【アリババのニューマニュファクチュア戦略の全貌】第1回IOT+人工知能+クラウドコンピューティング+モバイルアプリの融合?

2018年の雲栖大会(The Computing Conference)は、2016年同様に再びジャック・マーから新時代の幕開けを予感させる大コンセプト「ニューマニュファクチュア(新しい製造業)」が発表された。ニューリテール戦略の次なるアリババのターゲットは製造業だ。

 

2016年雲栖大会(The Computing Conference)の再来か?

脳裏に蘇ってくるのは、2016年の雲栖大会(The Computing Conference)でジャック・マーが行なった伝説的スピーチである。ニューリテール戦略のスタートとなったこの会議の場で、ジャック・マーは「オンラインビジネスが今後10年から20年でなくなり、その代替としてオンラインとオフラインを融合した「ニューリテール」(新しい小売業)なるものが誕生する。」と語った。当時、発言の奥にあるジャック・マーの真意を正確に理解できたものは誰も居なかった。しかし、2年が経過した今は、誰もがオンラインとオフラインの統合を大規模に行うニューリテール戦略の意味を理解している。ニューリテール戦略が、現在進行形で中国の伝統的なリテール産業にどれほど大きなインパクトを与えているかは、改めてここに説明するまでもない。

さて、これと同じような大きなインパクトが、これから製造業の分野で起きるのかもしれない。

2018年の雲栖大会(The Computing Conference)におけるジャック・マーのスピーチでは、「これからの10-15年伝統的な製造業は激しい痛みを伴う。大量生産、大量消費のコンセプトに基づく製造業主導の伝統的な製造スタイルは駆逐され、消費者のニーズに基づくデータ駆動型の製造業が主流となる。5分間で2000個の衣服を製造するよりも、5分間で2,000種類の衣服を製造することがより重要視される時代に突入する。」と語ったのである。

PHOTO FROM: https://yq.aliyun.com/

実は、今回発表されたニューマニュファクチュア(新しい製造業)のコンセプト自体は、ジャック・マーが2年前から活用していた言葉であり何も目新しいものではない。だが、IOT、人工知能、クラウドコンピューティングなどの技術が成熟し、大規模に製造業をリニューアルするタイミングがようやく訪れようとしており、ジャック・マーの今回にかける熱い想いは十分に伝わってくる内容である。

アリババの「ニューマニュファクチュア戦略」はニューリテール戦略の成功と同じような大きなインパクトをもたらす可能性が極めて高い。

早速、当サイト(GloTechTrends)としては【アリババのニューマニュファクチュア戦略の全貌】と題してシリーズ連載を開始することにした。今後、アリババから続々と発表されるであろう「ニューマニュファクチュア戦略」の具体的な事例を継続的に皆様にお届けする予定である。

ニューマニュファクチュア戦略は、製造業+人工知能+IOT+クラウドコンピューティング+モバイルアプリの融合?

現時点では、ニューマニュファクチュア戦略の全貌は明らかとなっていない。だが、関係者をヒアリングする中で、少しずつ「ニューマニュファクチュア戦略」が目指している全体像が見えつつある。

(撮影GloTechTrends 雲栖大会より)(撮影GloTechTrends 雲栖大会より)

雲栖大会(The Computing Conference)の会場内にアリババクラウドが開設したスマートマニュファクチュアブース担当者に聞くと、スマートマニュファクチュア戦略は大きく3つのポイントがあるという。1つ目は、IOTや人工知能を活用した工場そのもののスマート化、2つ目は、工場とサプライチェーンのスマート結合、最後の3つ目が製造業と消費者の融合というのである。全体として、かなり大きなコンセプト変化であり、アリババクラウドとしても大きなチャレンジになるという。

ニューマニュファクチュア戦略は、伝統的な製造業を人工知能、IOT技術、クラウドコンピューティングなどを活用しスマートファクトリー化すると同時に、エンドユーザーからのカスタマイズ要求に細かく対応できるような仕組みを構築する「製造業のサービス業化」に挑戦する動きなのかもしれない。

2万社に及ぶ淘工厂(タオバオ工場)で、登録工場のうち20社が既にスマートファクトリー化を達成!

ジャック・マーが講演の中で語った「5分間で2000個の衣服を製造するよりも、5分間で2,000種類の衣服を製造することがより重要視される時代に突入する。」というのは、おそらくタオバオのサイト内にあるオーダーメイドシステム「淘工厂(タオバオ工場)」をイメージした発言だと思われる。

参考リンク:淘工厂(タオバオ工場)

このサイトは、タオバオで衣服を販売している出店者が製造工場に簡単に発注できるプラットフォームであり、既に2万の繊維工場がこのサイトに登録してり、巨大な繊維工場ネットワークが構築されている。出店者は、工場が独自にデザインする既製品の他に、出店者が独自にデザインした衣服を少量(100着程度)から発注できる仕組みを利用することができる。

アリババは、このプラットフォームに参加している繊維工場2万社のうち、20社を選定しファクトリースマート化を完了させている。年内には、さらに200社のスマートファクトリー化を完了予定だという。既にスマート工場化を実現した工場では、従前は対応に苦慮していた小口ロッドでの多品種注文にも、柔軟に対応できるようになり、しかも、生産ラインの進捗度合いや不具合をスマホアプリを通じて簡単に確認できるという。

今後、アリババは次々とニューマニュファクチュア戦略に関する新しいニュースを発表するであろう。ひょっとすると、ニューリテール戦略の展開において、フラッグシップ店舗的な枠割りを演じた「盒馬鲜生」(ファーマーションシェン)のニューマニュファクチュア版企業が登場してくるかもしれない。

しばらくは、今後のアリババニューマニュファクチュア戦略から目が離せなくなりそうである。

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