ついにアマゾン(Amazon)が中国市場から撤退を発表!なぜアマゾンは撤退することになったのか?

4/17、アマゾン(Amazon)が中国市場におけるマーケットプレイス事業からの撤退を発表した。クラウド事業、グローバルEコマース事業、キンドル事業は継続するという。アマゾンの中国におけるEコマースシェアはもともと0.6%(2018年)しかなく、撤退も納得感があるが、なぜアマゾンは撤退することになったのだろうか?

 

アマゾンが2004年に進出した時は、アリババさえも弱小Eコマース企業!

2018年現在、中国Eコマースにおけるマーケットシェアは、アリババ(天猫、タオバオなど)が55%、京東(ジンドン)25.2%、拼多多(ピポンドォドォ)5.7%と続く。アマゾンは2018年時点で0.6%のマーケットシェアにすぎず、全く存在感がないのが実情であった。多くの中国人はアマゾンはインターフェースの使い勝手悪く、値段も高く、物流システムもよくないと口々に語る。

どうして、アマゾンはこれほどまでに中国市場において苦戦することになったのであろうか?

話をアマゾンが中国に進出した2004年に戻してみたい。

アマゾンは2004年に卓越网(Joyo.com)を買収することで中国ビジネスをスタートさせる。卓越网(Joyo.com)とは、雷 軍(レイジュン)が創業した企業である。シャオミーCEOとして有名なあの雷 軍(レイジュン)の若かりし日の創業記録である。ちなみに2003年には、アメリカ大手eBayも中国Eコマースに参入し、当時中国Eコマースシェア90%を誇った易趣网を買収している。

アリババが、BtoC向けのマーケットプレイス事業(タオバオ)を開始したのは2003年10月のことである。2004年時点では、タオバオもまだ生まれたばかりであり、企業買収からスタートしたアメリカ勢のほうがEコマース市場では優位な存在だったのである。

 

中国の商習慣は先進国と全く異なる!ローカライゼーション対応必須!

2004年はEコマース黎明期であり、どこも横並びからのEコマース競争のスタートであった。しかし2004-2007年の三年間が中国におけるEコマース分野における勝者を決定づけることになった。

eBayとアマゾンは、本国で成功している経験を生かし中国市場にそれを移植導入するという戦略に出た。買収先企業のプラットフォームを徹底的にシステム改良することに最大限の力を注ぎ、2004年から2007年の三年間は市場拡大に多くの力を注ぐことはせず、本国から派遣されたスタッフによって先にシステムアップグレードを優先させた。ユーザーがとの問題があれば本国との連携を密にして本国主導のもとで問題解決を行なっていった。アメリカ式のクレジットカード決済の支払いのスキームを支援することも積極的であった。

それに対して、アリババは中国式商習慣を重視し、当時先進的であったアメリカのEコマースの仕組みをベースに、中国式にローカライズする戦略に出たのである。そのローカライズの事例を以下に記載しておきたい。

 

対話型チャット2004年1月阿里旺旺(アリワンワン)の登場!

ローカライズ戦略の代表例は、タオバオが行なったプラットフォームの全部無料開放である。中国ではサービスを広げたければ最初は無料で提供し、スピードを持ってユーザーを囲い込むことがより重視される。アマゾンやeBayが出店者からコミッションを徴収するビジネスモデルを継続する中で、無料開放した戦略は、売り手からの支持を容易に得ることができ、シェア拡大に成功した。 

さらに2004年、中国の商習慣を徹底的に理解した2つのツールをリリースする。

一つ目が、2004年1月にリリーしたチャットツール阿里旺旺(アリワンワン)である。

先進国の商習慣と大きく異なり中国人は、買い物をする前に駆け引きを行う習慣があり、必ず買い物の前にお店の人に商品について尋ねたりディスカウント交渉を展開し、納得の上で商品購入を始める。

これをEコマース領域に導入したことで、リアルの買い物からネットでの買い物へ違和感なく誘導することに成功したのである。現在でも、中国のEコマースでは「黄金の6秒間」という言葉があり、お客さんがチャットで問い合わせてから6秒間で返事をしないと顧客が逃げると言われている。お客さんは、即時性の高いチャットを好み、Eメールで問い合わせをして1日返事を待つほど、呑気な中国人はほとんどいないのである。

 

2004年、もう一つのスーパーツール 第三者決済「アリペイ」登場!

もう一つのスーパーツールが第三者決済「アリペイ」である。

Eコマースの黎明期、多くの中国人ユーザーは、売り手を信じていない。そこで登場したのがエスクロサービス(第三者を仲介させて取引の安全を担保する)である「アリペイ」である。買い手は一旦、アリペイに代金を預託する形式をとり、商品に問題なければ、はじめてその資金は売り手にリリースされる。これにより、取引の安全性が担保され、中国でEコマースが爆発的に普及していったのである。アマゾンやeBayは、普及率の低いクレジットカードを中心に展開していった、eBayも第三者決済に挑戦したがアリペイと比較するとその性能は十分ではなかったようだ。

 

アマゾンは 2004-2007年の三年間の失敗を最後まで挽回できなった!

2004-2007年の三年間は、中国Eコマースの歴史において極めて重要な三年間となった。

アリババは中国人の特性を理解した上で画期的なサービスを導入していったが、アマゾン,eBayなどのアメリカ勢は中国市場へのローカライズをおろそかにし、本国のシステムを前提としたアップグレードにリソースを注いだ。

結果として2008年末には、アリババが展開するタオバオは市場シェア86%を独占するに至り(eBay 6.6%に下落、アマゾンはそれ以下(統計不明))、それが現在まで挽回できないという苦しい状態が継続していたのである。

2018年時点で、あのアマゾンがマーケットシェアわずか0.6%しかなく、中国ビジネスにおけるローカライズの難しさを物語っていると言えるだろう。中国で外国の企業が戦うことは、本当に困難なことなのである。

アマゾンの中国事業における問題点として物流など、他の重要なポイントを記載できていないが、ひとまずこの辺りで終了しておきたい。今後、またアマゾンが中国市場で反撃を仕掛けることを密かに楽しみにしている。

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