人工知能分野の人材報酬が高騰中!AI人材を巡りアリババ、テンセントは名門校の新卒生へ「三顧の礼」を尽くし高待遇を提供

今や世界中で人工知能関係の人材が不足している。アメリカでも中国でも、IT関係とりわけ人工知能関係人材の報酬高騰が指摘されている。アリババ、テンセント、百度、どこも世界の名門校卒業予備軍を巡り規格外の報酬を用意し争奪だ。

中国ではIT関連の仕事は花形である。中でも人工知能関係は別格の存在!

2017年11月16日から21日で深センで開催された第19回中国国際ハイテクフェアでは、企業と求職者のマッチングが行われた。

近年、中国でもIT分野の人材に対する報酬の高騰が指摘されており、とりわけ人工知能に関連する職業の報酬上昇が目立つ。ある人材会社の調査では、人工知能分野の人材の2017年度の報酬は対前年比で20%程度の上昇を記録し今後も上昇が間違いないという。

深センの国際ハイテクフェアにおいても、優秀な人材獲得を目指すスタートアップなどを中心に新卒学生に対して高額の給料提示が多く見られた。

人工知能関係の分野では、新卒初年度に基本年俸50万元(日本円で850万円)の条件や、30万元(日本円で510万円)+ストックオプションという条件が数多く提示されたという。

新卒時の報酬を保証するだけでなく、3-5年の勤続後には80万元程度(日本円で1360万円)の報酬が保証されるオファーが多数散見されるというから、初年度だけが良いわけでなくその後の報酬の上昇ももはや日本企業を凌駕しているのかもしれない。人工知能分野のスタートアップ企業は、ベンチャー企業などから調達した潤沢な資金を背景に優秀な人材の採用に躍起になっているのである。

 

優秀人材獲得特別プランの存在!アリババの『阿里星』(アリスター)プロジェクト及びテンセントの『技术大咖』プロジェクト

中国の2大IT巨人であるアリババは、とりわけ優秀な人材を獲得のために通常の採用枠とは異なる特別プラン『阿里星』(アリスター)を用意している。アリババの星となりうる幹部候補獲得という意味である。将来のアリババの中核メンバーとなりうる優秀な人材10名(毎年)に対して、アリババ本体のCTOが全採用プロセスの権限を握り、最終的な面接を行うというシステムを採用している。

この10名には、初年度の年俸は平均60万元(日本円で1020万円)が用意され、その中でも優秀なメンバーに対しては上限無制限でCTOが報酬を決定できるのである。もちろんストックオプションも付与される。実際の具体的な報酬額は公表されていないが、高額であることだけは間違いないようだ。

一方のテンセントは、『技术大咖』(テクノロジーリーダー)プロジェクトを用意して、世界のトップランキング100の大学を卒業したコンピューターサイエンス関連分野の修士あるいは博士課程を対象として、報酬上限を設定しない採用手法を採用している。おそらく、既にアメリカ企業などの他社から内定を得ている学生に対して、他社よりも好条件で条件を提示して学生の囲い込みを行なっていると思われる。

また、最近は中国2大ジャイアントの陰に若干隠れ陰が薄くなった感の百度(baidu)も、ディープラーニング関係の人材を対象に年間100万元(1700万円)以上の報酬を用意して積極的に採用を行なっている。百度の起死回生の鍵を握る自動運転「アポロ計画」の鍵を握る人材の採用枠であろう。三年後にチームリーダーとして、20-30名の部下を従える幹部候補プランだそうだ。

今年になって、中国の人工知能関係人材の報酬額はバブルの様相を呈しているが、来年以降も止まる見込みはない。日本企業もこうしたグローバル競争の中でどうやって人材を獲得していくのか大変難しい状況となりつつある。

 

日本のIT人材の給料に関する統計、経済産業省発表、日本はIT関係者の給与は全産業平均の1.5倍。対する中国は7倍!


 IT関係者の報酬を国際比較した興味深い資料を日本の経済産業省のサイトで見つけることができたのでご紹介したい。

参考:http://www.meti.go.jp/press/2017/08/20170821001/20170821001-1.pdf

経済産業省が平成29年8月21日公表されている「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」という資料である。

①P11 日米のIT人材の年代別の年収分布というページである

japan and usa IT salary difference

これを見ると日本の20代のIT関係者の報酬レンジは最低で150万円から最高1250万円であり中央値は413万円であることがわかる。

その一方でアメリカは、20代のIT関係者の報酬レンジは最低で114万円から最高4578万円であり中央値は1023万円となっている。

日本とアメリカを比較すると、アメリカの方が報酬平均で2.5倍程度であり報酬額の分散も激しいことがわかる。

中国の統計値は、残念ながら収集することができないが、今やアメリカと対抗するAI大国となった中国は、おそらくアメリカ並みの給与水準に近い形で優秀な人材を獲得していることと想像できる。

②P12 各国IT人材年収分野と全産業平均年収との比較

IT salary comparing

このグラフは、各国でIT分野と他の業界の年収の比較を表したものである。日本ではIT関係の平均年収は600万ほどであり、全産業平均と比較して1.5倍強の給与水準であることがわかる。

一方、中国ではIT関係の平均年収は400万円(この公表数字は2016年度の統計数値なので2017年はさらに上昇している)に届かない程度ではあるが、全産業平均を比較して7倍近くもの報酬が得られていることがわかる。

日本ではIT関係の仕事は一目置かれる存在ではあるものの特別な存在ではない。だが、中国ではIT関係の仕事は全産業平均と比較して7倍も稼げる特別な仕事であると言えるだろう。

だから、優秀な人材がこぞってIT分野に集まりその中でもとりわけ高額の報酬を得られる人工知能分野に優秀な人材が集まっているというわけである。大学でもコンピューターサイエンスなどの学問を学べる分野が近年急速に入学競争が激化しているという。

GlotechTrendsとしては、中国企業を中心としたIT関係者の報酬水準の推移や、グローバルでの人材獲得競争にも今後注目していきたい。