【総合フィンテック企業とは】第6回: 8/9 アントフィナンシャルが1元から購入可能な年金「全民保・終身養老金」参入!

8/9 アントフィナンシャルが1元から購入できる年金をスタートさせた。中国では年金システムが脆弱で国民全体をカバーしていない。1元から購入できる預金「余額宝」(ユエバオ)で爆発的ブームを起こしたアントフィナンシャルは、次に狙うは1元から購入できる手軽な年金だ。爆発の予感が漂う。

 

アントフィナンシャルがスマホから購入できる年金に参入!

8/9 スマホからどんな金融商品も購入できてしまうアントフィナンシャルのプラットフォーム「アリペイ」が、中国最大の保険グループである中国人民保険集団控股有限公司(PICC)」と協力し、年金商品の提供を開始した。ついに、アントフィナンシャルが提供する総合フィンテックアプリ「アリペイ」から人々の人生設計にとって極めて重要な年金をも購入できる時代へ突入してしまった。

参考記事:総合フィンテックのビジネスモデルとは。KDDI総合研究所「スマホアプリから全事業へ簡単アクセス 「中国総合フィンテック」モデルの事例研究」By GlotechTrends(菊谷信宏)

中国では、一般的に年金システムは脆弱であり、家族の全てをカバー出来ていなかったり、非正規雇用者やアルバイト従業員に対する年金システムも完備されていない。また、農村部に居住する人々は、公的年金の仕組みに参加できていない。

こうした公的年金システムに関する社会問題を解決するために、アントフィナンシャルはPICC保険と協力し、誰でも気軽に1元から購入できる年金の販売を開始したのである。スマホのアリペイプラットホームから、ついに人生設計において重要な要素となる年金投資も行えるようになったのである。

アリペイが、2013年に1円から購入できる預金商品「余額宝」(ユエバオ)を発売し、その便利さから中国で圧倒的な人気を獲得したのは記憶に新しい。今回の年金商品「全民保・終身養老金」で同じことが起こるかもしれない。アントフィナンシャルは、従来伝統的な金融機関では、優良顧客として扱われていなかった小口の顧客を重視する戦略で、総合フィンテック企業として存在感を高めることに成功した企業である。

「Bring small and beautiful changes for the world」 (世界に小さく美しい変化をもたらす)とは、アントフィナンシャルのスローガンであるが、従来年金を購入できなかった層の中国人に広く年金を普及させようというのである。アントフィナンシャルと中国年金システムは、今後のホットトピックとなりそうな面白いテーマである。

参考記事:【キャッシュレス社会の衝撃】 第4回 小さな蟻が社会を変えた!Ant Financialの大金融革命! Ant Financial /中国

【総合フィンテック企業とは】第4回 :機能と機能の重要なつなぎ役「余額宝」(ユエバオ)の秘密に迫る!?

 

アントフィナンシャルの年金「全民保・終身養老金」の仕組み!

さて、今回アントフィナンシャルが発表した「全民保・終身養老金」という金融商品について少し考察しておきたい。商品設計は驚くほど柔軟な設計となっている。

早速、アリペイの「全民保・終身養老金」からの画面を確認して見ることにしたい。毎月の決められた固定掛け金を設定する必要がなく、資金に余裕があるときにいつでも購入できる設計となっている。しかも、1元単位で年金商品の投資することが可能となっており、スマホの画面でシュミレーションして、受取額がいくらになるのか簡単に認識できる。

Photo by: GloTechTrends

ユーザーの対象年齢は、男女とも生後28日目から購入可能であり、男性は60歳まで、女性は55歳まで購入可能となっている。ちなみに、現在の中国の平均寿命はおよそ79歳台、リタイア年齢は男性60歳、女性55歳となっている。購入可能時期に制限があるのはリタイア年齢との整合性のためと思われる。

1万元(16.5万円)の一括払いの年金商品を35歳のユーザーが購入するシュミレーションをしてみよう。購入額を入力すると直ぐに得られる金額が表示された。

左下に55歳を経過すると毎年710元獲得できるとの表示を確認できる。死ぬまで毎年支給されるのであるが、なんと20年保証まで付与されている。運悪く65歳で死亡しても、残りの15年分は支給されるというのである。その支給額は総額(類型養老金)で17750元(80まで生存したと仮定)になる。それに加えて、右下に年金商品を購入した翌月から享受できる運用益が記載されている。年金商品と言いながら、何と購入した翌月からしっかりと運用益まで享受できるのだ。右下には、80まで生きたとして28310元(類型分紅)が受け取れると記載されているが、この数字は実際の運用に連動するのであくまで期待値(予想)となる。類型養老金と類型分紅の2つの数字を足した46060.20元(類型可領取)が80歳までに支給されることとなる。35歳の時に1万元を投資すると80までに4.6倍になって戻ってくる、高金利がもたらす経済的価値である。これだけの金利を享受できれば、将来に対する不安も軽減されるというものではないだろうか?

GloTechTrends(グロテックトレンド)としては、今後も中国における総合フィンテックモデルの発展に注目していくつもりである。

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