マイニング業界で「Avalon Miner」で有名なCanaan社が香港上場へ?!

仮想通貨の相場変動に全く左右されず安定的に莫大な収益を上げ続ける企業が存在する。マイニング向けチップを製造するCanaanという中国企業だ。香港証券取引所に公開された目論見書では2017年における従業員234人の平均年収は66.8万元(約1150万円)と異例の高水準だ。

 

Cannan(杭州嘉楠耘智)は仮想通貨マイニング分野で急成長を実現

ASICマイナー分野で世界シェアの8割を握るBitMain社については以前ご紹介したことがある。今回は、業界2番手となるCannan(杭州嘉楠耘智)社の話題であるが、BitMain社より一足先に香港株式市場へ上場を果たすこととなった。

深セン華強北に殺到するマイニング機器バイヤー!BitMain社はASICマイナー分野で世界シェア8割を独占!

5月15日に香港証券取引所に公開されたCannan(杭州嘉楠耘智)社の目論見書をみると、驚異的な業績推移を確認できる。2017年のCannanの営業収入は13億800万元(日本円で225億円程度)となり、前年同期比で4倍(2016年の売上は日本円で54億円程度)を上回る。2017年の純利益では3億6000万元(日本円で62億円程度)で、対前年比で7倍近い利益を確保している。2015年の純利益が1500億元(2億5800万円程度)だったことを考えるとこの2年前で200倍を超える脅威の成長を実現したこととなるまさにモンスター成長である。

 

財務数値 目論見書より抜        参考資料:目論見書

従業員の報酬に関しても破格である。目論見書に公表されている従業員数は234人である。これらの従業員に対して報酬の総額は4661.6万元、合わせて株式譲渡などの株式による報酬も1億900万元の費用を計上している。一人当たりの平均値をとると、なんと66.8万元(日本円で1150万円)という中国では脅威的な報酬水準を実現している。

仮想通貨相場に投資家たちが一喜一憂する中で、ASICマイナー製造でなんとも安定的に高収益を実現しているではないか。

創業者である張楠廣(ジャンナンシャン)がASIC分野の開発をリードする。創業者の張楠廣は、中国の仮想通貨業界では一目置かれる存在であり、業界関係者では知らない人はいないほどの有名人である。彼が開発した製品でもっとも有名なものが「Avalon Minar」と呼ばれるASICシリーズであり日本でも販売しているのでご存知の方も多いかもしれない。2011年ごろからASIC分野にいち早く注目し中国初となるビットコインマイニング機器を発明した人物がこの会社の創業者なのである。

 

ZTEが苦しめられた半導体関連の米中貿易摩擦がCannanの株式公開を後押し!

実は、Cannanは2016年6月にも鲁亿通(300423)という既に上場している中国企業に買収される形で株式公開を狙ったことがある。鲁亿通は、総額30.6億元(日本円で530億円程度)でCannanの全株式の買収を試みたが、深セン取引所の審査によってそのバリュエーションが高すぎる点などが指摘され、その戦略は失敗に終わった。一部の関係者の話では、当時は仮想通貨に関連する企業に対して、中央政府の明確なスタンスを明示していなかったために、上場審査部が審査を厳格に行ったという話もある。

 ところが、日中貿易摩擦で中国が半導体分野においてアメリカから圧力を受けたことがこうした状況を劇変させることになった。

4月24日には、中国の証券監督管理委員会副委員が突如としてCannanのマイニングチップの製造工場を訪問し「こうした半導体チップ関連の企業は中国での株式上場を果たし、今後も成長することを望む」とのコメントを発表したのである。

 米中貿易摩擦では、トランプ政権により半導体が槍玉に挙げられ、スマホ製造メーカーであるZTEや華為技研に対しても、脅しのような行為がアメリカ政府から行われた。

参考記事:アリババの「DAMOアカデミー(达摩院)」が人工知能向け半導体チップ「NPU」開発発表

中国国内で製造する半導体チップ関連の企業は、中国政府が手厚く保護しなければならないとの意思が働いたとのではないかと考えられる。まさに米中貿易摩擦の副産物として、Cannanの香港市場での早期株式公開が突如として実現したのである。

 

人工知能向けのAIチップとしても応用力を発揮

Canaanの製造するマイニングチップは、近年、人工知能向けの半導体チップとしても応用活用範囲を広げている。昨年に発表した最初の量産型チップ16nm ASICシリーズにおいて、人工知能分野に応用できるチップ製造にも注力している。この半導体チップは、スマートホームに関するホームリビング分野、自動車のオートドライビング分野、人工知能を活用した画像認証分野などにも応用でき販売の状況も活況だる。28nm 16nmのASIC分野においては、中国国内で50%のマーケットシェアを占めているという。

今回の株式公開が成功すれば、香港市場では最初となるブロックチェーン関連企業であり、その動向が注目される。

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