アリペイが高齢者向け詐欺防止機能「安全守護」をリリース!高齢者のキャッシュレス社会誘導への挑戦!

アリペイを運営するアントフィナンシャルが高齢者のキャッシュレス社会へ誘導に本腰を入れ始めた。中国のリサーチ機関である国泰君安が公表する2018年中国人口データでは、60年代以前に生まれた人口は4億4000万人に達する。アリペイが多くの富を有する高齢者の取り込みを本格化している。

2/26、アリペイは高齢者を対象とした詐欺防止機能「安全守護」をリリース!

2/26、アリペイの運営元であるアントフィナンシャルは、アリペイに新機能を追加し高齢者が安全にアリペイ活用できるよう詐欺防止機能「安全守護」を追加した。

新機能である「安全守護」は、高齢者がアリペイを使用する際「保護者」として家族や友人など身近な信頼できる人物を登録することで、ユーザーである高齢者が詐欺など悪意をもった事件に巻き込まれることを防ぐ、詐欺防止機能が強化されている。

高齢者ユーザーが非日常的なモバイル決済を行おうとすれば、アリペイ運営元のアントフィナンシャルがリアルタイムでリスクを探知し、瞬時に該当決済を一時停止するとともに、登録された「保護者」にアラートが届く仕組みとなっている。支払い先が危険リストに登録された犯罪集団などの悪質な詐欺集団である場合には、支払いのキャンセルと同時に警察などの公安機関と連携し、検挙する体制も構築されているという。

中国の高齢者層は、キャッシュレス社会から取り残された存在になっている!

この2月、筆者は昆明(雲南省)、長沙(湖南省)、南昌(江西省)などの地方都市を探訪し、中国キャッシュレス社会、デジタライゼーション普及度合いを確認した。鉄道移動の際、小さな街でも途中下車し、スーパーマーケットなど訪問し街の声もリアリングして来た。いつも訪問する、上海、北京、深セン、杭州といった大都市だけでなく、地方都市でのキャッシュレス社会の進展、とりわけ地方に住む高齢者たちのキャッシュレス社会の進展度合いを確認したかったためである。

参考記事:

【キャッシュレス社会のデメリット】第3回  キャッシュレス社会は外国人や高齢者にとって冷たい社会? 

結論としてアリペイやWeChatを活用したスマホ決済の仕組みは、小さな街でも隅々まで普及しており、ほぼ100%の場所で活用できた。しかし、小さな街で高齢者たちの様子を見ていると、現金を握りしめて現金決済している人も数多く見られた。地方都市の高齢者は、モバイル決済のインフラが充実していたとしても、モバイル決済を活用するに至っていないケースも多かった。

地方の小さな街のスーパーマーケットでは、本部から無理強い導入させられたアリペイの顔認証端末の前に無造作に買い物カートが並べられ全く使用できない状況となっている光景なども見られた。小さな街では、多くの若者たちが仕事を求め大都市に移動し、高齢者が取り残される構造となっている。田舎の地方都市では、高齢者が中心の社会構造であり、顔認証端末はハードルが高い仕組みかもしれいない。

(中国江西省のスーパーマーケットのレジ風景、顔認証機会はあるが使用されていない)

統計的な数字を少し確認しておきたい。2016年の統計が示すモバイル決済使用者の年代別グループ分類では、76.4%を30以下の若者が占める。31-40歳の層が16.8%となり、41-50歳と51歳以上を足しても6.8%に過ぎない。この統計数値から推察すると、41歳以上という比較的若い世代でもキャッシュレス社会のメインストリームから外れており、50台以上となるとモバイル決済の普及率は低く、キャッシュレス社会から疎外感を味わわなければならない存在となっている。

それでも、ここ数年は家族とチャットするときWeChatを活用し、お年玉(紅包)の送受信するためにWeChatを活用しつつある高齢者も増加している。アリペイの方が、資産運用などの金融機能が充実しており使用するメリットが高いように思うが、アリペイはまだまだ敷居が高く、決済のためだけにインストールする理由がないというのである。

高齢者の取り込みは更なるモバイル決済市場拡大の重要なカギを握る!

テンセントが公表した「2018年WeChat(微信)年間データ報告」によると、2018年のWeChatのデイリーアクティブユーザー数は10億1000万人にのぼるが、55歳以上のアクティブユーザーとなると6300万人に過ぎないという。この数字は、中国の50年代、60年代生まれの総人口4億4000万人とかなり乖離した数字であり、高齢者にとってモバイル決済が、まだ日常シーンに入り込んでいないことを理解できる。

アリペイは、2/26に「安全守護」の機能をリリースし高齢者の取り込みに本格的に取り組み始めたように、実はWeChatも旧正月(2月5日)の少し前に、親族カード(亲属卡)という機能をリリースし、アリペイの「安全守護」同様に、家族が高齢者のマネーフローを監視できるような仕組みを導入している。

アントフィナンシャルとテンセントの両社の狙いは共通している。高齢者のマネーフローを家族や親しい友人が監視し、取引の安全を担保するということを名目として、保護者に指定された人々を高齢者に付き添わせることである。保護者の本当の役割は、高齢者の取引の安全を担保することではなく、高齢者にモバイル決済のやり方を指導しモバイル決済の便利さを教える伝道師としての教育係の役割ではないだろうか。

アリペイ、WeChatPayといった中国2大決済企業が、高齢者のモバイル決済市場への取り込みに本腰を入れ始めたことは、中国のキャッシュレス社会が若年層に広く普及し、次なるステージに突入したことを意味する。2019年は中国の高齢者が大規模にキャッシュレス社会に参加し、更にキャッシュレス社会が飛躍する一年となるかもしれない。もし、こうした高齢者が単にモバイル決済を活用するのではなく、アリペイが強みとする資金運用など複合的な機能を活用するようになれば、中国デジタライゼーションは別次元のステージに突入することになるだろう。

ブルーオーションである高齢者ユーザーをめぐる動向は、非常に面白いテーマとなりそうだ。

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