インド市場は7%の高度成長の真っ只中にあり21世紀はインドの時代になるとの声も多い。今回はインド市場における中国巨大IT企業の投資状況を確認しておきたい。アメリカ勢とアリババとテンセントなどの中国勢がインドで投資競争である。
アリババはソフトバンク、テンセントはNaspers(ナスパーズ)と連携
アメリカ勢のAmazonやFacebookなどは、従来からインドに対して積極的に投資を行なっている。現在は、そこに中国2大IT巨人が割って入り、インドの優良スタートアップ企業への投資機会を奪い合っている構図となっている。
中国の2大巨人は、互いに巨大なパートナーとタッグを組み巨大な資金をインド市場に持ち込んでいるのである。テンセントは、自身の株主の35%を保有するNaspers(ナスパーズ)と投資同盟を結びインド市場に積極投資を行い、一方のアリババは27%を保有するソフトバンクと共同しインド市場に対して積極的に投資を行うという具合である。
アリババのインド企業への投資(*重要投資のみ抜粋)
ソフトバンクがアリババ陣営と共同で投資を行なっている有名な企業としては、インド最大の決済企業であるPaytmや、インドの大手EコマースプラットホームであるSnapdeal社などが有名である。
2018年になってからもアリババは食品プラットホームのZomato社や、物流プラットホームのXpressBeesに日本円で110億から220億円というかなり大きな資金を投入しインド企業に対する積極投資姿勢を崩していない。
アリババの投資企業一覧:
1、決済プラットホーム: Paytm
2015年3月にアリババグループの金融企業アントフィナンシャルが戦略的
親会社であるOne97株式25%を取得、Paytmにはアリババグループから5億7500万USD出資
2017年5月18日ソフトバンクがPaytmへ14億USD出資
2、Eコマースプラットホーム:Paytm Mall、Big Basket、Snapdeal
Snapdealは2014年10月の6回目の資金調達でソフトバンクから6億4700万USD相当の出資を獲得しソフトバンクがスナップディールの筆頭株主となる。
翌年2015年8月7日の第7回目の資金調達でアリババ、ソフトバンク共同で5億USDの追加出資
3、食品プラットホーム:Zomato
2018年2月にアントフィナンシャルより200ミリオンUSD(220億円程度) の資金調達
4、物流プラットフォーム:XpressBees
2018年1月アリババより100ミリオンUSD(110億円程度)の資金調達
テンセントのインド企業への投資(*重要投資のみ抜粋)
テンセントもアリババ同様にインドの有力スタートアップ企業への積極的な投資姿勢を継続している。
1、Eコマースプラットホーム:FlipKart
2017年4月、テンセント、Microsoft、Ebayなど共同で1.4ビリオンUSD(1560億円程度)を出資。FlipKartには古くからテンセントの株主であるNaspers(ナスパーズ)からの資本が投資されておりテンセントとNaspersが共同して株主として参画。
2、ソーシャルアプリケーション:Hike Messenger
2016年8月メッセンジャーアプリでWhatsAppのライバルとされるHikeに対して、テンセントとFoxconnが共同で175ミリオンUSD(200億円程度)を投資
3、デリバリーフードプラットフォーム:Swiggy
2018年1月、テンセントとNaspersから200ミリオンUSD(220億円程度)の資金調達
インドにも今後ユニコーンが増加する気配が漂う
2017年9月末現在の時点で、インドには9つのユニコーン企業が存在しており、その数はアメリカ(127)、中国(59)、イギリス(12)についで世界で4位の数を占めている。
上述したように、現在インド市場にはアメリカや中国からの投資資本が殺到しており、スタートアップ企業に対する育成が急拡大している。今後、インドがアメリカや中国に迫るユニコーン輩出国として注目されることは必然であろう。
参考記事:ソフトバンクが加速させるインドの有力スタートアップ投資とユニコーン企業のまとめ
GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、今後成長めまぐるしいインドのスタートアップにも注目していきたい。とりわけアリババやテンセントの巨大中国勢がいかにしてインド市場に入り込み、インドでその影響力を拡大していくのかに関心を持って注目していきたい。