アメリカ生まれの海亀企業「ArcSoft(虹軟科技)」が上海の新興市場「科創板」に正式受理!

3/27、上海証券取引所は科創板に申請した企業の中から正式申請受理企業を公表した。登録制が本当ならば、これで正式に上場承認されることとなるが、正式な運用は数ヶ月後の取引開始までまだ不透明である。受理された企業にシリコンバレー創業で現在は杭州に戻った海亀企業「ArcSoft(虹軟科技)」を見つけたので簡単にご紹介したい。

 

その全貌を表し始めた上海証券取引所のスタートアップ向け新興市場「科創板」

上海証券取引所は3/27、科創板に上場申請した企業の中から、正式に上場申請書類を受理した企業リストを公表した。科創板は厳格な中国本土市場の取引所とは異なり、取引所の厳格な監視を通さず緩やかな登録制を前提に設計されていると言われており、これが本当ならば今回の正式受理リストの公表は、イコール上場承認を意味することになるはずである。いずれにせよ、その全貌を理解するのは、実際に科創板での株式の売買が開始されてからになりそうである。取引開始までは、まだ数ヶ月を要する見込みなので、もうしばらく様子を見る必要がありそうだ。

参考記事:

上海のハイテクスタートアップ企業向け新興市場「科創板」に早くも12社が上場申請!

 

アメリカ創業の海亀(ハイグイ)スタートアップであるArcSoft(虹軟科技)が科創板上場へ!

3/27に公表された「科創板」の上場書類正式受理リストの中に、ArcSoft(虹軟科技)というユニークな企業を発見した。実は、この企業は、現在は中国浙江省の杭州を拠点としており、人工知能を活用したビジュアル認証技術で有名な企業であるが、その創業は、2011年のアメリカシリコンバレーに遡る。中国人であるHui Dengとその配偶者であるLiuhong Yangが共同創業しアメリカのシリコンバレーを拠点に設立された企業ののである。創業者の二人は、ケンブリッジ大学の研究所などで実績を積み、その後アメリカのシリコンバレーを中心に活躍し、現在はアメリカの市民権を保有している。目論見書によれば、Hui Deng氏は、ArcSoft株式の33.21%、配偶者であるLiuhong Yangも同株式5.44%を保有し、二人で38.71%を保有していることとなる。

2017年9月から12月ごろに実行した組織再編により、当時子会社であった中国杭州にある法人を本社として組織再編された、いわゆる海亀(ウミガメ)企業の代表格なのである。この組織再編の背後に中国政府からの資金的な支援を受け中国本土に戻ったことは容易に想像できる。

米中貿易戦争が長期化し中国企業のアメリカの証券市場への上場も困難になりつつある中で、こうした企業に早い段階で株式上場を開くのが、「科創板」の活用方法の一つであるようた。ArcSoft(虹軟科技)の「科創板」への株式上場は、非常に興味深い事例となりそうである。

(ArcSoft 虹軟科技:会社ウェブサイト)

公表された上場申請書類:

財務報告

招股書(ドラフト草案)

 

ArcSoft(虹軟科技)の技術は、パナソニックやソニーなど日本の大手企業も活用!

簡単に、ArcSoft(虹軟科技)の業務内容を説明しておきたい。人工知能を活用したカメラから取得した画像に対してアルゴリズム解析を展開している。顧客には、サムスン、ファーウェイ、Xiaomi、OPPO、ソニー、LG、日立、パナソニック、レノボなど世界有数の大企業が数多く含まれ、スマートフォン、自動運転搭載カメラ、スマートホーム、スマートリテールなど幅広い分野で、ArcSoft(虹軟科技)の技術が活用されている。杭州、シリコンバレーはもちろんであるが、上海、南京、深セン、台北、シリコンバレー、ダブリン、東京などに営業拠点を有するグローバル企業である。非常にユニークな人口知能活用事例があるので、また折を見てご紹介していきたい。

公表された目論見書によれば、2018年のArcSoft(虹軟科技)の営業利益は前年同期比32.41%増の4.58億元(日本円で75億円程度)、純利益も前年同期比103.07%増の1.75億元(日本円で29億円程度)とかなりの好業績を維持している。この企業だけを見ると、日本の東証マザーズなどの新興市場と比較しても大型上場案件を対象となるとするように見える。全体として上海の新興市場「科創板」がどのような証券市場となっているのかは、もうしばらく上場企業の実態を見ていく必要がありそうである。

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