Financeより)

 

インターネットのエントランスが検索エンジンからスーパーアプリへとリプレース!

当サイト(GloTechTrends)としては、以前より百度(baidu)のビジネスモデルの問題点を指摘し、BATのアリババ、テンセントと比較すると、百度(baidu)のビジネスモデルに異変が生じていることを指摘してきたつもりである。

参考記事:

新BAT時代の幕開けか?アリババ、テンセントに加え新たにバイトダンスのB?

では、なぜ百度(baidu)の業績が悪化しているかといえば、その根本的な理由を明らかに述べているものは少ない。多くの分析では、百度(baidu)は以前に検索結果を恣意的に操作していたことなどの問題があり、評価を落としていることを指摘されることも多いが、実は、根本的な理由はもっと深い要因に根ざしたものだと考えている。

中国デジタライゼーションは、アリババやテンセントを中心に展開されているのだが「インターネットのエントランスが検索エンジンからスーパーアプリへとリプレース」されている点は、百度にも大きな影響を与えている。

 

モバイルインターネット時代では、検索エンジン不要のスーパーアプリ時代へ突入!

具体的な事例をもとに「インターネットのエントランスが検索エンジンからスーパーアプリへとリプレース」の意味するところをもう少し説明してみたい。

PCの時代においては、インターネットへアクセスするためのエントランスといえば検索エンジンが主流であった。例えば、外食デリバリーを注文しようとするときに、百度(baidu)の画面からフードデリバリーを検索し、その検索結果から自分に相応しいフードデリバリーを検索し、そこから店舗あるいはアプリへ移動するのが一般的フローであった。しかし、中国フードデリバリー戦争の行方がある程度決着し、どの企業のフードサービスが良いか明確になった現在では、人々は百度(baidu)で検索するステップを飛ばし、アリババが展開する(ウアラマ)あるいはテンセントが展開する(美団)のアプリから直接オーダーするようになった。

スマホが発達しハードディスク容量が増加した現在において、自らのスマホにたくさんのアプリをダウンロードし直接的にアプリにアクセスできるのである。

 

各分野で進む業界リーダーのスーパーアプリ化の動き!

その動きは、様々な分野で進んでおり、ユーザーのスマホにはたくさんのアプリがダウンロードされているのである。以下に、我々が中国でよく使用するアプリをあげてみよう。もう百度(baidu)の検索に頼ることは、極端に減ってしまったのである。

1、Eコマース、商品情報チェック: 淘宝網(タオバオ)天猫(テンマオ)、京東(ジンドン) など。商品の説明、使用方法の説明、取り付け方などは、もはや百度(baidu)のに頼らなくても、膨大な情報を獲得できる。広告もなく快適。

2、SNS的な通信ツール:ウィーチャット、QQなど

3、オンラインでのビデオ視聴: テンセントビデオ、優酷(Youke) 愛奇芸など

4、音楽:様々な音楽アプリや小程序などを通じて多数

5、地図:高徳(アリババ系)、テンセントなど多数

6、ショートムービー: 抖音(TikTok)バイトダンス、火山小視频など

7、ニュースアプリ:新浪微博、捜狐、WeChat小程序などからのメディア多数

8、旅行情報:WeChat小程序、飛豚(アリババ系)など

9、ナレッジシェア: 知乎、果壳など、

10、映画評論:豆瓣など、

以上、モバイルインターネット時代においては、スマホにダウンロードされたスーパーアプリを直接アクセスすれば、多くの問題が解決してしまうのである。それは、同時に検索エンジンの必要性を低下させるという結果を引き起こすのである。

パソンコンが主流であった時代では、検索結果に依存するマーケティング手法は、インターネット業界における美味しい果実が実るビジネスであった。しかし、続々と誕生するスーパーアプリの存在によって、おいしい果実は、検索エンジンからスーパーアプリへと移行しているのである。日本では、まだまだGoogleの検索結果の重要性が意識されているが、そう遠くない時期にスーパーアプリの誕生によって、検索結果の重要性が相対的に低下していく時代がやってくるのかもしれない。

 

データに見る百度の苦戦!様々なデータから百度の苦戦が垣間見れる!

以下の図は、QuestMobile が公表するアプリを使用したユーザーが30日以内に再びアプリを稼働させたかをグラフ化したものである。もっとも反復ユーザーの多いアプリは、チャット機能を有する微信(WeChat)であり95%ものユーザーが反復使用しており、微信(WeChat)が如何に中国人の生活に溶け込んでいるか分かる。その次は、支付宝(アリペイ)であり微信(WeChat)のような日常的なチャット機能はないものの75%という高い数字を示している。しかし、百度(baidu)はわずか56%しかなく44%ものユーザーが百度(baidu)を使用してから30日以内に再び百度(baidu)にアクセスしていないことを意味している。

(図:中国有名アプリの30日以内の反復使用率:QuestMobileより)

 

スマホ滞在時間ではテンセント陣営の圧勝!

もう一つ重要な指標はユーザーがスマホ上で過ごすアプリ滞在時間である。以下の図は、QuestMobile が公表する2018-2019年における有名アプリの滞在時間をグラフ化したものである。黄色の部分はテンセント陣営に関連するアプリでの滞在時間であり全体の43.8%に及ぶユーザーがテンセント陣営で時間を過ごしておりテンセント陣営の圧勝となっている。テンセントはSNSやゲームといった人々が多くの時間を費やすアプリに強いためある意味当然の結果と言えるだろう。2位はショートムービー「TikTok」で人気を博す、バイトダンス系が11.3%で堂々の第2位となった。アリババ系も10.6%と3位で健闘するが、百度(baidu)は6.9%と低く、しかも前年の滞在時間7.3%を下回る数字となっている点は、今後の動向も気になるところである。中国デジタラーゼーションの進展とともに、検索エンジン事業を主流とする百度(baidu)が、徐々にスーパーアプリを中心とするテンセント陣営とアリババ陣営に押されている構図が鮮明に浮かび上がっているのである。

(図:QuestMobile が公表する2018-2019年における有名アプリの滞在時間)

当サイト(GloTechTrends)としては、以前よりBAT3社の中からテンセントとアリババの2大IT企業が走り出し突出した力を有しているというスタンスで皆様に情報をお届けている。おそらく、このその傾向は今後も継続し、その差はより大きなものとなっていくと思われる。

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