【キャッシュレス社会の衝撃】 第4回 小さな蟻が社会を変えた!Ant Financialの大金融革命! Ant Financial /中国

アントフィナンシャルは、中国の巨大なFintech企業である。元々アントフィナンシャルは、2004年12月にアリババが運営するイーコマースでの決済を目的にアリペイとして誕生し、徐々にそのビジネス領域を拡大し、現在では中国のキャッシュレス社会を象徴する金融機関となっている。

変化の契機となったのは、2013年6月に余額宝(Yu’EBAO,ユエバオ)という、金利の生まれる金融商品の取り扱いの始めたのを契機に金融機関としてのビジネスを拡大していく。

そして、2014年10月に、会社名を正式にアリペイからアントフィナンシャル(蚂蚁金服)へ変更し、アリババグループからスピンアウトする形で、Fintech金融機関としての立ち位置を明確にするも、筆頭株主は依然としてアリババグループの代表、ジャックマーである。2017年2月からは海外展開にも力をいれ、Fintech生体認証や顔認証を用いたFintech技術にも投資を増やしている。来年度にも香港市場へ上場するのではないかと噂されている。

 

  • アントフィナンシャルは、もはやアリペイだけはない。ビジネス領域は大手の金融機関並みのビジネスラインアップ。

現在の主要業務は以下であるが、どんどん魅力的な分野へ拡大中である。

①アリペイ(支付宝): 決済プラットフォーム。オンラインショッピング、タクシー、ホテル予約、公共交通機関のチケット、映画チケットの購入、公共料金の支払いなど、あわゆる商品の決済に用いられるサービス。

②ユエバオ(余额宝):通常の銀行預金よりも高い利回りをうたい文句とする、非常に便利で流動性の高い金融商品。

③マイバンク(网商银行):中小企業向けの小口のローン提供サービス。

④ジーマ信用(芝麻信用):アリペイの使用履歴を元に、個人の信用度をスコアリングし数字でわかりやすく信用を明示。消費者金融、旅行代理店、ホテル、レンタカー会社、賃貸不動産会社などのサービスと連携し提供されるサービス。

⑤アントクレジットペイ(花呗):支払いと同時に資金を引き落とすのではなく、クレジットカードのように返済を翌月まで延期できる個人ユーザー向けサービス。リボ払いを金利無しで行えるサービス。

⑥保険:医療保険や自動車保険などの保険商品を販売。保険会社と協力し、保険商品の販売。配送による損傷保険、返品時の送料を保証する保険を提供。保険購入をネットだけで所要時間1分で購入できる。

 

  • アントフィナンシャルの社名にある、「Ant」 の意味するもの。アリたちが集まって社会を変革するパワーを発揮。

Bring small and beautiful changes for the world (世界に小さく美しい変化をもたらす)アントフィナンシャルのスローガンである。

アリたちの金融機関、なんと弱々しい名前だろうか。しかし、このアリたちが、実際に社会に大変革をすでに推し進めている。

このアントフィナンシャルのネーミングは、アントフィナンシャルの成功の歴史を紐解くと、理解出来る。アリババの創業者ジャックマーは中小企業のEコマースを初め成功を収めた。小さな事業主や、一般個人が集まることが大きな社会変化を起こすことをよく知っているのだ。アントフィナンシャルのビジネス領域も、 伝統的の金融機関では良いお客さんとして扱われてこなった中小の事業主や一般個人層を狙い、そうした顧客群をいかに効率よく一つのプラットホームで統括できるビジネスモデルを作り上げるかに注力している。

 

  • アントフィナンシャルの経営戦略は販売チャンネルを提供するプラットホームの提供

中小の事業主や一般個人層を対象としてビジネスを行うことは、たいへん手間がかかるため、伝統的な金融機関が避けてきた領域である。

アリババの創業者、ジャックマーは、そこにブルーオーシャンがあることを自らのEコマースビジネスでの経験から、知り尽くしており、インフラ構築に巨大な投資を行った。

次に、衣料、飲食、住宅、移動手段を生活のベースとなる4つの柱としてかかげ、これら4つの分野でユーザーがアリペイで支払わなければならないという環境を作り出すことに最大限の力を注いだ。特に、レストランなどの「飲食」と「移動手段」に関しては、アリペイが最も獲得に力を入れた場所であり、当初は収益性を考えることなく、アリペイを使って人々が支払いをすることが習慣になることに注力した。

ところで、どのビジネスでも3つのステージがビジネスの肝となると言われている。

1、資金を調達するところ 

2、商品、サービスを生み出すところ

3、そして販売である。

良い商品でも販売チャネルを持たないがゆえに埋没していった商品は枚挙にいとまがない。そこでジャックマーは、アリペイを使って人々が決済するインフラ環境を先に作り上げ、その販売チャネルを使って、アントフィナンシャルが金融商品を販売していくという順序で、ビジネスを設計していたのである。

 

日本経済新聞の報道によると、現在(2017年6月末時点)のアントフィナンシャルの余額宝残高は、18兆2200億円と言われている。こうした巨大な資産がアントフィナンシャルが運営するプラットホームに蓄積されていることになる。こうした資金が、ユーザーのスマートフォンから、ボタン一つでアントフィナンシャルが運営する保険などの金融商品に瞬時に購入できるインフラがすでに構築されていることは、もはや「Ant」を超越した存在なのである。

参考:

【キャッシュレス社会の衝撃】 第2回 わかる!アリペイの 仕組み! アリペイ(支付宝)/中国