ソフトバンクチャイナが人工知能を活用した画像認識ディープラーニング企業のMalong Technologiesに投資。AI分野の次なるアリババとなる?

次なるアリババを探すソフトバンクが、2017年11月中国AI分野に初めて投資決定をした。投資額は2億2000万元(日本円で約37億4000万円)、極めて精度の高い画像認識技術を持つMalong Technologiesは、近年認知度を高める注目企業である。

 

⌈ソフトバンクチャイナにとって初の人工知能分野への投資。2億2000万元(約37億4000万円)をBラウンドで投資 ⌋

Malong Technologiesは、2014年に設立された深センを本拠地とする会社で、清華大学出身の黄鼎龍(Huang Dinglong)と元マイクロソフトに在籍していたMatthew Scottが共同創業者である。CEOである黄鼎龍は、Googleやマイクロソフトやテンセントなどでキャリアを重ね、設立直前までTripAdvisor Chinaで副社長を務めていた人物である。後援企業としもAmazon、MicroSoft、Nvidiaや清花大学などが堂々たる企業が名を連ね、そのポテンシャルの高さをうかがい知ることができる。

人工知能を活用したディープラーニング画像認識分野で突出した技術を保有しており、画像認識技術から製品や素材やブランドなどの識別を高い精度で実現することができる。単に写真を一枚撮れば、画像認識技術を活用して写真に映し出された物体を特定する。例えば、ある女性が映った写真からハンドパックを認識し蓄積されたデータからそのブランドを特定したりなどが可能である。街を歩いていてあの人のバッグが欲しいなと思ったら、写真をとって画像認識すれば、すぐにオンラインショッピングサイトへ移動することも近い将来に実現するのである。

ファッション分野での画像認識(Malong Technologies HPより)

そのほかにも、買い物する際に消費者が購入する商品の特定シーンにも応用できる。無造作に山のようにカゴに入れられた商品から、画像認識技術によりユーザーがどの商品を購入したのかを画像認識で特定できる。また、空港での荷物のX線検査においても、カバンを開けずとも、X線映像での形状から何が入っているかを特定してしまう。こうしたものが、全て人工知能を活用したディープラーニングを通じて情報が蓄積され画像認識の精度を高めていくのである。画像認識技術の将来的な応用範囲の広さから、次なるアリババと評価されるのも頷ける。

(ショッピングカートでの画像認識、空港のX線での画像認識など。Malong TechnologiesのHPより)

 

⌈スタートアップが画像認識に関する技術力をアピールする国際的コンテスト「WebVision」でも圧倒的な画像認識率を記録して優勝。その正解認識率はなんと94.78%⌋

「WebVision」とは、人工知能を活用したタグ付けされていない画像認識のタスクを競うコンテストである。今年が記念すべき第1回目であり、7月にハワイのホノルルで開催された。Malong Technologiesも、この大会に参加し、100社ほどの強豪を抑え正解率94.78%を記録して優勝している。

従来はAI画像認証分野での国際的なコンテストといえば、「ImageNet」 という大会が有名であった。「ImageNet」とは、正式名は「ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)」と呼ばれコンピュータによる物体認識の制度を競うAI分野における国際的なコンテストである。2014年にgoogleが「GoogLeNet」というチームで登録して物体認識率43.9%という数字で優勝したことも話題となった大会である。

実は今年でこの「ImageNet」は役目を終え、新しく「Webvision」がAI画像認識分野の国際コンテストとして注目を集めている。

「ImageNet」は、タグ付けされたいわゆる綺麗なデータ(人間が注釈を付けてバランスを取っている)を処理する大会であったが、「WebVison」はタグ付けされていないノイズの多いデータ(追加の注釈や人によるバランシングなし)を取り扱う大会である。AI画像認識の進化に伴い難易度が上がった新しい大会が「WebVision」なのである。

Malong Technologiesが記録した正解率94.78%という圧倒的に高い精度は、人間の目で認識できる精度は94-94.9%とほぼ同程度のレベルに達しているのである。人工知能を活用して、ほぼ人間の目と同等の画像認識数値を現時点で実現し、今後のディープラーニングでその精度はますます高まることになる。ちなみに第2位の企業は92.25%の正答率であり、大きく引き離し独走での優勝であった。

 

⌈画像認証技術のプラットホーム「Product AI」によるビジネス展開⌋

Malong Technologiesが目指すのは、中国企業が得意とするプラットホームを活用したビジネス展開である。「Product AI」と名付けられた画像認証技術のプラットホームを活用して、人工知能を活用した画像認識技術をより多くの企業が簡易に活用できるようになるのが彼らの目的である。出資企業となったソフトバンクを通じて、日本の市場にも活用される日もそう遠くはないのかもしれない。ソフトバンクは、アリババに2000年に20億円を出資し現在大量の含み益を保有している。さて、ソフトバンクチャイナの投資事業は次なるアリババを探し当てることができるだろうか。ソフトバンクの今後の投資企業にも合わせて注目していく予定である。