【アリババニューリテール戦略の全貌】第1回:オンラインとオフラインの融合、これぞ新しい小売「O2Oの最先端」だ。

アリババは、2016年末にO2O戦略の新しいコンセプトとして「ニューリテール」戦略を発表し世間を驚かせた。今までベールに包まれていた「ニューリテール」だが、昨日の記者会見でその一部が明らとなった。オンラインとオフラインの融合、O2Oビジネスの最先端事例となりそうな予感だ。

 

  • 2016年末、アリババのCEOジャック・マーが「ニューリテール」と言うコンセプトを発表

アリババの社長ジャックマーは、2016年末にアリババ本社がある杭州で開催された雲栖大会(The Computing Conference)において、オンラインビジネスが今後10年から20年でなくなるという衝撃の発言を行った。その代わりとして、オンラインとオフラインを融合した「ニューリテール」(新しい小売業)が誕生すると語った。2017年8月28日に行われたアリババの記者会見の席で、「ニューリテール」戦略全貌の一部が明らかとなった。

会見によると、どうやら「ニューリテール戦略」は、大きく分けて3つの戦略的コンセプトから構成されているようだ。1つ目はオフラインである個人店舗のオンラインとの融合、2つ目はタオカフェに代表される無人コンビニテクノロジーの拡大展開、3つ目は盒马鲜生(he ma xian sheng)と呼ばれる新しいコンセプトで、スーパーで食材を注文すれば調理まで自動的に行って提供してくれるサービス。今後3回に渡り「ニューリテール」戦略の細部に迫ってみたい。まず、今回は第一回として1つ目のコンセプトである個人店舗とオンラインの融合の話題をお届けしたい。

参考記事:【無人コンビニ時代の到来】第1回 世界中で技術競争 Amazon / Alibaba / Take go

 

  • 浙江大学横のコンビニ。オンラインとオフラインの融合。これこそまさにO2Oの最先端だ。基本コンセプトは、アリババのオンラインショップであるTmallと個人経営のリテールショップの融合である。

中国の二大名門大学である北京と清華大学に次ぐ名門校として、杭州に浙江大学がある。中国の伝統名門大学として4万人超の学生を通う正門の横にアリババの最先端テクノロジーを投入した「ニューリテール」戦略を体感できるコンビニ「天猫维军超市(Tmallスマートコンビニ)」がオープンした。

アリババが目指す「ニューリテール」の第一号店の実験店舗として選ばれた「天猫维军超市(Tmallスマートコンビニ)」は、元は古くから浙江大学の正門横にコンビニを開業していた個人経営の店舗であった。いわゆる中国で良く見かける汚い部類に属する古いタイプの個人商店である。アリババはこの店舗を「ニューリテール」戦略の第1号店として改装しオープンさせた。

「ニューリテール」とは、簡単に言うとオンラインとオフラインを融合して相乗効果を図るO2Oビジネスモデルである。具体的なところを見てみると、はじめに近隣住民や通勤者や通学者といったそのコミュニティーに属する人たちの属性分析を行う。次に、その人たちがオンラインでどのような購買履歴を保有し、その消費にどんな特徴があるのかを分析、解析していく。つまりビックデータを活用して、この地域ではどういった商品が販売されやすいのかをデータ解析していくのである。

 

tmall retail store

そして次に、その店舗のオーナーの属性、従業員の数、店舗の広さ、投資可能額などを考慮しながら、店舗で実現可能な最適なサービスを提供していくわけある。ミクロ経済学的に言えば、「予算制約に基づく効用の最大化」と言う極めて基本的なことを大量に蓄積されているアリババのビッグデータを活用することによって実現しているのである。結果として、店舗側はアリババが提供するプラットホーム(零售通(lingshoutong))を活用して、Tmallに出店している店舗から必要な商品を必要な分量だけ仕入れを起こすことが可能となるわけである。

 

  • 「ニューリテール」のテクノロジーを使うとその地域の特性を生かした仕入れをコンピューターが自動的に行う

中国では、大手コンビニグループに属さない個人経営のお店が600万店舗あると言う。こうした伝統的な個人経営店が、アリババの「ニューリテール」戦略を活用することによって、分析に基づき、赤ちゃん専門の商品ウェイトを高めたり、従来取り扱いのなかったドッグフードを陳列したりすることが可能となるのである。現に浙江大学の実験店舗では、学生たちの購買履歴から、ディズニーブランドのお菓子(本物の輸入品)の人気があることを導き出し、店舗に陳列したところ人気商品となったと言う。ディズニーのお菓子は、通常ではコンビニに置いていない高価な商品であるが、アリババが提供するビッグデータにより浙江大学のエリート予備軍たちがこうしたお菓子を日常的に好んで食べていることを解析し店舗での配置を指示したのである。ちなみに学生がこの商品を店舗から購入する値段は、学生がTmallで購入する値段と同一となるよう店舗への卸価格は調整されていると言う。学生は、Tmallでネット購入するのと同様の商品を同一値段で正門横の馴染みの店舗で購入できるようになるわけである。さらに、Tmallでの優良顧客は、実店舗でも同一のディスカウント率を享受できる仕組みが構築されていると言うから驚きである。

 

  •  2017年末までに、「ニューリテール」店舗を1万店舗まで拡大。

浙江大学の横でニューリテール店舗を開業した店主は、満面の笑みでこう語っている。「昔は、仕入れは自分の足で卸問屋に出かけたり、直感で売れそうなものをタオバオで購入したりしていた。また、偽物や賞味期限ギリギリの商品をつかまされるリスクを抱えながらで細心の注意が必要でだった。ところが、現在はアリババが提供するプラットフォーム(零售通(lingshoutong))から仕入れが可能となり、便利かつ安心できるようになった。結果として売上増大に繋がり驚いている。」と。

この店主が言うには、このシステムを導入してから、店舗の売上は、前年比で45%上昇していると言い在庫の売れ残りリスクも減少していると言う。今年度の一店舗での利益が40万元(日本円で660万円)を超える見込みだと言うから、満面の笑みの理由も納得である。

 

  •  アリババ副社長林小海(linxiaohai)、個人店舗は今のままほっておけばいずれ倒産する運命。「ニューリテール」個人商店が生き延びるための起死回生戦略。

アリババの副社長である林小海(linxiaohai)は、こう語っている。「こうした小さい店舗のオーナーは、十分な教育を受けずに現在の店舗を経営しているケースが多く、過去10年間にわたりIT化といった時代の流れとは全く無縁の世界にいた。」「この手のお店は中国全土でまだ600万店舗存在しており、ほっておけば時代の流れで淘汰される運命にある。アリババは、こうした店舗を救うべくニューリテールを提供する。ビッグタータと最新ITテクノロジーが融合すれば、千差万別の地域特殊事情を反映した仕入れが可能となる。1000の店舗があれば、商品の陳列も1000通りであるはずだ。それを可能とするのが、アリババの提供する新しい「ニューリテール」なのである。将来的には、アリババがネットで販売する保険商品や、旅行商品、運送サービスなどあわゆる商材を個人商店が扱えるよう随時システムを強化していくと言う。」

今後もglotechtrendsとしては、アリババのニューリテール戦略について情報を追いかけ、皆様にお届けしていくことにしたい。