2017年の中国巨大IT企業(BAT3社)のベンチャー投資状況 まとめ 総論編

2017年は世界的な好景気を反映しベンチャー企業投資の分野も活況な一年となった。そこで中国巨大IT企業であるBAT3社のベンチャー投資状況を少しまとめてみたい。BAT3社の投資領域を分析することで、中国ITの未来像が見えてくるかもしれない。

2017年のBAT3社ベンチャー投資企業数は合計197社(前年134社)

2017年に中国巨大IT企業であるアリババ、テンセント、百度が行ったベンチャー企業への投資は合計で197社となり、前年の134社を大きく上回った。最も投資企業数が多いのはテンセントで113社(前年75社)、アリババ45社(同37社)、百度39社(同22社)であり、3社とも前年を大きく上回る投資案件数となった。

気になる投資額に関しては、一部非公開のデータが含まれているため正確な投資額を算出することはできないが、公表された部分だけを見ても、前年より上回るものとなっている。投資対象企業は、主に中国企業が多いがアメリカ、インド、インドネシアなどの国の企業への投資も多い印象である。詳細な、投資先企業リスト、投資額など詳細なデータに関しては次回となる各論編でまとめたいが、2017年においては、日本のスタートアップ企業への投資は含まれていないようである。

BAT3社の投資企業数 2017年(2016年との比較)(データ提供元lieyunwang.com)

 

2017年に投資資金を呼び込んだ最もアツイ業種は、AI(人工知能)分野と新自動車分野

投資分野として3社に共通する点は、AI(人工知能)分野と自動車産業への投資である。前年に引き続き人工知能分野への投資は相変わらず活況であり、2017年はそれに加えてEV、コネクティッドカー、自動運転などの新しい自動車産業への投資が活況を呈する形となった。以下に、3社それぞれのベンチャー投資の特徴をまとめておきたい。

 

テンセントは最も広範な業種に投資

テンセントは、投資企業数でも113社と最大を占めたが、投資先の分野を見ても広範な分野に投資していることがわかる。エンターテイメント分野が28社と最多を占めているが、他の分野にも広範に投資を行っており非常にバランスのよりポートフォリオを構築している。

テンセントの産業別投資先(データ提供元lieyunwang.com)

 

アリババは5つの新産業「Five New」戦略に基づきベンチャー投資を実行

ジャック・マーの伝説的なスピーチとなった2016年10月の雲栖大会(The Computing Conference)の発表であるが、そこではニューリテール戦略と合わせて同時に5つの新産業「Five New」が発表されている。ニューリテール(新しい小売)、ニューマニュファクチャー(新しい製造業)、ニューファイナンス(新しい金融)、ニューエネルギー(新しいエネルギー)、ニューテクノロジー(新しいテクノロジーの5つである。

2017年のアリババが実行したベンチャー投資を見ても、この5つの分野へ注力していることが理解できる。

中でもニューリテールの分野に関しては8社を占め全体の多くの割合を割いている。合わせて、ニューエネルギー分野とも言える自動車業界への進出をスタートしており、伝統的な自動車企業と提携を進める一方で、新自動車産業である小鵬自動車への投資を実行するなど、新自動車産業への進出に踏む出す一年となった。

アリババの産業別投資先(データ提供元lieyunwang.com)

 

百度(Baidu)は、人工知能分野と自動車分野に注力

テンセント、アリババと比較して、百度はより人工知能分野と新自動車産業への投資に集中したものとなっている。投資先は、NIO蔚来汽车(ウェイライ)、威马汽车( WELTMEISTER)  、第一汽车といった注目を集める新自動車分野に集中しており、百度が推し進める自動運転車実現計画である「アポロ計画」をサポートするものとなるであろう。

百度の産業別投資先(データ提供元lieyunwang.com)

 

参考記事:第二のテスラを目指せ!中国で既に60社のスタートアップが新自動車産業に参入!背後に中国IT巨人の影

GlotechTrends(グローバルテクノロジートレンド)としては、近日中にも「中国巨大IT企業(BAT3社)のベンチャー投資まとめ 各論編」として具体的な投資先を整理しさらに分析を加えてみることにしたい。