【総合フィンテック企業とは】第4回 :機能と機能の重要なつなぎ役「余額宝」(ユエバオ)の秘密に迫る!? 

アントフィナンシャルが運営する余額宝(ユエバオ)はわずか四年で世界最大のマネーリザーブファンドに登り詰めた。総合フィンテック企業にあって、遊んでいる資金をプールする重要な役割を担い、銀行よりも高金利かつ直接決済にも使用できる大変便利な商品である。

 

余額宝(ユエバオ)は世界最大のマネーリザーブファンドに成長

余額宝(ユエバオ)がスタートしたのは2013年6月、今からわずか四年前のことである。それが、現在は預り資産残高1兆5600億元(約26兆円=2017年の第三四半期末)を誇る世界最大のマネーリザーブファンドの地位を獲得してしまっているのである。

中国全体のマネーリザーブファンドの総額は6兆6000億元(日本円で112兆円)と言われているから、中国全体の23.4%もの資金が余額宝(ユエバオ)でプールされていることになる。

余額宝(ユエバオ)を一言で説明するならば、決済機能を内蔵したマネーリザーブファンドというべきであろう。ユーザーは、アリペイで決済する時に余額宝(ユエバオ)を指定すれば余額宝(ユエバオ)からの直接決済が可能なのである。

ユーザー1人あたりの平均預入額は3,885.14元(66000円程度、2017年10月時点)とそれほど多くないので、多くのユーザーが比較的少額な資金をアリペイアプリ内にプールして使用していると言えるかもしれない。

 

余額宝(ユエバオ)の使い方をアリペイアプリから確認

いつものように、アリペイのアプリを活用して余額宝(ユエバオ)の使用方法を確認しておきたい。

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余額宝(ユエバオ)のアイコンはアリペイでも一際目立つ位置に配置されている。それは、アリペイのアプリの中で最も重要な金融商品だからである。

1元(約17円)から購入可能であり直接決済に充当することも出来るため、利便性に優れた商品である。

そして何よりも高金利で運用されていることを売りとしている。ちなみに、12月18日現在の運用利回りは4.0410%という実績が表示されており、同日の銀行の預金金利と比較しても高利回りであることが確認できる。

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毎日の金利がその日ごとに余額宝(ユエバオ)口座に入金され、日々高金利を享受しながら流動生の極めて高い商品となっている。

 

 巨大すぎるが故にリスクコントロール規制導入へ

実は、余額宝(ユエバオ)は、あまりに急速に成長して巨大化してしまったために、当局も監視の目を強化せざるをえない状況となっており、2017年だけでも既に3回ものルール規制が追加されている。

2017年以前は、余額宝(ユエバオ)へ預入することのできる金額は100万元まで可能とされその引出しも一度に預入金額の全額を引き出すことが可能であった。

ところが、今年5月27日に最初の上限金額制度が導入され、上限額は100万元から一気に4分の1となる25万元へと大幅に引き下げられた。

さらに8月14日には、25万元から10万元へとさらに半分以上削減されることとなり、半年足らずで当初の預入可能額の100万元から10万元へと一気に十分の1へと変更されたこととなる。

そして、直近の12月8日には預入上限規制が新しく設けられ、1日に預入可能とされる金額が2万元までという預入金額に関する新ルールも導入された。

関係者の間では、今後も引き続き規制強化の流れであり、最も重要な規制となる引き出し規制に関しても導入されるのではないかという噂も聞こえて来ている。

なお、預入額に関する規制は新規預入のみが対象であることもあり、現在まで規制によって余額宝(ユエバオ)から大量の資金が逃げ出しているという話は聞かない。

上述した規制強化の流れは、大きく2つの理由が存在すると思われる。

一つ目は、リスクコントロール面である。突如金融危機が発生すれば、多くのユーザーが一気に全額引き出すという行動に走ることになる。そのような取り付け騒ぎの影響を最小限に抑えるためにも、上限枠を設定しファンドの巨大化を抑制する目的があると思われる。

2つ目は、従来の伝統的金融機関からの圧力であろう。わずか4年で巨額な資金を有するマネーリザーブファンドに成長してしまった余額宝(ユエバオ)は、既存の金融機関にとって大きな脅威となっている。余額宝(ユエバオ)のマネーリザーブファンドが成功したことによって、テンセントの「理財通」を代表に、百度や蘇寧電気なども独自のマネーリザーブファンドでの運用を開始している。その動きは、伝統的な金融機関にとって脅威となり中国金融当局からマネーリザーブ運営企業に対して一定の監視強化の圧力があったことは容易に想像できる。

 

余額宝(ユエバオ)の運用手法について考える。運用契約書を確認

余額宝(ユエバオ)は、運用管理会社である天弘基金管理有限公司によって資金運営がなされている。天弘基金は毎期、運用契約書をディスクローズしているので運用の中身を少しだけ確認しておきたい。

今回は、直近である2017年10月26日に公表された直近の運用契約書を参考にするが、是非ご興味ある方は以下のサイトで過去に遡って運用契約書を直接ご覧いただきたい。

http://fund.eastmoney.com/f10/jjgg_000198_3.html

余額宝(ユエバオ)の投資対象は、円滑な流動性を確保するため1、現金 2、短期融資債券 3、1年以内の定期預金、4、償還期限が一年以内の中央銀行手形など、償還期間の短いもので占められている。

投資運用方針によると、各取引日における平均償還期間は120日間を超えてはならないと定めされており流動性の維持に努めていることがわかる。

資金の大半(87.11%)が、銀行預金(大口)と決済準備金によって運用されている。中国の大口預金は、直接銀行間で交渉して相対で自由にレートを決定することになるため、かなり有利な金利を銀行から獲得していると思われる。

次に、投資している商品の期間を確認することにする。マネーリザーブファンドの性質から短期での運用中心とは言え120-397日という長い期間の運用が2.93%を占めるなど印象的にはやや期間の長いもののウェイトが高く若干のリスクを取っているような印象を持つ。

参考までに、以下に過去の実績である2014年の運用契約書を掲載する。この時点では180日を超えるような期間の長い金融商品のウェイトは0.9%と低いことが確認できる。最近の金利競争の中で長めの期間の商品のウェイトを高めることで、高利回りを維持せざるを得ないような状況となっているのかもしれない。

 

 

余額宝(ユエバオ)が担う総合フィンテック企業の大事なつなぎ役

当サイトは、総合フィンテック企業という言葉を活用して、一つのアプリで複数の機能がてんこ盛りとなっているフィンテック企業を総合フィンテック企業と呼んでいる。

その総合フィンテック企業にあって、機能と機能の往来するための繋ぎ役として、高度な利便性を有する余額宝(ユエバオ)が重要な枠割りを担っているのである。

金利を獲得しながら決済機能を合わせもつ金融商品の存在は、総合フィンテック企業にとってはなくてはならない存在と言って良いだろう。

GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今後も総合フィンテック企業の動向に注目していきたい。

(写真は、天弘基金管理有限公司が公開する運用契約書より参照 )

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